娘が学校の授業で、そろばんを少し習ったようです。

「お母さん!そろばんってアイテム知ってる?!」


アイテム……。



「知ってるよ」


「そあらなー、そろばんうまいねんで!
あんなー、
4から3ひくときになー、こうするねん。」

指を空中で動かす娘。



「指がちがーーーーう!!!
ここはこうや。鉛筆の持ち方はこうや」


「え?え?
お母さんそろばん知ってんの?
お母さんそろばんできんの?!」



驚く娘。



そーう。

昔の習い事って数が少ない。
だいたい半分くらいの子がそろばん習ってました。

私もその中の一人。


ピアノを習いたいって何度もお願いしたけど、夢叶わず、
やっとで習わせてもらったそろばんに必死になりました。


そろばんの先生も子供たちの心を捉えるのがお上手だったと思います。



入ったら、全員の名札がうまい順に貼ってあります。

頑張る程、前に進めて、それが嬉しかったなぁ。


そして、大人気だったのが、
文具コーナー!!


文房具屋さんかというくらい、
すっごい数の文房具が置いてあって、
それに全部点数が貼ってあります。

点数を集めて、
点数で商品を買う(?)のです。


出席したら、1点もらえて、
読み上げ算で1位になれば何点かもらえて……

って、点数をもらえるチャンスがたくさんありました。

私は、消しゴムやシール、
当時大人気だった光GENJIの下敷きが欲しくて頑張って点数貯めたなぁー。


だんだんそういうのに興味なくなってくる年上の年齢の子のために、
図書券にかえてくれる制度もあったなぁ。


上の級と下の級の子が
バラバラに組んでチームを作り、
チーム対抗のそろばんをしたり。

週3回、いつも楽しかったです。


先生なりに、まずは通うことが好きになることを教えてくれたんでしょうね。

それにクリスマス会、
夏休みには遊園地にも連れて行ってくれたり。

子供が好きだったのかな。

たくさんイベントがありました。



だんだんそろばん自体も好きになっていき、検定試験に合格する喜び!


合格するたびに先生がそろばんに合格シールを貼ってくれるんです。

それが嬉しくて嬉しくて、

長く続けました。




だいたいみんな小学校卒業と同時にそろばんを辞めるのですが、

私…一人…


中3までやってました。(^^;;



一人隅っこでもくもくと。

周りは小学生のみ。




中学卒業前に
「先生…今月で辞めます」
と言ったら、

「そうか。
とうとう卒業やな。
よう頑張ったな。
大人になったら、戻っておいで。
先生交代しよう」


と言ってくれました。


辞めたあと、高校生の頃にも
たまに教室をのぞいたりして
「バイトしにおいでー」
って言ってくれました。



短大生になって、アルバイトで忙しく、
全然行かなくなったころ、
アルバイト先のパン屋さんに先生がパンを買いに来られて

「いつ卒業すんねん?
そろばんの先生やりにおいでや」

と、おっしゃいました。


私は、大笑いして

「せぇへん、せぇへんってばー!」

と、言い、

「それより先生、えらいやせたやん!
ちゃんと食べてんのー?!
パンいっぱい食べたら私みたいに太るでー!」

と言って、たくさんパンを買ってもらいました。



それから何年も経たないうちに、
先生が癌で亡くなったと聞きました。



思い返せば、
何年かに一度、代理の先生の時がありました。

おそらく闘病生活をされていたのでしょう。


パンを買いに来てくれた時だって、

「やせたやん!」
とか言ってしまいました。

もしかしたら、パンを買いに来てくれたのかもしれないし、
もしかしたら、もしかしたら、
もしかしたら…
本当に引き継いでほしくて会いに来てくれたのかもしれません。
うぬぼれすぎかな?


その後は奥様が引き継いでらっしゃるそうですが、

一度ものぞきに行けてません。



娘とのそろばんの話から
いろいろ記憶が蘇ってきました。





「そろばん持ってるん?
貸して貸して!」


という娘…。


罪悪感か何なのか、箱の中から出すことはなかったのですが、

思い切って出してみました。


20年以上ぶり?

カビてないかな?(笑)




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私の宝物です!




このそろばんは、かなりハイテクそろばんです。


名を「ワンタッチそろばん」
といいます。



よーーーーく見てください。



普通のそろばんとちょっと違うのわかりますか?



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ここです。



ここにボタン?がついています。




そろばんを始めるとき、

ねがいまして~は~~

で、

そろばんを立てて、人差しで上の玉を
チャラチャラチャラ…

とリセットする、
電卓でいうなら、「C」ボタン。


それを一瞬で!

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ここを押すと



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パッとリセット。

チャラチャラの必要がないのです。


段位検定になると、

ものすごい量をやるので、チャラチャラの数秒がもったいないのです。


このそろばん、1級を合格すれば先生からもらえたのです。

それを目標にみんな頑張ってました。


もらって、初めて使う時、
周りの子がみんな覗きに来て、

パッてやると、


おおーーーーー!!!!


って歓声があがる!

それがめちゃカッコ良くて頑張りました。


あと、1級合格したら、
もうひとつ先生がプレゼントしてくれたもの、

それは、


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英語の賞状!!!


子供って、英語ってだけで、

カッコいいー!!すごいー!!


だったので、大興奮でした。


これは申請すればすぐ作ってくれるやつらしい。
だけど、
「英語やで!すごいことやろ!」
って、先生が言うので、
私の中では大騒ぎ(笑)でした。




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合格シールもズラーーーっと。




段位検定になると、

何点以上が合格、ではなく、

何点から何点は初段、

何点から何点は2段、

何点から何点は3段、


といったふうにたくさん点をとったら段位があがります。



乗算   →  かけ算

除算   →  わり算

見取算   →足し算引き算

伝票算   →  伝票めくりながらの見取算



種目ごとに段位もらえます。



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あ。長年丸めたままだったので、
全然のびないので娘に持ってもらいました。





「お母さんが通ってた時はなぁ~」

と、娘にいろいろ話を聞かせ、

ちょっと教えてあげると、
おもちゃを与えられたかのように
嬉しそうにする娘。



蘇ってくる記憶は、
楽しかったことばかりで…。

子供の記憶って、ほとんど上書き保存で、
古い記憶は忘れていく…

それなのに、
30年たっても、
たくさん覚えてるって
本当にすごいことだと思います。

それだけ記憶に残る印象的なことを
たくさんしてくださったんだなぁと、
今更ながら感謝しました。





今度実家に帰ったら、

一度、教室をのぞいてみようかな…。


何を怖がってたのかなぁ。

自分のことが不思議でたまらないです。