寺田 静

6時間  · 

【実態は・・・わからない?】

日頃私たちが口にする食品や水に、どれだけの農薬が残っているのか。

この素朴ながらとても大事な問いの答えを求めた結果、看過できない現状が浮かび上がりました。

きっかけは、秋田市の水道水からEU基準の8.7倍のネオニコチノイド系農薬の成分が検出されたとの地元紙の報道です。

そもそも、農薬の使用許可、または登録の取消等の管理責任は農林水産省が担っています。

しかし、実際には、

使われた農薬が、水や土壌、水生生物、鳥類などにどう影響を与えるのかは環境省、

農薬が食品に残存していても人の健康に影響がないとする範囲や基準を定めるのは厚生労働省、

その上で、食品安全委員会が、食品の安全を各省庁から独立し安全性を担保する、

という分担となっています。

従って、今回報道された水道水の水源の安全性に関しては環境省が所管となります。

その環境省ですが、秋田市の水道水の水源に関して毎年検査を実施して安全を確認しているのか気になるところですが、答えは「NO」でした。

環境省は、水道水の水源地となる場所における水質調査を毎年行っているとしています。

ただ、この「河川モニタリング調査」の調査実態を過去20年間分振り返って調べてみると、調査が行われているのは毎年3〜10道府県だけであり、かつ、それは順番で行われているわけでもなく、自治体の協力を仰ぐという名目のもと、実際には「手上げ方式」といって、自主的にやることを決めた都道府県を環境省が支援する方法で行われています。

従って、この20年間で毎年調査をしている県もあれば、一度も行っていない県も存在しています。

さて、我が秋田県ですが、残念ながら13年前から一度も調査が行われていません。

ネオニコチノイド系農薬は、主に稲作で使われるものですが、全国の米生産量ランキングで上位となる米どころで毎年のように調査が行われているのは、北海道のみでした。

秋田県のみならず、新潟県も、お隣の山形県も、調査に積極的ではありません。

そもそも、農薬については、登録時の想定と実態がかけ離れている場合や、想定外の問題があった場合等に、その農薬の登録を行なった農水省が農薬の登録を取り消す(使用禁止)権限を持っています。

問題があるということを認知するには、実態調査が行われていることが大前提になるはずですが、その調査自体が本格的には行われていない現状が明らかになりました。

質疑にあたり農水省の方にお話を伺った時には、「何か問題があれば話が聞こえてきているはず。現状そのような話はあがってきていないので問題がないはずだ」とのことでした。でも、その「何かあれば」が十分に把握できる仕組みとなっているのかは、上記の通りあまりにも心許ない状態であるとしかいいようがありません。

私は、農薬を使用することを否定的に捉えているわけではありません。

国として許認可権限をもち、もって安全性を確保しているとするならば、しっかりと実態調査を国の責任で行うべきだ、との問題意識です。

環境省が、厚労省がそれぞれ把握しているはず、おかしな数字が出たら聞こえてきているはずだから大丈夫なはず、ではなくて、農薬に関することの最終責任を農水省が背負っている以上、もっと細やかに現状把握をしておく必要があると考えます。

農薬の環境中への影響は不断に確認がなされ、水源は定期的に調査がされている、という当たり前だと信じて疑わなかったことが、今回の質問を契機に私の中で揺らぐことになりました。

水源という誰もが無関係ではいられないものの安全性について、心に曇りなく安全だということができるように、本件に関しては継続して議論を重ねていきたいと思います。

(質疑の様子はコメント欄のリンクからご覧いただけます)

2人、、「河川モニタリング調査 (農薬残留対策総合調査) を実施した都道府県 年度 平成15年度 平成16年度 調査した都道府県 都道府県 大阪 北海道、 青査 徳島 埼玉、 神奈川、 兵庫 北海道、 島根 平成18年度 平成19年度 平成20年度 平成21年度 平成22年度 平成23年度 平成24年度 平成25年度 島根、 茨城、 埼玉、 島根 島根 秋田、 北海道、 平成26年度 北海道、 長野、 大阪、 島根、 高知 大阪、 高知 茨城、 栃木、 埼玉、 千葉、 京都、 大阪、 奈良、 北海道、 大阪、 奈良 奈良 平成30年度 平成31年度 (令和元年度) 令和2年度 令和3年度 令和4年度 令和5年度 北海道、 京都、 大阪、 兵庫、 香川 兵庫、 北海道、 京都、 香川 香川 香川 兵庫、」というテキストの画像のようです

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