2023.05.31 Smart FLASH
5月29日、財務大臣の諮問機関「財政制度等審議会」が、政府が 6月にまとめる「骨太の方針」
についての意見書を、鈴木俊一財務大臣に手渡した。
「 意見書では、少子化対策、子育て支援、高齢者医療、男女共同参画などについての政策や財源
について提言していますが、そこに 参考資料として示されていたデータが衝撃的で、関係者の間
で話題になっています 」(経済担当記者)
意見書では 「医療」についての課題として、《 コロナからの正常化を進める中で、改めて今後の
医療の在り方を議論すべき時 》とし、その一例として、新型コロナワクチンの《 集団接種単価
及び コールセンター単価に バラツキが生じ 》たことをあげている。
「 参考資料の『集団接種単価とコールセンター単価』を見て唖然としました。接種を担った医師の
時給が書いてあるのですが、最小は3404円、平均で1万8884円。ところが、最大で17万9800円と
の記述があるのです。意見書も《一部、著しく高額になっている自治体もある》と指摘しています 」(同)
《 新型コロナにおいて 十分な数の病床が提供されたとは言いがたい 》という反省とともに、
多くの患者たちが路頭に迷った病床問題については、2020年から2021年にかけて《 合計90万床程度
のうち、確保したコロナ病床は 全体の5%程度 》と報告している。
「 さらに、《 我が国では コロナ発生以来3年間にわたり、コロナ病床確保のインセンティブとして、
総額約5兆円の病床確保料が各病院に交付されている 》として、平時の入院診療収益が 病床1床当り
1日3万5974円なのに、重点医療機関のICUでは43万6000円と12倍もの病床確保料を交付していた
ことも明かされています 」(同)
そのため、国公立病院を含む病院の利益率は 0.6%の赤字(2019)から 7.5%の黒字(2021)
に V字回復。《 この3年間、病床確保料、ワクチン接種支援に加えて、感染防止対策、ワクチン接種
・検査の費用など医療提供体制のために主なものだけで 21兆円程度の国費による支援が行われて
いる 》だけのことはある。
非常時だったとはいえ、病院を大きく儲けさせた 国と自治体のコロナ対策について、医師で
医療経済ジャーナリストの森田洋之氏が こう語る。
「 医療を “ 産業 ” や “ ビジネス ” として 捉えてきた日本の医療制度に問題があるでしょう。
アメリカを例外として、世界の先進国は 医療を “ 国民の安全保障 ” とみなし、ビジネスに開放
していません。
日本人は 比較的健康なのに、人口あたりの病床数は 世界一で、欧米の5倍もあるんです。
本来なら病床が埋まるはずがないのに、埋めないと経営が成り立たないから埋めているのです 」
これは、コロナ前から 厳然として存在していた日本医療の「不都合な真実」だという。
「 世界一の病床を持っていたにもかかわらず、その 5%しか コロナ病床に使えなかったのは、
ふんだんな病床を昔から無駄な治療で埋めているからです。
そして、それを知っていても 国は手を出せません。なぜなら、医療を “自由なビジネス” として
病院にまかせているため、お金を交付する方法でしか、病院の方針を誘導できないのです 」
日本が 新たなパンデミックに襲われたとしても、根本が変わらないかぎり、同じ失敗を繰り返し
そうだ。