TSMC、米から116億ドルの補助金・融資獲得-半導体3工場で 

                                       2024年4月8日      - Bloomberg

   米政府は 半導体受託生産大手、台湾積体電路製造(TSNC)に対し66億ドル(約1兆円)規模の

補助金と 最大50億ドル相当の融資を提供する計画だ。 同社が アリゾナ州で進める工場の建設を

後押しし、重要技術の国内生産に向けたバイデン政権の取り組みを強化する。

 8日発表された暫定合意によると、TSMCは アリゾナ州フェニックスに第3工場を建設する

見通し。同州の第1、第2工場は それぞれ 2025年、28年に生産を始める見込みとなっている。

今回の支援パッケージは 米アップル や エヌビディア向けに 半導体を供給するTSMCが予定する

3工場の投資(650億ドル超)を下支えすることになる。

 TSMCの第3工場は 次世代の回路線幅2ナノメートルプロセス技術に頼り、20年代末より前の

稼働を予定する。レモンド米商務長官は人工知能(AI)など 新興テクノロジーや軍事にとって、

2ナノ半導体は 必要不可欠だと指摘。発表前のブリーフィングで記者団に対し、「 米国内で米労働者

と共に 最先端の半導体を初めて量産する 」と述べた。

TSMCは 25年に 台湾でまず2ナノ品を生産する計画だ。

 

  バイデン政権にとって、TSMCへの補助金・融資は 22年成立の半導体投資法に基づく米半導体産業

の底上げで新たな節目となる。

 米インテルは 200億ドル近い補助金・融資を受ける方向で すでに暫定合意に達する一方、韓国の

サムスン電子も 60億ドルを超える補助金を受け取る見通し。

米商務省は 旧世代の半導体を製造する企業に 3つの補助金を付与し、数週間以内に マイクロン・

テクノロジーに対する 数十億ドル規模のパッケージも発表する見込みだ。

 

            インテル、米工場拡張で約200億ドルの資金獲得-政府が半導体支援

 

 TSMCの劉徳音会長は発表文で、「 半導体投資法に基づく資金を受けることができれば、

TSMCは 前例のない投資を行い、最先端の製造技術を持つ当社のファウンドリー(受託生産)

サービスを米国で提供する機会を得ることになる 」と説明した。

 別の政権高官によれば、今回のプロジェクトは 投資の税控除による恩恵も受ける見通し。

発表前だとして 匿名を条件に話した。

 

   TSMCは 米国内でつまずきも経験しており、第1工場では 労働組合との数カ月に及ぶ対立などで

生産開始が遅れるほか、2ナノや3ナノ半導体の生産を予定する第2工場の稼働も、市場環境や

米政府の支援レベルを巡る不透明感で 当初の26年から28年に先送りされた。

  また、少なくとも 1社のTSMCサプライヤーが 人員の問題で アリゾナプロジェクトの断念に

追い込まれた。

 TSMCは 熊本県などでも生産プロジェクトを進めている。