手術説明を終えると
母と姉を見送り私は自室に戻った。
しばらくして
麻酔科医の先生から話があると
再び個室へ。
ぽっちゃり系の、同じ世代くらいの男性の医師でハキハキ言ってくれる頼もしい先生だった。
イラストを描いてくれながら説明してくれたがあまり覚えていない
ざっくり言うと
「硬膜外麻酔のやり方や効果」
を説明された。
「背中から腰の子宮近辺まで細い管を入れて麻酔をします。骨と骨の間から管を入れて神経に触らないように管を落としていきます。」
「手術部位に1番近い場所へ直接麻酔を入れる事が出来るので、ダイレクトに痛みを取り除く事ができます。」
「術後も硬膜外麻酔は抜かれる事なく、数日は硬膜外麻酔から痛み止めを入れていく。」
こんな感じだったと思う。
承諾書にサインしながら
先生が何か質問あるかと聞くので
「硬膜外麻酔、痛いと聞きますが痛くなくなるコツはありますか?」
と聞いてみた。
先生「これは患者さんとの連携が大きいです。痛いも痛くないも患者さんの姿勢によります。
結構グッと🦐エビのように丸くなって貰った方がやりやすい・痛くないです。」
「カテーテルが入る時や少し神経に触れた時、びっくりして丸めた背中が動くと挿入されたカテーテルが中で触るので余計に痛いです。」
「グッグッと押される感覚がしますが、動じずに動かずに…が硬膜外麻酔のコツかと思います」
私「先生あと私、皮膚が弱いので数日も同じテープを貼られるとかぶれます。刺激の弱いテープってありますか?」
先生「そうですか。対応します。安心して下さい。ちゃんと伝えますね。」
サインを終えて、先生に頭を下げる。
先生「明日頑張りましょう」
もう21時も過ぎていた。
先生達は寝る時間あるんだろうか…
仕事といえど
帰りたいだろうに私のせいで…
私の為に…
今までテレビでしか見た事ない
こんな大掛かりな手術、経験するなんて
もっともっと先の事だと思ってた。
ついに明日なんだ…
思うと涙が止まらない。
先生「痛みは極力取ります。小さな事でも何でも言って下さい。痛みは緩和させられます。恐怖もないです。大丈夫です。信用が1番大事です。
あと体力も。ですので今夜寝れそうになければ眠剤も出せますので看護師に言ってくださいね。」
仕事なんだって分かってても
その一言の優しさが沁みて
涙が止まらない。
部屋に戻らなきゃ…
私「先生、信じてます。ご迷惑お掛けしますがどうぞ宜しくお願いします。お忙しい中お時間頂きありがとうございました。」
頭を下げて部屋にもどった。
もう消灯時間は過ぎていた。
ベッドに入り、
子宮辺りを何度も何度も
ごめんねと謝りながら
時間がこのまま止まって欲しいと願いながら
夜明けを待った。