サーシャ・バイン 〜今までの人生を追ってみました〜【前編】 | kyonta♡tennis きょんたテニス

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テニス選手を全力で応援するブログです。選手のインタビュー、試合レポートなどを少しずつ更新しています。


(photo by loadtve.biz)
 

大坂なおみ選手のテニス、そしてメンタルを大きく成長させ、トップ10(世界5位)へ導いたサーシャ・バインコーチ。

その功績が認められ、今年度のWTA最優秀コーチに選ばれました。彼の考え方、そして、今までどんな人生を歩んできたのか追ってみました。

World Tennis News: How successful were you as a player?


ワールドテニスニュース:あなたはプレーヤーとしてどのぐらい成功しましたか?

 

Sascha Bajin: Up to the juniors I was solid, top 30 in Europe, beating some good guys. 

 

サーシャ・バイン:ジュニアまではしっかりやっていました。ヨーロッパではトップ30に入って、何人か良い選手を破っています。

 

When my father died, I easily lost the thread. I’ve played a few futures, but no ATP tournaments. 

 

父が亡くなった時、あっけなく道筋が途絶えたんです。いくつかフューチャーズではやっていましたが、ATP大会はありません。

I have financed my life with prize money tournaments, Bundesliga and coaching lessons, that went well.

 

賞金の出る大会で生活費を賄ったり、(サッカーの)ブンデスリーガやコーチングレッスン、それはうまくいきました。

ジュニアの有望選手だった15歳の時、自分のテニスコーチをしていたお父さんを突然交通事故で亡くし、人生が大きく変わりました。想像するだけで胸が痛みます。

そして2007年。彼に転機が訪れます。

地元ドイツのミュンヘンでテニスコーチとして働いていた時、セリーナ・ウィリアムズのヒッティングパートナーをやらないかと声がかかったのです。

 

女子のトップ選手のヒッティングパートナーは、プロのキャリアを持つ下位ランクの男子選手や、引退した男子選手のベテランが務めることが多いのですが、こういう形のオファーはかなり稀なことですね。

こうして翌年(2008年)からセリーナのヒッティングパートナーをつとめることになったバイン氏がThe New York Timesのインタビューに答えました。



(photo by The New York Times)


My name is Bajin Aleksander and I'm Serena Williams hitting partner.


私の名前はバイン・アレキサンダー、セリーナ・ウィリアムズのヒッティングパートナーです。

It means to be ready 24 hours and 7 days. It means to put in a lot of work in on the court and off the court.

 

それは24時間、7日間準備をすることを意味します。オンコートもオフコートも多くの力を注ぐという意味です。


Basically, I prepare for everything she needs.


基本的に、彼女に必要なものすべてを準備します。

 

During the tournaments, I try to hit as best as I can or as close as I can to the next opponent,

 

大会中、私はできる限りベストを尽くして、できるだけ次の対戦相手に近づけて、

 

I try to hit the next day or the same day, the way to the opponent plays.


次の日か同じ日に、対戦相手のプレーのやり方で打つようにします。

Even if there's not a tournament, if there is something when she can improve, we try to work on that.

 

大会が無くても、もし彼女が改善できる何かがあれば、私たちはそれに取り組みます。

The hitting partner’s biggest job is also to keep the player satisfied and happy on the court and as well off the court.

 

ヒッティングパートナーの最大の仕事は、オンコートでもオフコートでも常に選手を満足させて、ハッピーな気持ちにさせることです。

 

If she told me you are kind of funny guy, I can keep laughing.

 

もし彼女が、あなたって面白い人ねと言ったら、僕はずっと笑っていられます。

Players are always my first priority.


選手は常に最優先です。

I guess I can do pretty good is lol.


僕はかなり良く出来ているんじゃないかなぁ笑。


(photo by tennis world usa)


オンコート同様に、なぜオフコートでもこれほど選手に尽くすのか。WTAのインタビューを読んで理由が少しわかりました。

Sascha Bajin: "I believe in helping more than just on the court."

「単なるオンコートより、(オフコートも充実させることが)もっと助けになると信じているんです」


ジムではセリーナと一緒に体を動かしてフィジカルトレーニングをするのはもちろん、イベントの時は彼女の側について時折ボディガードもこなす。その徹底ぶりは通常のヒッティングパートナーの域を超えるほど。

それに加え、彼はおそらく前例のない、とても驚くべき経験をしているのです。→(後編へ続く)