理佐を殴ろうとする志田。
しかし理佐はその拳をいとも簡単に止めてしまった。
そして…
バチーーーーーーン
理佐「…はぁ…」
平手「ま…愛佳ーーーー!!!!」
カウンターでビンタを受けてしまい、ぷかぷかと海に浮かんだ。
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志田「鼓膜が破れるかと思った💢」
私たちは海から上がって理佐の部屋にいた。
志田「大体、なんで私が殴られんだよ…私が理佐殴ろうとしたのに!」
志田「理佐がてちに夜な夜な襲いかかろうとしてるから…」
理佐「襲いかかってないし」
理佐「例え襲いかかったとしても…愛佳に殴る権利ないと思うけど」
その言葉に志田は『はぁ?』という顔をしている。
平手「そうだよ…愛佳にそんな権利ない」
私はスマホを取り出して待ち受けを出すと、志田の目の下がピクピクしだした。
待ち受けは…先生と笑いあってる、ツーショット。
平手「こんなもんで何…こんなもんで!引いたくせに、一日中口も聞いてくれなかったのに…私がどんだけ傷付いたと!」
志田「だから朝イチで謝ろって思ってここに来たんじゃん」
そして志田は私の持っていたスマホをバッと奪って怒鳴り声をあげた。
志田「"こんなもん"じゃない!引いて何が悪い?」
志田「元恋人の隣でヘラヘラ笑うてち見て、平気でいられるほうが変だから!」
そして志田は強引に私の腕を引いて、部屋から出ていった。
理佐「ちょ…愛佳!」
志田「東京も理佐の家も全然安全じゃない…」
平手「愛佳!?」
そして志田が連れていった先は…
志田「てちを帰れないとこに閉じ込める」
この島は潮が満ちると孤立して、朝日がのぼるまで帰れなくなる。
平手「秋葉島に行くつもり!?戻ろうよ、愛佳…今戻らないと帰れない…!!」
そう抵抗する私をよそに志田はまだ腕を引っ張る…
グッ
平手「…っ」
ぴくぴくぴくぴくぴくぴく
志田のばか。嘘が下手くそ。
いつも大事なことを言おうとする時、目の下がピクピクする。
私はモゴモゴする志田の足を踏んで、無理やり手を離した。
志田「い"っ……ちょ、おい!てち!」
言わないで…私、今はまだ愛佳の気持ちに応えられない。
応える気持ちを持っていない。
私は木の枝の上に座って隠れていた。
あぁ…帰り道が海に沈んでいく。
子供の頃、秋葉島に志田を閉じ込めたのは私だったのに
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『可哀想に、友梨奈ちゃん…また家の外でひとりで遊んでるわ』
『平手さんの奥さん、最近荒れてるものね』
『知ってらっしゃる?ご主人が愛人の家から返ってこないんですって』
『しょっちゅう大声でケンカしてるもの』
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平手「愛佳、私と一緒に秋葉島に行こう」
志田「友梨奈ちゃん、やめようよ。秋葉島は危ないから子供だけで行っちゃだめってパパが…」
平手「愛佳!おじさんと私、どっちの言う事を聞くの!!」
志田「で、でもぉ…ぐすっ、うぅ…」
平手「う、うわぁぁぁん!お父さんもお母さんも、私のことなんて要らないんだ」
平手「愛佳だけ…私には愛佳しかいない 愛佳だけが大事なのに」
ぴくっ
ぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴく
志田「うちもっ!友梨奈ちゃんが1番だいじ!」
そして幼い頃の二人は秋葉島に入って一晩中ただ座っていた。
平手「帰り道…なくなってくね」
言った気持ちは本当だった。
でも 大袈裟に泣いたのは戦略
愛佳をこの島に閉じ込めて、私のものにするための。
幼い頃の志田は消えて行く帰り道に不安を抱いていた。
志田「ねぇ友梨奈ちゃん。もし、帰り道が戻らずずっと帰れなくなったらどうしよう?」
平手「帰れなくなったらここに住めばいいよ」
平手「この木の上で空と海を見ながらずーっと、2人で暮らすの」
そう話すと気付いたら志田は寝ていた…
そう、ずーっとずーっと…
二人きりの島 二人きりの世界で…
そして眠る志田にキスをした…
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ばんっ
志田「見つけたっ」
平手「!」
志田は私を見つけて木の上に乗ってきた。
そして私の両腕を物凄い力で押さえつける。
志田「わかってて2度も逃げ出すなんて、よっぽどうちの気持ちを聞きたくないらしいから」
志田「言うの辞めた。言わなくても簡単にわからせる方法あるし」
そう言って志田は私に顔を近付けた。
あ…志田は私に…
ゴキッ
もうそろそろキスされそうな所で私は抵抗して志田の顎を殴った。
志田「いたっ!!何すんだよ、てち!!」
志田「てか島に帰ってからうちを殴ったの何回目!?理佐といい、てちといい」
志田「私何キャラ!?なんか悪いことした?」
平手「だって愛佳が私に、その、キ…」
志田「キスくらいしようとするよ!仕方ないでしょ、てちが私の気持ち全然聞いてくれないから…!」
平手「言わないで!!!」
平手「…聞きたくないんだもん…」
私は耐えきれず涙目になってしまって、全てから逃れるように自分の耳を塞いだ。
そして、ぎゅっと目を瞑った。
志田はなにかを話している、でも、何も聞こえない。
あの頃 私にとって志田は
何より大事な 初恋の人だった。
なのにどうして 心は変わってしまったんだろう。
3年間毎月のように送り続けてくれたハガキに 私は応えを出していない。
平手「言わないで、愛佳。私は何も持ってない、愛佳を傷付ける言葉しか…」
志田「でも…うちは…っ!」
平手「私はもう恋なんてしちゃダメなんだよ」
平手「…先生を好きになったの、東京の学校で…たくさんの人を巻き込んで、たくさんの人を傷付けて、最後には逃げた…」
平手「そんな私が 今度は愛佳の気持ちから逃げるなんて…」
志田「逃げればいいじゃん」
志田「私に逃げてきなよ!」
そう言って志田は私を抱き寄せた。
そして大きく深呼吸して…
志田「てちが好きだーーーーーっ!!!!!!」
バサバサバサ…
志田の叫んだ声に鳥たちが飛んでいく。
そしてまたぎゅっと抱きしめる。
平手「!」
志田「好き…大好き。子供の時からずーっと好き。」
志田「『もう恋しちゃだめ』なんて、一生恋しないなんて無理じゃない?」
志田「だから私は言う。おちるまで言う。今日は変わんないって思ってた気持ちも明日には変わるかもしれないじゃん」
志田「だからさ…てち」
志田「私と付き合ってください」