一睡も出来きず朝を迎え

看護師さんが検温しに来たり
手術着を持ってきたり薬を持ってきたり…
午前中は何かとバタバタしていた。

気がつけば母と姉が到着し
手術説明のPM3:00を迎え、

緊張して待っていたが
緊急手術が長引いてるらしく
呼ばれたのはPM7:00だった。

個室に呼ばれる。

後藤先生とあと2人。若い女性の先生が笑顔で迎えてくれた。

後藤先生「大変お待たせしてすみません。キョンさんの主治医、執刀します後藤です。2人は今後の担当医となります山口、三河です。また手術もこの3人のチームとなります。どうぞ宜しくお願いしますね。」

山口、三河先生「宜しくお願いします。」

優しそうで可愛いらしい先生。

母と姉も 宜しくお願いしますと頭を下げると
どうぞお座り下さい。と促され椅子に腰掛ける。

後藤先生「お待たせしてすみませんでした。
            では、手術説明させて頂きますね。」


おおよその話は
告知をうけた時と変わらない内容で
母も2度目の話なので少し余裕があるのか
キャパオーバーにならずに聞けているようだった。


後藤先生「昨日、内診をしまして検査時と変わらず腫瘍は3.5㌢程。手術可能と見込んでいます。
手術は朝9時ですが、硬膜外麻酔と言って背中の脊髄の方から細い管を入れて麻酔をします。その作業に30分程かかるのと、その他諸々に時間もかかるので始まるのは10時辺りですね。」

後藤先生「硬膜外麻酔については麻酔科の先生から後で説明がありますのでまた承諾書にサインをお願いしますね。」

後藤先生「あと、キョンさんには事前に自己血輸血3パック採ってもらってますが、希な血液型なのでもし出血が酷い場合、自己血が足りない場合を想定して赤十字からもう1パック用意しました。」←B型(rh-)

後藤先生「手術は順調良く行けば大体14~15時くらいに終わると思います。その後リカバリ室で1時間ほど様子を見て、大丈夫そうなら自室へ戻れると思います。」


一通り説明したあと

他に質問はあるかとの問いに

頭のなか真っ白だったが
出た言葉は

私「膣を短くする事によって何の不具合が生じますか?排尿障害が出るのはこの為ですか?」

とわけわからん事を質問してしまった。

先生は表情変えずに

「子宮は膀胱と直腸の間にあります。この2つに挟まれてる状態と思って下さいね。」

「お腹を開き、膀胱の奥にある子宮とその周りのリンパ節を大きく切除するのですが、膀胱の周りには無数の神経がありまして、かき分ける様に子宮のリンパ節を切除していきます。」

「昔はお構い無しに膀胱の神経も切除しながら子宮を取っていましたが、今の技術は大体どれが膀胱の神経なのか分かるようになりました。全く傷付けずに切除というのは難しいのですし、多少の排尿障害は残ります。人それぞれですが
損傷した神経はゆっくりと新しい神経を作っていくので時間と根気で回復はしていくと思います。」

「膣ですが切除する際、3㌢ほど短くなります。パートナーとの性交渉に少し障害が出る可能性があります。相手の長さによるので何とも言えません。膣が短いので長さによっては突き当たりますしパートナーとは今まで通りとはいかないかもしれません。」



内臓1つ失う事によって
今まで出来ていた事が難しくなる。


こわいけれど、もう後には引けない。



後藤先生「膀胱神経はなるべく傷付けないよう細心の注意を払います。腫瘍に関しては取り切るつもりでいます。一緒にがんばりましょう。」




これまで黙って聞いていた母が


震える声で

「変わってあげたらどんなにいいか…


       先生…ご迷惑をお掛けしますが…


        娘をどうぞ…宜しくお願いします。」


背中を丸くし、震える母の背中を姉が擦る。

私「大丈夫!取り切ってくれるって言ってくれてるし先生信じて待ってて?」



…うん…うん…



頷く母を見て覚悟を決める。

どの道、あとには退けないんだから

ここまできたんだから…




私「ご面倒お掛けしますが
       明日はどうぞ宜しくお願いします。」

立ち上がって頭を下げる。

先生も、頷き
頑張りましょう。
と言ってくれた。