異形だからこそのヒーロー性も覗かせる「ゾンビ・コップ」 | ビバ!アジアン映画好きな日々

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好きなアジアン映画(主に香港・台湾映画)をメインに時々邦画洋画をだらだらネタバレ込みでレビューするブログです。
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今回は久々に趣向を変えて洋画をレビュー。

一応ブログ的には香港映画中心に特撮やタイ映画、邦画洋画をって事なんだが、実質香港映画と特撮くらいしか書いてねぇよなって思う今日この頃。

 

殊更洋画に関しては何時ぞやの「ブレインデッド」以来じゃないかな。

 

まぁその時もゾンビ映画だった訳だが、今回は特別ゾンビを狙った訳では無くて偶然ゾンビ作品だったって事で、「ゾンビ・コップ」をレビュー。

 

これは当時日曜洋画劇場で放映されていたのを何故が撮っていて、結構繰り返し見ていたんだよなぁ。

当時は香港映画はもとより激しいドンパチの映画が好きで、バディ物と名前は知らずに見ていたんだな。

 

それだけに思い出補正は強い部類なんだが、近年めでたくDVD化されたので見直してみたって次第。

 

ストーリー

街を巡回していた刑事、ロジャー(演:トリート・ウィリアムズ)とダグ(演:ジョー・ピスコポ)は宝石強盗の通報を受けて現場に急行する。

 

宝石店では二人組の強盗が宝石を強奪し、脱出しようとしていた。

 

が、ロジャー達も含め待ち構えていた警官隊の一斉射を受ける。

 

しかし致命傷レベルで被弾しているにもかかわらず一向に倒れる事無くサブマシンガンを乱射し、警官隊が次々と倒れていく。

 

そんな中、ロジャーは上司のヘルツォーク警部補(演:ロバート・ピカード)の車を拝借し、強盗に突撃を試みる。

 

強盗犯の一人は手りゅう弾を投げつけようとしたが、ダグがその手を狙撃したショックで手りゅう弾が足元におちて爆発、その隙をついてロジャーは残りの一人を拝借した車で突撃して犯人ごと壁に激突させることで何とか鎮圧に成功した。

 

あまりに今回の銃撃戦で派手な動きをしたせいで署長から雷を落とされたロジャー達は検死官のレベッカ(演:クレア・カークコンネル)に呼ばれて、今回の犯人の検死結果を聞く。

 

だが、その結果はあまりにも奇妙なもので、犯人だった二人は以前ここで検査を受けた死体であり、解剖と検死にはレベッカ自身が立ち会ったという。

つまり、銀行強盗の正体はゾンビだという。

 

そんな話を一笑に付したのが上司であるマクナッブ博士(演:ダーレン・マクギャヴィン)だったが、ロジャーはレベッカの話を信用する。

レベッカは検死した死体には大量のサルファ剤が投与されており、そのサルファ剤をダンテ製薬が大量に購入した履歴があるとロジャーに伝える。

 

話を聞いたロジャーはダグと一緒にダンテ製薬へ向かい、広報担当のランディ(演:リンゼイ・フロスト)に話を聞くがこれと言った情報は出てこなかった。

話の途中でダグがトイレに行くふりをして内部調査をすると、廃棄施設と書かれた部屋の中に謎の装置が存在しており、そのテーブルには巨漢の死体が安置されていた。

 

ダグは調べようとするとその死体がゾンビとして起き上がり襲い掛かってくる。

騒ぎを聞いてロジャーも加勢に入るが、怪力で跳ね飛ばされた衝撃で動物安楽死用の減圧室に閉じ込められてしまう。

 

ダグは何とかゾンビを仕留めたが、その間に減圧室が作動してしまい、ロジャーは窒息死してしまった。

 

通報を聞きレベッカと合流したダグは理由を話し、見つけた施設にレベッカを案内する。

レベッカは施設内を調べるとこの機械が蘇生マシンと言う事がわかり、ロジャーを生き返らせることに成功する。

 

しかし、ロジャーは体温も心音もなくゾンビとして蘇った事を知り、更に12時間後には体組織が維持できずに崩壊してしまうとレベッカから宣告される。

 

とにかく12時間以内に真犯人を捕まえる事を優先したロジャーはダグと共にまずはランディを探すことに。

 

ランディの屋敷を突き止めた二人は今まさに家を出ようとしているランディを引き留め屋敷に連れ戻す。

 

理由を聞こうとするとそこにゾンビの二人組が乱入し銃撃戦を展開する。

何とかゾンビを倒したロジャー達はランディの所持品であるビデオから2週間に死んだと報じられたアーサー・P・ローダーミルク(演:ヴィンセント・プライス)が娘であるランディに宛てたメッセージを話す映像が流れる。

 

その後、ダンテ製薬の荷物を引き取ったというスール(演:ケイ・ルーク)のいるチャイナタウンへ向かう。

 

スールに詰め寄るロジャー達だが、隙を見てスールは店内に設置していた簡易型の蘇生装置を使って、食材として置いていたアヒルや豚、牛を蘇生させ混乱の中逃げ出してしまう。

