“アベノマスク裁判”で国が全面敗訴 単価開示で明らかになる安倍政権「負の遺産」

        相澤冬樹   2023/03/01  日刊ゲンダイDIGITAL

       

 「アベノマスク単価の開示を命令」
 注目の判決結果を裁判所前で知らせる “旗出し”だ。大阪地裁で 28日、通称「アベノマスク裁判」

の判決が言い渡された。

 コロナ蔓延初期、全国の世帯に配布された布マスク。安倍首相
(当時)の肝いりで“アベノマスク”

と呼ばれたが、小さい、遅い、雑だ、と散々な評判だった。
 全国で 1億枚以上が配布されたが、国は 単価を明らかにしていない。情報公開請求に詳しい

神戸学院大学の上脇博之教授が求めても 開示しなかったし、国は 今に至るまで価格を明らかにして

いない。

 なぜ開示しないのか? 価格がわかると 納入業者の正当な利益を害する。それに 国の今後の業務

の妨げになる恐れがある、からだそうだ。ホントにそうか?

 国民の
税金を使って購入した アベノマスク の価格がわかったからといって、そんなことがありうるか?

というか、そもそも 国民に知らせるべき情報ではないか? 政策が妥当かどうか検証できないでは

ないか? そこに疑問を持った上脇教授は、価格の開示を求めて 裁判を起こした。

 

   判決は、金額を開示しない理由はない と指摘。価格を開示しないとした国の決定を取り消し、

開示すべきだという判断を示した。原告の要求を ほぼ全面的に認めた勝訴判決だ。

 ちなみに 判決理由要旨の読み上げで裁判長も「アベノマスク」という"俗称"を使っていたのが

クスっと笑えた。そうとしか言いようがないからだろう。

 会見で 原告弁護団長の阪口徳雄弁護士は……。

  「 随意契約でやっておいて 単価を明らかにしない。およそ理解ができないわけです。これは

やはり 安倍官邸が とにかくやらなあかんということで始めた。その負の遺産を明らかにしない

ことで 役所は安倍さんを守ってきた。そういう失敗事例を明らかにするひとつのきっかけに、

この判決はなるのではないか」

■本人は 回顧録で「政策は間違っていなかった」

 

 アベノマスクについて安倍さん本人は、最近話題の回顧録でこう語っている。
 「 いろいろ言われましたが、私は 政策として全く間違っていなかったと自信を持っています 」

 

これに対し 原告の上脇教授は……。

  「本当に妥当だって言うんだったら 正々堂々と出せばいい。そんなに誇れるもんだったら

(価格を)出してくださいよ」

 この判決が確定すると、国は アベノマスクの価格を初めて公表せざるを得なくなる。さらに

契約過程を記した文書の開示訴訟も進んでいる。アベノマスクを突破口に、安倍政権の負の遺産が

明らかになるかもしれない。