前防衛副大臣「県と事前協議あった」 佐賀空港・自衛隊共同使用

 「地元経済人が誘致」

               2015/07/21   佐賀新聞 

 自衛隊が導入する新型輸送機オスプレイの佐賀空港配備計画公表から1年を機に、当時、

防衛副大臣を務めていた 武田良太自民党副幹事長が 佐賀新聞社の単独インタビューに応じ、

佐賀空港選定の経緯について「 地元経済人から、地域振興のため自衛隊との共同使用を求める打診

があった 」と証言した。・・・

 

 

佐賀空港の自衛隊使用要請に関する論点整理 - Saga

         令和5年3月1日 佐賀市

 

第1章 佐賀空港の自衛隊使用要請

  1 佐賀空港の自衛隊使用要請に係るこれまでの経緯

  

  平成26年(2014)7月22日、武田防衛副大臣が 佐賀県及び佐賀市を訪問し、佐賀空港の自衛隊使用

について 次の3点を要請された。 

 

   ・ 陸上自衛隊が 今後導入を予定しているオスプレイを 佐賀空港に配備すること。 

     具体的には、佐賀空港に隣接する場所に 駐機場を整備し、離着陸には 佐賀空港を使用すること。

   ・ 市街化が進む目達原駐屯地に配備されているヘリコプターについても、佐賀空港に配備すること。

   ・ 沖縄の負担軽減のため、米海兵隊の訓練移転先として 佐賀空港を利用すること。

 

  その後、同年8月に 小野寺防衛大臣、同年10月及び平成27年2月に 左藤防衛副大臣が

佐賀県及び佐賀市を訪問し、改めて 同様の要請をされたが、同年10月 29日、中谷防衛大臣が

佐賀県及び佐賀市を訪問し、米海兵隊の訓練利用に係る要請について取り下げられた。

 

  これらの要請に対し、佐賀空港の設置者である佐賀県は、その計画の全体像・将来像を明確にする

ための精査・確認作業を行い、その上で 議論、検討が行われた。

その間、平成28年(2016)3月24日には、佐賀県議会において、佐賀県に対し、県民の安全・安心を

守る責務等を第一にしながらも、空港を抱える当事者として、議論の前提となる環境を早急に整える

とともに 国の動きに対して 的確に対応することなどを要請した「佐賀空港の陸上自衛隊配備に関する

決議」が可決された。

  また、同年5月には、防衛省による現地調査が行われ、同年6月に 若宮防衛副大臣が佐賀県及び

佐賀市を訪問し、新たに 整備される駐屯地の具体的な場所 及び施設 の配置計画案について示された。

  さらに、地元自治会等からの声を受け、同年11月に、佐賀空港周辺での米海兵隊 MV‐22 オスプレイ

によるデモフライトが行われた。

 

   これらの経緯を踏まえ、佐賀県は、平成29年(2017)5月に「 佐賀空港の自衛隊使用要請に関する

論点整理素案」を公表した。

   その後、同年7月3日に、佐賀県議会としては、防衛省の計画を受け入れるべき と判断せざるを

得ないとして、佐賀県に対し、今回の防衛省の要請を受け入れる判断等を要請した「佐賀空港の

陸上自衛隊配備に関する決議」が可決された。

 

    一方、佐賀市議会においては、平成26年(2014)10月に「自衛隊等の佐賀空港利用に関する調査

特別委員会」を設置し、その後、約3年間にわたり、多くの自衛隊関連施設や関係自治体等の視察、

防衛省に対する要請活動、参考人招致等を実施しながら 協議を重ね、平成29年(2017)12月19日、

佐賀市議会として 防衛省の計画を受け入れざるを得ないと判断し、 公害防止協定書に基づく

事前協議を行う環境を整えながら、防衛省の要請を受け入れることを 佐賀県に要請するとともに、

地元自治体として 諸問題の解決に向けて 積極的に 県に協力することを 佐賀市に要請することなど

を趣旨とする「佐賀空港の陸上自衛隊配備に関する決議」が可決された。

 

