2020年3月12日 / 10:21 / 4時間前更新

ドイツ銀、償還可能な債券の返済見送りへ 市場の混乱が影響

 

[ロンドン/フランクフルト 11日 ロイター] - ドイツ銀行(DBKGn.DE)は11日、新型コロナウイルス感染拡大

を背景とする 最近の市場の混乱を受けた決定で、他の銀行が 追随する可能性がある。

ドイツ銀が返済を見送るのは 総額 12億5000万ドルのAT1債(その他ティア1債)。

AT1債は 偶発転換社債(CoCo債)の一種で、銀行が発行する債券としては 最もリスクが

高い。償還期限がない 永久債と同等に扱われるが、償還可能日を迎えれば 返済できる。

ドイツ銀のAT1債は 4月30日に償還可能日を迎える。

      ※ CoCo債(ココ債)とは|金融経済用語集

 

  AT1債は、発行体の銀行の財務が悪化した場合、公的資金で救済するのではなく、債券の

保有者が損失を被るよう設計されており、2008年の金融危機後に出回るようになった。

AT1債を発行する銀行は これまで、償還可能日を迎えてから すぐに返済するのが通例

だった。 ただ、例外的なケースもあり、スペインの銀行サンタンデール(SAN.MC)は昨年、返済を

遅らせた。

 欧州企業の社債販売を担当する銀行関係者は「 市場の混乱で AT1の発行体が償還を

見送るとの見方が強まった 」と指摘。償還を見送るほうが 大幅にコストが低いと説明した。

 

  最近発行された他のCoCo債は、感染拡大が 深刻なイタリアの銀行が発行したものを

中心に、新型コロナ流行の打撃を受けている。

伊銀UBIバンカが 1月に発行したAT1債(発行額4億ユーロ)は 9日に利回りが 174ベーシス

ポイント(bp)急騰し、7.17%となった。伊銀バンコBPMの CoCo債は 利回りが 9.67%と、

月初の 6.6%から大幅に上昇している。