五輪関係者のコロナ感染入院で始まる「病床逼迫」…日本国民は後回しの可能性も

                                          7月17日                  日刊ゲンダイ

 

 23日開幕の東京五輪では、陸上や水泳といった アスリート競技とは異なる別の“戦い”が繰り広げ

られるかもしれない。 各国の五輪選手団、関係者 と 日本国民による病床の“争奪戦”だ。 

 

   東京五輪のために来日した関係者が 新型コロナウイルスに感染し、都内の医療機関に入院したことが

分かった。ナイジェリア選手団の一人で、15日に 成田空港の検疫で新型コロナ陽性が確認され、

60代後半と年齢が高く 基礎疾患があったことから入院が決まったという。  

   来日した大会関係者の入院は 初めてだが、今後、同様のケースが相次ぐ可能性は 高いだろう。

なぜなら、東京五輪では 新型コロナ感染者の濃厚接触者となっても、通常の14日間の隔離が

求められず、競技前の6時間以内のPCR検査で 陰性と判定されれば 出場が可能となる特例措置が

取られるからだ。  

 このままでは 最悪、競技場内でクラスター(感染者集団)が発生し、陽性者がどんどん入院する事態

になりかねない。  

 

  五輪をめぐり、政府は 「バブル方式」と称し、来日する大会関係者らに厳格な行動制限を求めている

ものの、実際は ほとんど守られておらず、メディア関係者らが隔離もされないまま入国。 さらに

行動の制約も受けずに 自由に外出する姿が報じられている。

  彼らは 母国でワクチン接種を受けているから問題ない、と考えているのかもしれないが、新型コロナ

の陽性者が かつてないほど急増する東京都内を動き回り、自由に飲食すれば どうなるか分からない。  仮に 各国関係者らに感染が確認された場合、菅政権が 「安全安心の大会」 と世界中にアピール

している以上、ホテル療養で様子見というわけにはいかないだろう。そのまま 医療施設に即入院だ。

そうなれば 最悪、新型コロナの感染が判明した日本国民の入院は 「後回し」という事態も現実味を

帯びてくる。  

   病床不足が深刻化するのは、これからかもしれない。