 

蘇生装置を破壊することで食材たちは動きを止めるが、スールに逃げられたロジャーたちは店内を調査しメモを見つける。

そのメモには人物の名前と死亡日、ローダーミルクの名前が書かれており、調べるために図書館へ向かう。

 

図書館で調べた結果、人物は各業界に名を残している有名人とまではわかるがそこまでだった。

 

果たしてロジャーはタイムリミットまでに真犯人を見つけ出すことはできるのか―

 

 

 

先にも話した通り、本作はテレビで録画したのを何度も見返していたのでゾンビ映画の中でも特に記憶に残っているんですよね~

 

昔はゾンビ映画自体食わず嫌いもあったんだけどあまり好きじゃなかったんだな。

 

てのが、思い込みなんだけど基本的にバッドエンドが多いってのがあって、スッキリしない後味が悪いってのがあったんだな。

 

そう言う意味ではキョンシー作品はまだ後味悪いバッドエンドってのがそんなにないんだよね。

ガチのホラーも少ないし。

 

それはともかくとして、最近になってDVDが出たので改めて見直すと、ゾンビかコレ?って思ってしまうんだよな。

 

当時ですら既に「バタリアン」やら「死霊のはらわた」とか出てたから今更ロメロゾンビの定義から外れたのは邪道と言う気もないけど、心臓が止まっているかそうでないかの違いでなんか違うような気もする。

 

でもよくよく考えれば元々のヴードゥーゾンビだって術者が指揮して人を襲う訳だから、魔術を使っているか機械を使っているかの違いで案外モダンゾンビ(所謂人食いゾンビ)では無くヴードゥーゾンビの系譜になるのかなって思った。

 

まぁバラエティには富んでいて途中のチャイナタウンでの中華料理屋では具材になる予定のアヒルや牛やらがゾンビ化してきたのは面白いね。

「キョンシー大魔王」でも鶏がキョンシー化していたが、こっちは実質害がないだけマシとも言える。

そういや、ちょっと前に放送された「アメトーク」のゾンビ芸人回でもピックアップされてたなここ。

 

また自身がゾンビと言う事もあって、ロボコップよろしく被弾しながらの銃撃戦とかゾンビだからこそのギミックもあって個人的には「なるほど、こういうのもありか」と思った。

そりゃ死なないんだし、それだったら避ける必要ない訳だし。

 

一般的には本作は精々佳作レベルの評価のようで、バディ物をベースに恋愛要素やコメディ要素などごった煮にして詰め込んだ結果今一つなところがあったようだ。

 

確かに話としては若干説明不足というか、アラはある。

結局ローダーミルクはランディに対して何を残したかったのか、マクナッブは試験と称してゾンビを私的に蘇らせては荒稼ぎしていたがローダーミルクからは特に追及も無かったし、ダンテ製薬内にあった装置では完全に蘇らせるには不完全だとするなら、ローダーミルクの言う完全な永遠の命は結局嘘っぱちになってしまう訳で。

まぁそれでもストーリー自体に支障があるのかと言えばそうでもないんだけどね。

 

で、今回思ったのは異形としてのヒーロー性と言うのかな。

途中ロジャーは残り6時間で人生が終わる事で意気消沈してしまう場面がある。

これは異形の者の苦しみと言うよりは、人ではなくなってしまう恐怖に近い。

「霊幻道士」における許冠英(リッキー・ホイ)が演じたモンチョイが徐々にキョンシー化する身体を見て恐怖する場面だな。

 

だが、この一件で親友も彼女も、そして唯一ロジャーの立場を理解していたであろうランディも死に絶えた後、ロジャーはタイムリミットまで1時間を切った状態でありながらダンテ製薬に乗り込み、同じく装置で蘇ったダグと共に装置を破壊している。

 

本来であれば捜査開始からの会話にある「自分をこんな身体にした奴を見つける」という一種の復讐心的な所から来ていて、宝石強盗から始まった一連の事件の首謀者であるマグナッブを始末することで片は付いた。

 

ローダーミルク自体には事件を追いかけている上での接点はあったが直接の繋がりもなく、ローダーミルク自身も装置を使って永遠に生きながらえようとしていただけなので、別に気にも留めなければ今後一切かかわる必要もなかったはず。

 

それを装置を完全に破壊してしまったのは自分自身のような生きているようで死んでいる、人でありながら人ではない存在を作りたくなかったからではないかと思ったんだよね。

 

そう言うのが下地にあったのかなかったのかはわからないが、私自身はどこかでそう思っていたから何回も見続けたのかなぁと思えたね。

 

エピローグは流れで観ると出口はスモークが一杯で消滅を示唆するような、ある意味救いのない終わり方なんだけど、二人が「関係あるか」と言わんばかりに明るく、会話して終わるので悲壮な感じは微塵もない。

 

まぁロジャーの声だけ聴けば布でMSぶっ潰したり、衝撃波を放ったりしそうだが(演じているのは秋元羊介氏)、まだ年代的な事もあって非常に若々しい。

 

是非一度は観てほしい映画かな。