週刊新潮 2021年8月12・19日号掲載
史上最多となる 9個の金メダルを獲得した柔道の日本代表。お家芸の完全復活に、山下泰裕
JOC会長も ほっと胸を撫でおろしたことだろう。 だが、好事魔多し。 山下会長も理事に名を連ねる
国際柔道連盟(IJF)のお歴々が、緊急事態宣言下 トーキョーで、連夜 “酒宴”に興じていたのである。
日本武道館でオリンピック柔道の熱戦が繰り広げられた7月下旬、広い宴会場の円卓には
深夜11時過ぎまで 数十人の外国人客が集まっていた。酔いが回るにつれて 会話は大音量となり、
笑い声も響き渡る――。
酒宴の舞台となったのは、東京・永田町にある 「ザ・キャピトルホテル東急」 の大宴会場「鳳凰」。
菅総理が 番記者や秘書官などと 朝食会を開くことでも知られる この高級ホテルに宿泊していたのは
IJFの幹部たちだ。
事情を知るホテル関係者が声を潜めて打ち明ける。
「 IJFの方々は、五輪開会式の数日前から 10日間ほど キャピトルホテルに宿泊されました。鳳凰の間
を貸し切りにして、半分を ミーティングルーム、残りの半分を 朝と晩に食事を取る会場として使って
いたのです。 海外のVIP客を受け入れるのは ホテルとしても 名誉なことです。 ただ、スタッフの間で
疑問の声が上がったのは、宴会場で 酒類を提供していたからに他なりません 」
五輪開幕を目前に控えた 7月12日、都内では 4度目の緊急事態宣言が発令された。飲食店には
20時までの時短営業に加え、酒類提供の一律停止も要請されている。
「 キャピトルホテルでも レストランは 20時で閉店し、アルコールの提供は休止しています。
ルームサービスを除けば、宴会場の一般利用者にも お酒は出していません。 それなのに、IJFの
皆さんには 20時以降も飲食を認めていた。しかも、食前のシャンパンやワイン、スコッチウイスキー、
ビールに日本酒や焼酎まで提供していました 」(同)
酒に酔って騒ぎも
柔道が 五輪序盤を大いに賑わし、そこに酒が加われば、IJF幹部が盛り上がるのも仕方ない話だ。
「 酒に酔った数人が 宴会場を出て騒ぎを起こしたとも耳にしました。予約が少なかったので、他の
利用客との接触はなかったようですが……。 会場内のアクリル板の仕切りは 申し訳程度で、
ほとんどのIJF関係者がマスクをつけずに大声で会話をしていました 」(同)
五輪関係者が酒宴を許されるなら、街場の飲食店の“禁酒令”も解除するのが筋というもの。
渋谷のスポーツバー「フィールズ」の田中守店長は 憤りを隠せない。
「 サッカーやラグビーのW杯では 連日、200人以上が押し寄せましたが、東京五輪では お客さんは
ほぼゼロ。にもかかわらず、五輪関係者だけ 例外扱いするなんて最悪ですよ。 我々は ルールを
守って 20時以降の予約を泣く泣く断っているのに、一部の人だけが 宴会を開くなんてあり得ない 」
ホテル側に質すと、
「 お客様のプライバシーに関する事になりますので、お答え致しかねます 」
と回答するのみ。