[ロンドン/フランクフルト 11日 ロイター] - ドイツ銀行(DBKGn.DE)は11日、新型コロナウイルス感染拡大
を背景とする 最近の市場の混乱を受けた決定で、他の銀行が 追随する可能性がある。
ドイツ銀が返済を見送るのは 総額 12億5000万ドルのAT1債(その他ティア1債)。
AT1債は 偶発転換社債(CoCo債)の一種で、銀行が発行する債券としては 最もリスクが
高い。償還期限がない 永久債と同等に扱われるが、償還可能日を迎えれば 返済できる。
ドイツ銀のAT1債は 4月30日に償還可能日を迎える。
AT1債は、発行体の銀行の財務が悪化した場合、公的資金で救済するのではなく、債券の
保有者が損失を被るよう設計されており、2008年の金融危機後に出回るようになった。
AT1債を発行する銀行は これまで、償還可能日を迎えてから すぐに返済するのが通例
だった。 ただ、例外的なケースもあり、スペインの銀行サンタンデール(SAN.MC)は昨年、返済を
遅らせた。
欧州企業の社債販売を担当する銀行関係者は「 市場の混乱で AT1の発行体が償還を
見送るとの見方が強まった 」と指摘。償還を見送るほうが 大幅にコストが低いと説明した。
最近発行された他のCoCo債は、感染拡大が 深刻なイタリアの銀行が発行したものを
中心に、新型コロナ流行の打撃を受けている。
伊銀UBIバンカが 1月に発行したAT1債(発行額4億ユーロ)は 9日に利回りが 174ベーシス
ポイント(bp)急騰し、7.17%となった。伊銀バンコBPMの CoCo債は 利回りが 9.67%と、
月初の 6.6%から大幅に上昇している。