冒頭同じような2日間があり平山さんのルーティンを把握する。その後は少しずつ違ってくる。この時点では「平山さんの生活って、余裕があるのかないのか、わからない。」と思った。そして展開されるパーフェクトではない毎日。。

(この映画と平山さんという人物をみて、生まれつき性格と性格改善に詳しい私が、考え感じ取ったこと・・・)

彼は自分を大切に扱う。彼をよく知らない人からは貧しく見え差別的な態度をとられるが、彼にとっては大きな事件ではない。ムッとしたりニヤッとしたり結構感情豊かな平山さんだが、すぐに自分のペースを取り戻す。余裕があるのだ。贅沢ではないが至極のお気に入りでできた生活が、確固たるしなやかな彼をつくりだす。

姪が泊まった際には自分の布団で寝かせ、自転車で風呂や食事に出かける。姪の訪問が突然だからこうなったのではない。少々不便に見える平山さんの生活だが、仕方なくやっていることが無いのだ。

それ故いつもの自分の生活に迎え入れるだけで、かわいい姪へのおもてなしにふさわしくなってしまう。

そして彼は孤独だ。職場の後輩に「その年で結婚もしてなくて寂しく無いスカ?」とか聞かれているが、恋人はおろか友人らしい友人もおらず一人呑みの日々、さらに姪を除いた生家とは確執があって実際孤独だ。

しかし彼には「孤独感」がまるで無い。彼は自然を愛で、自分がこの世の一部であることを理解している。ごく薄い関わりの人達とも心温かな交流がある。関わる人間は彼の顔を覚え、名前を呼び、人物を想像し、愛している。そう、彼は愛されている。非常にモテるのだ。

ストーリー中盤以降女性キャラクターがどんどん出てくるが、彼のモテ力は半端ではない。何年も会っていなかった姪から頼りにされ、オヤジさんたちの憧れのママから贔屓され「平山さんはインテリね」なんて声をかけられる。その他彼が気になってしかたない女性たちが登場する。

その女性たちは一様に魅力的だ。だれも平山さんに依存しない、それぞれに懸命に生きる女性たちなのだ。

「住む世界が違う」と言った妹でさえ、別れ際にあの表情だ。愛おしく、申し訳なく、理解したくてできなくて、、
心の中で「恋人か」とツッコミを入れた。

めちゃくちゃ余談だが、私(筆者)は兄にあんな愛おしい視線を送ることなんてない。その発想も無い。

ママの元夫からは「あいつをよろしく頼みます」と。。男も惚れる男なのである。


雨の中カッパを着て必死に自転車を漕ぐ平山さん、持っているものは古く、多くもない。役所さんもインタビューにおいて「足るを知る」を教わったとのことだ。


(人の魅力は、

持ち物では決まらない。していることでも決まらない。

自分の取扱方、コントロールの仕方、どのように人々と接するかで変わってくるのだろうと思う。

性格診断においてもこの3つは重要な観察対象だ。) 


さて、ここまで書いて、この映画に対して一番何が言いたいかというと「平山さん自身は魅力的だけど、迷子を助けてもお礼も言われない&汚がられるし、雨の日に自転車って不便だし、後輩の仕事押し付けられるし、借りたお金返ってこないし、全然パーフェクト!じゃあないじゃないか!」ということだ。
10中3か、行っても7だよ。。

・・・いや待て、でも人生って、そういうものじゃないか?

10段階の貧しい採点をする後輩が出す数字は若者に特有の(そうではない若者がいたらすまん)「今日は最高!」か「もう最悪〜」か、であり、一方で平山さんは48点とか76点とか54点とかで生きている。

(この部分は鴻上尚史さんが「ほがらか人生相談」の回答の中で語られていたことを参考にさせていただいている。)

 

柔軟で求めすぎず、責任を全うし、周囲に敬意を払って、愛し愛され、木漏れ日にキュンとしながら、しっかりと生きている。

平山さんの人生はこの先も淡々としているのだろうが、明るくて素晴らしい何かを予感してしまった。希望をもらった視聴者は、私だけではないはず。

ああそうか、PERFECT DAYS。

これがパーフェクトでなくて、なにがパーフェクトになるのか。


ラストシーンのいくつもの感情が交差しあふれる演技は圧巻だった。映画2時間分の間に平山さんが抱えた感情がすべて放出されているような、、目が離せないシーンだった。

映画の構成のことは詳しくないので楽しみ方がわからず、正直途中で少し眠たくなった。
でも平山さんを始め、映画の中で描かれているのは、素晴らしいキャラクターたちだと思った。


鑑賞後数日経ち、すでに「また見たいかも」と思っている。

<登場人物のタイプ診断>

※情報が少ないので、予想が立てられた分のみ。考察が変わったら随時更新します。

平山さん(役所広司さん) 1w2 

職場の後輩(柄本時生さん) 7w8(ウイング軽め)

アヤちゃん(アオイヤマダさん)4w5