   平成30年(2018)7月、小野寺防衛大臣が 佐賀県 及び 佐賀市を訪問し、オスプレイの機体の安全性

及び 安全対策の方向性について説明をされた。

  同年8月24日、山口佐賀県知事と小野寺防衛大臣が次の内容の合意事項を確認し、その後、

佐賀県は、防衛省からの要請を受け入れた。

  <合意事項> 

 佐賀空港の民間空港としての使用・発展に影響を及ぼさない との従来の確認を前提として、

    1  環境保全と補償に関する協議会の設置

    2  防衛省の着陸料100億円の支払と佐賀県の基金の創設 

    3  オスプレイの安全性に関する情報共有のルール化 

 

   なお、佐賀県は、佐賀空港建設時に 現在の佐賀県有明海漁業協同組合(以下「有明海漁協」

いう。)、旧川副町(現佐賀市)及び 現在の佐賀県農業協同組合との間で それぞれ 公害防止協定

を締結している。 そのため、佐賀空港の自衛隊使用要請を受け入れる場合は、それぞれの協定に

基づき 事前協議を行う必要がある。

   また、現在の有明海漁協との公害防止協定覚書付属資料には、「 県は 佐賀空港を自衛隊と共用

するような考えを持っていない 」と記載されており、佐賀県が 今回の防衛省からの要請を受け入れる

場合は、有明海漁協に対し、公害防止協定覚書付属資料に記載のある佐賀県の考えを変えることに

ついて、了承を得なければならない。 

 

    そのため、同日、山口佐賀県知事が 有明海漁協を訪問し、公害防止協定覚書付属資料の変更に

ついて協議を申し入れた。 同年9月、佐賀県は、オスプレイの機体の安全性等に関する 防衛省の

説明 や 山口佐賀県知事 と 小野寺防衛大臣による合意事項の確認などを踏まえて加筆・修正を行い、

「 佐賀空港の自衛隊使用要請に関する論点整理 」を取りまとめた。 

 

   令和元年(2019)5月、山口佐賀県知事が 有明海漁協を訪問し、公害防止協定覚書付属資料の変更

について、改めて 協議を申し入れた。 同年8月、防衛省が 有明海漁協に対し、計画の概要、

排水対策などの環境保全対策等について説明、同年9月から令和2年6月までの間、有明海漁協各支所

においても説明を行った。 

   また、令和3年(2021)6月から同年7月にかけて、防衛省が 有明海漁協4支所(早津江、大詫間、

南川副及び広江)の地権者に対し、地権者説明会を開催した。 

 

   同年12月14日、有明海漁協の組合長が 山口佐賀県知事を訪問し、佐賀県からの 公害防止協定覚書

付属資料の変更申入れに対し、次の3点が示されることを条件に見直し手続を行う旨の回答をした。 

     1  計画予定地の工事期間中も含めた 排水対策の具体的な考え方

     2  計画予定地の土地の価格(目安) 

     3  計画予定地西側の土地取得についての考え方 

 

  これを受け、同月22日、山口佐賀県知事が 岸防衛大臣を訪問し、対応を要請した。 

その後、令和4年(2022)1月から6月までの間、有明海漁協、防衛省、佐賀県の実務者による

「 排水対策等の3条件に関する意見交換会(三者協議会)」が  計4回、実施さ れた。 

   同年7月26日 及び8月10日、有明海漁協の検討委員会において、防衛省が3条件について説明し、

その後に、公害防止協定締結時の当事者であった 有明海漁協6支所(諸富町、早津江、大詫間、

南川副、広江及び東与賀町)の組合員を対象に 防衛省の説明会が開催された。

 

