舞台『E-utopia』無事に終演しました。

1ヶ月の稽古と5日間の本番。様々なことがありました。まずは頂いたキャラクターとどう向き合っていたのか、バッググラウンドを携帯にメモしていたのでそのまま画像で公開したいと思います。

荒いメモなので、誤字脱字ご容赦ください。


そのあと、加奈の言葉で本編でのことをお話してます。話し言葉になったり。文章めちゃくちゃかもしれませんが、気持ちを残します。








いつ動けなくなるか分からない本当にこわい日々をすごしていたと思います。

でも、こわがって部屋に閉じこもるより、進んで外に出て体を動かして生きている実感を得ていた方が、加奈ちゃんにとっては喜びだったと思います。


私もそうでしたが、一度人に否定されるとやりたいことをやりたいと言えず我慢してしまう癖が出てきてしまいます。

だから、交流会と聞いて最初は胸を躍らせましたが、お姉ちゃんの反対する言葉を聞いて、喉まで出ていた『踊りたい』という言葉が引っ込んでしまいました。

その後守田先生の後押しで、人のせいにするのではなく、自分の意思でやりたいということ思い切って姉にわがままを伝えます。


杉本さゆりちゃんや守田先生、大輝君や村上さんなど陰ながら踊ることを応援してくれていた皆さん。


守田先生は体調を気にして飲み物を渡してくれたり、さゆりちゃんはたまに一緒に踊ってくれて自分の知らない世界のゲームとかを教えて貰ったり。

村上さんは昔流行っていた遊びを教えてくれたり、ダジャレを言って楽しませてくれたり、娘さんの話を聞かせてくれたり。大輝くんはいつもどこかで陰ながら応援してくれて、ダンスで怪我した時なんかはそっと絆創膏を置いてってくれたり。

その優しさに気付かないふりをして、受け取っていました。


外の世界の話を知るには、大体新しく入ってきた患者さんに聞くことが多くて。時々、羨ましくて苦しくなることもあるけど、時間が経つにつれてそこまでの執着した感情はなくなっていきました。

ただこの施設でどう楽しく過ごすか、お姉ちゃんと先生達と患者さんたちの距離感を大事に保って毎日を生きてました。

夜は1番つらい。

誰もいなくて1人の病室で苦しいのを我慢する。

熱も上がる。呼吸も苦しい。食べたいものも食べられない。近頃時々手や足に力が入らない。

体の変化に気づくのは早かった。

だって自分の体だから。

それでも私は文句も叫びもしない。余命よりも長く生きれた。お姉ちゃんはすごく喜んでくれてるけど、やはりどこかいつも気疲れしている。それが心苦しいし、申し訳ないとも思う。いつも自分のことより私の事ばかりなお姉ちゃん。早くお姉ちゃんの幸せを見つけて欲しい。

私が悔いのない人生を生きたら姉もきっと、私から開放される。私のことを沢山愛してくれてるお姉ちゃん。私も大好き。お姉ちゃんがずっと一緒にいてくれたから寂しくなかった。いつもプンプンあれしちゃダメこれしちゃダメってばかりだったけど、私のことが大好きだからなのは十分伝わってる。

交流会の準備、振り付けの練習、衣装を決めたり、髪の毛を結ってくれたり。いつも可愛い髪ゴム付けてくれるのが私の楽しみ。


交流会の日。みんなの出し物が楽しくて面白かった。

大輝くんは大好きな忍者をみんなに見てもらえて、認めてもらえて嬉しそうだった!そんな喜んでるお顔見れて、私も嬉しい。だってずっとすごいって、かっこいいって思ってたから!やりたいことを誰かに見てもらえて、認めてもらえるのは嬉しいことだよね。きもち、よくわかるよ。みんな楽しそうにしてる。みんな大輝くんのこと大好きだよ。


村上さんの大道芸!いつも早起きしてたから何してるんだろうって思ってた。もちろんカップラーメンばかり食べて、悪いことしてるのを注意したことあるけど、最近は違った。娘さんに見せたくて頑張って練習してた。村上さんの大きな手はいつも暖かくて、それで練習した跡がたくさん。手をぎゅっと握りしめた跡もあった。娘さんぽい村上さんの優しい雰囲気に似た可愛い女の子がいた。お願い、どうが村上さんが頑張ってたのが伝わりますように。


いつもはあまり笑ってくれない榊さんや笹原先生、山川先生、ゲームばっかりのさゆりちゃんとかとみんなで遊んでる!人との交流って人と会って話したりするのってこんなに暖かくて大切な時間なんだね。守田先生のおかげでみんな笑顔だよ。

あ、時音さんもわらった!いつか時音ちゃんって呼びたいな。年がいちばん近い女の子のお友達。

俯いた顔じゃなくて、もっとたくさん前を向いて笑っていて欲しいな。だって可愛いお顔なんだもん。あれ?守田先生がなんだか不思議なお顔してる。


雫さん!こんなに素敵な歌声初めて聞いた!

