https://www.nikkei.com/article/DGXKZO59069230T10C20A5EA2000/

                             2020/5/14

 

 

 

劣後ローンとは|金融経済用語集 - iFinance

  劣後ローンは、借り手(債務者)の企業や金融機関などが 経営破綻または解散した際に、元利金

 返済が 他の債務よりも後になるローン(金銭消費貸借)であり、また株式(無議決権優先株)に近い性質

 があるため、債務者にとっては 自己資本に近い性格を持ちます。
  一方で、貸し手(債権者)にとっては、返済順位が 通常の債権より低く、万一の時に
回収できないリスク

 が大きい反面、金利は 通常の債権より高めに設定してあります。

 

  劣後ローンは、日本においては、BIS規制 (自己資本比率規制)をクリアできるようにするために、

 1990年に導入が認められ、当初は 金融機関の財務体質の強化策として活用されました。
    銀行や保険会社、証券会社などでは、劣後ローンが 自己資本規制比率上の自己資本の一部と

 みなされたことから、バブル崩壊後の金融危機や経営難の際には、多くの金融機関で用いられました。

 (銀行への公的資金投入の際にも、一部、劣後ローンの方式で資本注入が行われた)

  その後、時代の変化の中で、銀行等の金融機関が 従来より取り組んできた「
シニアファイナンス

 より運用リスクが高い「メザニンファイナンス」にも取り組みようになり、メザニンファイナンスの手法の

 一つである 「劣後ローン」が 企業向けにも行われるようになりました。

    ※ シニアファイナンス(Senior Finance)は、他の債権より優先的に弁済される、相対的に

     リスクの低いファイナンスのこと
    ※ メザニンファイナンス: ローンや普通社債等による「デットファイナンス」と、株式等による

     「エクイティファイナンス」の中間に位置するファイナンス手法。

 

   劣後ローンは、企業が破綻した場合などに 銀行等の金融機関が債権回収できる順番が通常の

 融資と比べて劣後するローンをいいます。これは、企業にとっては、資本増強に近い借入であり、また

 バランスシート上では、負債(借入)と資本(出資)の間に位置します。

   現在、金融機関は、一定の要件を満たす劣後ローンについては、自己査定上、資本的劣後ローン

 として、資本と同等にみなすことができるため、デット・デット・スワップ(DDS)によって、既存の融資を

 劣後ローンに切り替える金融支援策でも活用しています。
  ◎金融機関にとっては、通常の融資と比べて回収リスクが高いため、その分、金利も高く設定する。
  ◎上場企業等の場合、劣後ローンによる資金調達は 資本の増強に近い性格を持つため、格付機関

  からの評価を高めることができる。また、新たに株式を発行することなく資本を増強できるため、株式

  の希薄化を避けられる。
  ◎中小企業等の場合、政府系金融機関などから劣後ローンで資金調達をすると、民間金融機関から

  見た企業の財務の健全性が高まり、通常の融資を受けやすくなる。