同年 10月24日、山口佐賀県知事が 有明海漁協を訪問し、6支所合同会議の場で、改めて佐賀県

の考えを説明し、同年 11月1日、有明海漁協において、公害防止協定覚書付属資料の変更が決定

された。 同日、有明海漁協 及び 佐賀県が確認書に署名・押印し、「 佐賀空港建設に関する

害防止協定覚書付属資料 」が変更された。

    翌2日には、佐賀県政策部長が 佐賀市を訪問し、公害防止協定覚書付属資料の見直しまでの経緯

を説明され、同月10日に 井野防衛副大臣が佐賀市を訪問し、協力の申入れがなされた。 

その後、同月18日、防衛省は、佐賀市議会に対し、佐賀空港の自衛隊使用要請に係る計画等について

説明を行った。

 

   佐賀市議会は その後、令和5年(2023)1月23日、 「 佐賀空港の自衛隊駐屯地計画に関する

調査特別委員会」を設置した。 

 また、佐賀市は、令和4年12月から令和5年2月にかけて、防衛省に対し 疑問、 懸念等についての

照会(14項目、121点)を行い、その回答の精査・確認作業を行った。 

その間、令和4年12月25日 から 27日まで、県内3会場において、佐賀県民 及び佐賀県に勤務される

方を対象とした、佐賀県 及び防衛省の共催 並びに佐賀市の協力による住民説明会が開催された。 

   また、令和5年1月29日 及び2月5日に、川副校区説明会 及び東与賀・諸富校 区説明会が 防衛省の

主催 及び佐賀市の協力 並びに佐賀県の出席により開催された。

 

・・・

 

 

第2章 立地自治体としての疑問、懸念等に関する防衛省の説明概要 及び

 それらを踏まえた市民生活への影響等の整理 

   1 米軍の佐賀空港利用について

 2 オスプレイの安全性について

 3 施設配置(案)について

    (1) 火薬庫・燃料タンクの安全性について

    (2) 配備機について

    (3) 隊員等の居住について 

 4 環境への影響について

    (1) 騒音の生活環境への影響について 

    (2) 低周波音の生活環境への影響について

    (3) 下降気流(風圧)の影響について

    (4) 排気ガスの大気への影響について 

    (5) 環境アセスメントについて

  5 産業への影響について

    (1) 騒音の漁業への影響について

    (2) 下降気流の漁業への影響について 

    (3) 排水の漁業への影響について

          (4) 電波等の漁業への影響について

    (5) 漁業の浚渫工事等への影響について

    (6) 漁業への影響に対する補償等について

    (7) 騒音・低周波音の農業への影響について

    (8) 下降気流(風圧)や排気熱の農業への影響について

    (9) 排水による農業への影響について

    (10) 照明の農業への影響について

    (11) 電波等の農業への影響について

    (12) 農業への影響に対する補償等について

 

 

  衆議院議員原口一博君提出

   自衛隊が導入するオスプレイの佐賀空港配備計画に関する質問主意書

 

    平成二十六年七月二十二日、当時の武田良太防衛副大臣(以下「武田前副大臣」という。)は、

   佐賀県に対し、自衛隊が導入するオスプレイの佐賀空港への配備を要請した。
    平成二十七年七月二十一日付の佐賀新聞は、本件の経緯に関する武田前副大臣へのインタビュー
記事

   を掲載した。同記事の中で、武田前副大臣は、佐賀空港選定の経緯について、佐賀県に要請する一年以上前

   に佐賀県の経済人から、地域振興のため民間と自衛隊による佐賀空港の共同使用を求める打診があった旨

   述べており、この地元経済人の打診が、沖縄県に集中している在日米軍の基地負担軽減を模索していた政府に、

   具体的に佐賀空港を選ぶきっかけになった可能性があると報じている。
    右を踏まえ、以下質問する。

 

   自衛隊が導入するオスプレイの佐賀空港配備計画に関する質問に対する答弁書 

                  平成二十七年(2015)九月十八日