2024/09/04 日刊ゲンダイDIGITAL
河野デジタル相が 3日の会見で、次期総裁にふさわしい人物を問う世論調査で 自身の支持率が
落ちている要因について、マイナ保険証に言及。「 改革を推進すると、『今、困ってないのに
何でこんなことやらなきゃいけないの』という声は当然出てくる 」「 それを承知の上で 改革して
いかなければ、この国のためにならない 」などと訴えた。
改革に反対の声が上がるのは 当然だが、それでも 国のためを思って断行する ──
と、言いたいらしいが、まさに 物は言いようである。医療現場からも、患者からも、不評をかこつ
マイナ保険証をゴリ押しすることが「 国のため 」とは笑わせる。
支持率下落の要因は ひとえに、「 現行の保険証を残せばいい 」との声を無視して、任意取得の
はずのマイナカードを アノ手コノ手で 実質的に強制しているからだ。
河野大臣と二人三脚でマイナ保険証の利用促進を図る厚労省も、強権ぶりが 度を越えている。
厚労省は 先月30日の医療保険部会で、マイナ保険証の利用実績の低い医療機関に「 個別の働きかけ 」
を行う方針を掲げた。さらに 利用促進のために 現行の保険証の回収を“奨励”までしている。
健康保険組合連合会(健保連)が 組合向けに出している Q&Aには、マイナ保険証の加入者が
現行の保険証を「 自主返納 」してきた場合の取り扱いについて対応が示されている。 回答は
健保連と厚労省が協議して決めたものだ。
■自主返納の対応を 百八十度転換
今年1月時点では 自主返納に関して、保険証廃止期日の12月1日まで〈 受け付けないこととして
頂きたい 〉と周知していたが、5月に全面改定。〈 保険証の回収勧奨 及び自主返納に関しましては、
保険者から十分な周知・説明をおこなったうえで 本人が自主返納することは、差し支えありません 〉
と、対応を百八十度変えたのだ。
厚労省に改定の理由を聞くと、「 マイナ保険証の利用促進の一環として、自主返納の取り組みを
すすめたいとの要望が組合側からあったため、一定の条件を置いて方針を示した 」(保険課)
とのこと。あくまでも 任意の返納が前提だから問題ない、との立場である。
どうやら、マイナ保険証に加入しても、現行の保険証を所有していると 現行の保険証を使う人が
多いから、自主返納させよう、ということのようだ。 すでに 現行の保険証を回収している組合も
あるという。政府がお墨付きを与えてまで、マイナ保険証の利用実績を積み上げる「改革」とは
何なのか。
◇ ◇ ◇
マイナ保険証の利用率は 7月時点で 11.3%。警察庁が 法令上の本人確認書類から「健康保険証等」を削除する方針を示した背景など、
●関連記事
『もはや任意じゃなくて強制…12月2日のマイナ保険証一本化に向けて強まる国民への包囲網』
で詳報している。