洪金寶作品で意外と出てこない「デブゴンの太閤記」 | ビバ!アジアン映画好きな日々

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えー、前回の食人拳から約1か月が過ぎようとしておりますが皆様いかがお過ごしでしょうか。

私は暑い暑いと言いながら絶賛DQ11プレイ中でして(オイ)

ちょっと前に公開された「霊幻道士 こちらキョンシー退治局」を観て、ツイッターのフォロワーさんとそこそこに交流をしていた次第です。

 

で、話をぶった切って(今迄の前置きは何!?)今回のネタは「デブゴンの太閤記(TV放映題「燃えよデブゴン 出世拳」)」。

※2020/06/18 画像を高画質に差し替えました

 

この作品は個人的には思い入れがあって、当時のローカルでのみ日本語吹替えが入っている割とレアな作品なんですが、当時はあまり頻繁にレンタルも出来なかったので、洪金寶の作品で一番リピート率が高いのがこの作品だった訳なんですよ。

で、改めて見直してみると色んな意味で面白い作品なんですよね。

 

 

ストーリー

時は元王朝末期。

元の支配力が衰え、漢民族が勢いをつけ戦乱となった世の中で、少年は父親の遺骨を埋めるためにある土地にやってきていた。

 

少年の名はスーヤンチャン(朱元璋)、またの名をデブゴンと言った。

 

20数年の時が経ち、青年となったデブゴン(演:洪金寶(サモ・ハン・キンポー))は、その地方を支配下に置いていたチャン(演:黄家達(カーター・ウォン))の下男として毎日を過ごしていた。

ある日、チャンが呼び寄せた武術家の兄弟ウェン(演:翁小虎)とハイ(演:許天德)が現れチャンと手合せをすることに。

 

ハイがチャンと戦うが、ハイが敗れてしまう。

加減をしない一撃からウェンはチャンを非難しその場を去る。

その夜、ウェンはチャンの屋敷に侵入しウェンの父親を暗殺するが直後に見つかり、チャンに倒された。

 

後日、父親を埋葬する場所を部下のトンマオ(演:石天(ディーン・セキ))と探していたチャンは埋葬すれば皇帝になれるという縁起のいい場所を見つけるが、そこは既にデブゴンが以前父親の墓を建てていたところだった。

 

チャンは元々嫉妬深い性格であり、見よう見まねで武術の腕を高めていくデブゴンを快く思っておらず、ここに来てデブゴンが皇帝への道の邪魔になると考えたチャンは手下に始末するように命じる。

 

仲間からの知らせを聞いたデブゴンはチャンの魔の手から間一髪逃げ切り、その先で皇覚寺のローウン和尚(演:武德山)に拾われ、修行僧として過ごすことに。

 

一方、チャンは紅巾軍の一派として挙兵したカク将軍(演:岳華(ユエ・ホア))と会談を持ちかけるが、それは会談に見せかけただまし討ちであり、油断したカク将軍は捉えられてしまう。

 

これを機会にチャンは自身の敵となるものは片っ端から捉え、元王朝打倒を掲げ皇帝になる野望を持つようになる。

 

しかしチャンにも一つ懸念があった。

先の騒動でデブゴンを捕え損ねていた事である。

皇帝に登り詰めるためにはどうしてもデブゴンが邪魔だと考えるチャンは各地に兵士を散開させる。

 

その頃、先輩に妬まれながらも修行を続けていたデブゴンの前に罪人を移送する兵士の一行が現れる。

その罪人はカク将軍であり、兵士達もチャン配下の兵士でデブゴンの正体がわかるや否や捕えようと襲い掛かってくる。

 

兵士を返り討ちにはしたもののこの一件でローウン和尚が致命傷を負ってしまう。

 

ローウンはデブゴンこそ乱れた世を救う皇帝になるべきものとデブゴンに伝え息絶える。

 

ローウンの遺言を聞いたデブゴンは元王朝打倒の為に旅に出る。

 

そんな旅先で待っていたのが最初にチェンから狙われている事を教えてくれた坊主のリンカイ(演:蔡頭)、幼馴染のレイファン(演:黄玲)、謎の女性ビレイ(演:歐陽玲瓏)だった。

 

しかし打倒元王朝を掲げる彼らの前には執拗にデブゴンを狙うチェンの魔の手が伸びようとしていた―

 

 

最初に書いた通り、本作は日本においてVHSでしかリリースされておらず、DVD化されていないデブゴンシリーズの一つ。

(デブゴンシリーズってのは日本だけの括りなので念のため)

 

で、たまたまローカル放送していたのを撮っていた訳でそれを子供の時に結構繰り返し見ていたんだよね。

だから洪金寶と言われてパッとイメージが付くのが「福星シリーズ」でも「燃えよデブゴン」でもなくこの作品のイメージ。

 

ストーリーとしては一応歴史系になるのかな。

明王朝の初代皇帝である朱元璋が皇帝になるまでを描いた作品。

 

一応のメインは当時群雄割拠していた中で朱元璋と抗争した陳友諒(劇中ではチェン)との戦いを描いているのだが、史実と比べるとスケールがかなり小さく、軍同士の戦いは無いに等しく、デブゴン一行に襲い掛かる一軍隊みたいな描写になっている。

 

更に日本語吹替えになると、縁起のいい墓を先に取られた腹いせと嫉妬が行動基準となっていて、皇帝を自称している金持ちが出奔した坊さんを狙っているようにしか見えないのが難点。

 

そう言う意味もあって、歴史物ではあるが実際は名前だけが使われている功夫映画ってスタンスな作品。

 

ただ、上にも書いた「色んな意味で面白い」というのはキャストに寄る。

台湾で制作された作品ではあるが、洪金寶を筆頭に台湾製少林寺こと「少林寺への道」でお馴染み黄家達、ショウブラ出身の岳華、お笑い担当でお馴染み石天、上記のストーリーでは触れていないが「ドラゴンへの道」他で嫌味な役が多い魏平澳等、香港で活躍している俳優も少なからずいる。

 

更に本作は洪金寶は主演のみで監督や武術指導で一切絡んでないのよね。

制作年度は1978年でこの頃はゴールデンハーベストにいたはずなのでもしかしたらバイトみたいな感じで出たのだろうか?

 

コメディカンフーとしても悪くないしメンバーも割と豪華だが、ストーリーが特にインパクトもなくあっさりの為かデブゴンシリーズとしては今一話題に上がらない作品なんだよねコレ。

 

特にDVDになってない作品群の中ではファーストデブゴンである「燃えよデブゴン」や劉家良とのバトルが凄い「ペディキャブドライバー」、洪家班初仕事の「プロジェクトD(デブゴン)」等に比べるとちょっと弱い感じがするのは否めないかなぁ。

 

とはいえ、たまに「なんで今頃こんな作品が?」って作品がDVDになる事もあるのでそれに賭けるとします(賭けるな)