濃キャラぞろいの"女忠臣蔵”
(前回の続き)前回ご紹介した、浦野理一さんの春秋柄の型染小紋は実は袖丈が一尺七寸もあり、帯付きだと意外と(?)派手目。今回はつつましく2階席からの観覧なのでこんな風に、一尺三寸の袖丈の羽織を重ねてしまいました。着物の袖はきちんと折りたたんで。まあ年齢的にもこの方が落ち着くかな。さて新国立劇場のロビーを上からパチリ。歌舞伎座と比べちゃうとおとなしくてかつて音羽屋さんが半蔵門の国立劇場で公演していたときの華やかさを知っている身としてはちょっと寂しい気も。席はやや下手寄りの2階席なんですが一列目で、この写真よりももっと舞台が大きく、手前に見えました。パッと見たところ1階席はほぼ満席、2階席は5~6分の入りかなあ。演目の鑑山旧錦絵は私、文楽でも歌舞伎でも数回観ておりおなじみ……のつもりだったのですが今回はたぶん未見の、序章(竹刀の試合)がかかったので新鮮。まず何といっても彌十郎さん演ずる岩藤の"リアル”さ加減が抜群。 顔が、顔が……! これまで観たどの岩藤よりも、岩でした!まるで岩そのものが歩いているみたい(褒め言葉です)。もちろん岩藤役はどなたもごつい化粧をなさいますが、ずば抜けて岩の再限度が高かったです。演技は言うまでもなく憎々しさ120%なので岩藤の完成形を観た気分。そして、岩藤の(武芸の)一番弟子 桐島はもともと亀蔵さんの予定でしたが、年末にあのようなことになってしまって……代役の市村橘太郎さん、がんばっていらして十分、目だっていました。見せ場で流行語大賞のあのセリフを披露し、観客大笑い。さらには玉太郎さん演ずる頼朝息女大姫のかわゆらしさよ……あどけなさが残る小首をかしげた仕草に、私はオペラグラスが手放せませんでした。この姫を観ただけでも来た甲斐あったなと。時蔵さん演ずる尾上は、ちょっと筆を置くとか、草履をおしいだくなど細かな所作がとても綺麗。こうして観てみると、主役のお初(八代目菊五郎さん)がむしろ無難過ぎてキャラが薄く感じられました。上手いからこそなのでしょうけれど、、、周囲が濃すぎる?大詰めで、七代目が頼朝役で出ていらして前の幕で討ち死にした彌十郎さんが、早変わりよろしく北条時政役で鎮座しているのを見てぼそっと「忙しかったな」と。このアドリブでも会場から笑いとねぎらいの拍手が。めでたい花見の場の後、最後にお年賀まきがあったのですが推しの彦三郎さん、さすが元球児らしく今回も飛距離がずば抜けていました。ただ、2階まではきませんでしたが……。今回は三幕目と大詰めにちょっとだけのお出ましでしたが、相変わらずお声が良くて、声量も他の役者さんの1.3倍くらいはあったかな。久しぶりにお声を聴けて嬉しかったです。今回は通し狂言なのですが岩藤と弾正の陰謀を尾上側が知ることになる場面がカットされており、竹刀の試合の後すぐに草履打ちの場面になったので初見の人には状況がわかりにくかったかも…。あと、奥庭仕返しの場で、背景がばっと桜と池に変わるタイミングが微妙な気がしたのですが、気のせいなのかな。。。まあともあれ、愛すべき濃キャラの面々にお会いでき、楽しませてもらいました。岩藤、夢に出てきそう。