米軍のPCB廃棄物、日本政府が把握できず 「高濃度」未処理なら違法状態

      流通量の届け出義務も米軍に効力なし

                   2023年6月27日       琉球新報デジタル

  【東京】人体への有害性から国が流通量を把握することにしているポリ塩化ビフェニール

 (PCB)の廃棄物について、米軍が保有する総量を把握できていないことが 26日、防衛省

    などへの取材で分かった。 防衛省は 高濃度PCBも残っている可能性があるとみている。

    高濃度PCBは 処理期間を過ぎており、民間業者なら 違法状態に相当する。

     政府関係者によると、米軍のPCBは 県内を含めた基地内で保管されている。県内では

    過去に 嘉手納基地や牧港補給地区などで PCBの保管や汚染が問題となった。

     安全確保などのためにPCB特別措置法で、流通量を把握できるよう民間事業者には都道府県

    への届け出が義務付けられる。だが、米軍には 必ずしもPCB特措法が適用されず、保管状況が

    把握できていない。日本国内で調達したものの他、国外からも持ち込んでいるとみられる。

    防衛省環境政策課は「 在日米軍の廃棄物は 米側の管理下にあるので把握が難しい 」と説明した。

     環境省によると、高濃度PCBは 遅い地域でも 今年3月末に処分期間を終えた。一方、

    救済措置として 現在も処分自体は可能。低濃度廃棄物の処分期間は 2027年3月末まで。

    琉球新報は 20日に在日米軍司令部にPCBの処分方針を問い合わせたが、26日までに 回答

    はない。                                                                 (明真南斗)