人の歌う声ってこんなに綺麗で切なくて力が湧くんだね。みんなの悲しみを全て溶かしてくれるようなそんな声。


この歌を聴いたあと、私たちの番。

ステージの裏で、守田先生が『谷口さん、加奈ちゃん頑張ってくださいね』って言ってくれた。

ずっと応援してくれてた分、精一杯頑張ります!

笹原先生も『行ってらっしゃい』って。

相変わらず口下手?なのかな。でも何だか優しいお顔してる。

さゆりちゃんも来てくれた『ちゃんと見てるからね!頑張ってね!』いつも私と遊んでくれて、お話してくれて、頑張らなきゃ!


緊張しちゃって、お姉ちゃんと手を繋ぐ。

それでもやっぱり足りなくて、ギュッてしてもらった。音が聞こえる、呼吸が聞こえる。深く息を吸って、吐いて。私たちの出番までずっと。

手を繋いでステージに。

みんなが手拍子してくれる、袖にいる大好きなみんなも。こんなに楽しい事だったなんて!わたしの中のおおきな木が揺さぶられて、葉が落ちて行くのを感じたけどそれでも私は動き続ける。例え葉が1枚も無くなろうとも。


ソロの前に手を繋いでみた。振り付けにはないけど、なんだかお姉ちゃんの温かみを感じていたくて。

思いっきり踊った。どくどく心臓が早くなっていってる。音を感じる、熱を感じる。手を大きく上へかざした時ライトと空気が眩しくて目をつぶった。

なんだか痛い感じが遠くからするけど、それでも構わず踊った。お姉ちゃんとのユニゾン。

たくさん練習したところ、難しかったね。

お姉ちゃんと背中合わせの所で私の痛みは激しさを増した。ダメ、止めないで、あと少しだから。守田先生、お姉ちゃん。お願い。もう少しだけ、踊らせて。今私いちばん楽しい、お姉ちゃんと踊れて幸せ。言葉にできてるか分からないけど伝えた返事にぎゅっと抱きしめてもらった。

目線の先に大輝くんがいた。いつもどこかで誰かが見守ってくれていた。助けてくれた。応援してくれた。交流会に向けて練習してたときも、夜一人でいる時も。私は声にならない感謝を伝えた。


まだ心臓が動いてる音を感じる、呼吸や熱も感じる。私の心臓の音はまるで小さい鳥のようによわくなってたけど、お姉ちゃんの力強い命を感じてその瞬間自分でもびっくりするくらい踊れた。

みんなが私を見てくれてる、守田先生、時音さん、倉木先生、山川先生、笹原先生、さゆりちゃん、村上さん、大輝くん、お姉ちゃん。私、踊れたよ。


視界が歪んで呼吸が苦しくなってそのうちに目も霞んできちゃった。なんだか眠たくて。

『お姉ちゃん、わたし、お姉ちゃんの妹でよかった』

私は深い眠りについた、目の奥できらきらひかるシャボン玉を見つめながら。




こういったことをずっと想いながらお芝居してました。加奈ちゃんの中の気持ちだけを綴りました。

本当に愛おしくてかけがえなのないキャラクターです。

私はお芝居する時必ずこういったことを書きながらかんがえます。それでもまだ足りなかったのかなと思ったりします。

脚本を書いたえんたくさんの意図とは違った読み取り方をしても、えんたくさんはなるほど、と聞いてくれて私の考えも飲み込んでくれたり。役についてどうしても仲良くなれない時は周りの諸先輩方が話を聞いてくれたり。

一時期お稽古場で自分の芝居をするのがこわくなる時もありました。まるで味方が居ないかのような。お姉ちゃんがもう1人になり、ダブルキャストで入ってくれた小林未往さんを引っ張っていく存在にならなきゃ行けないのに、おんぶにだっこでどうしようも無い悔しさを感じていました。

でも、自分を信じました。信じてあげなきゃ加奈ちゃんもやり遂げられなかったです。

そして2人のお姉ちゃん。小林未往さん、堀有里さんがいてくれて、2倍お芝居が捗りましたし楽しかったですし、得られるものも大きくて私の役者人生で忘れられない作品となりました。


作品に対しての愛情がどんどん大きくなって、寂しくて辛くてもう出来ないんだという気持ちがあるけど、またどこかでこの素晴らしいキャストの皆様、スタッフの皆様、ENDesPRODUCEさんにお会い出来ると信じて、これからも役者人生頑張ります!


舞台観劇ありがとうございます!


おやすみ、加奈ちゃん。


谷口加奈役、二宮響子より。