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スポット情報
米国におけるインフルエンザの流行

   【ポイント】
  ●米国で インフルエンザが流行していますので,適切な予防策を講じてください。
  1 米国におけるインフルエンザの流行

 

  (1)現在,米国で インフルエンザが流行しており,アメリカ疾病管理予防センター(CDC)は,

   今シーズンにおいて これまでに少なくとも 症例 2,200万例入院 21万例死亡 1万2,000例

   があったと推定しています。
 
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 参考
  ○米国疾病予防管理センター(CDC)ホームページ: Influenza (Flu)(英文)

 

 

 参考
  ○厚生労働省ホームページ:インフルエンザ(総合ページ)

    https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/infulenza/index.html 

       ↑ を開くと、リンク切れ

 

 

                                                     

    インフルエンザ 日本の死亡数

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  ヘルスプレス

   新型コロナへの過剰反応、アメリカのインフルエンザではすでに死者1万人超

                         2020.02.06

    新型コロナウイルス感染症の実態が ようやく見えてきました。パニックを起こしかけた日本ですが、

    専門家の方々の怒涛の発信で、多くの医療者はだいぶ冷静に見られるようになってきたのではない

    でしょうか? 

     同じコロナウイルス肺炎である SARSやMERSより 致死率は ずっと低く、感染率は 麻疹や水痘の方

    が かなり高そうです。海外を行き来する人が多い地域に開業する 一臨床医としては リアルタイムで

    情報を入手できるSNSの発達は本当にありがたいものです。

 

   ◆新型コロナの迅速検査はなく、一般の医療機関にはない

     さて 国民の皆さんには、この機に 新型コロナに限らず、インフルエンザ でも 麻疹でも、感染しやすい

    病気を疑った時の 受診行動を見直していただきたいと思います。

     まず、診断のために 医療機関を受診することはやめましょう。例えば 新型コロナの検査に

    インフルエンザのような迅速検査はなく、診断には 特別な検査が必要で 一般の医療機関で検査は

    できません。受けられる人は 限定的で 自費であっても 自分の希望では 受けられません。

     インフルエンザには 迅速検査がありますが、感度が低く、この検査が陰性でも インフルエンザを

    否定することは出来ません。 インフルエンザで軽症でも、熱がなくとも医療機関を受診する人が

    あとを絶たないのは、抵、学校や会社を「公的に」休むための診断が必要だからです (これも再考

    が必要です)。

 

    ◆ 軽症で受診して 免疫力が落ちた他の人にうつす というリスク

     一番問題なのは、治療の要らない軽症者が 医療機関を受診することで、重篤な疾患を抱えている

    患者さんが 沢山いる医療機関で ウイルスをばらまいてしまうことです。麻疹、風疹、水疱瘡は、治療

    できなくても 診断が必要かもしれませんが、とにかく 感染力が強くて、特に 麻疹や水痘は患者さん

    と同じ空間にいただけで感染します(空気感染)ので、あらかじめ連絡して受診していただかないと

    大変なことになり得ます。

     残念ながら、現在 医療機関が入り口で仕分けをして、感染症の患者から他の患者を守っている

    ケースは稀です。抗がん剤で治療中の人、自己免疫性疾患で治療中の人、ステロイドを内服中の人、

    呼吸機能が落ちた人、そんな免疫力が落ちた人の横に、他人にうつしやすいウイルスを持った人が

    座っていたら、どうなるか想像がつきますか?

    知らないうちに 自分のばらまいたウイルスで、誰かが亡くなっているかもしれないのです。自分を守る

    ことと同時に他者への想像力を働かせてください。

     この際、指定医療機関以外の大きな病院は アクセス制限をして、他人にうつしやすい感染症が

    疑われる人の受診を制限された方がいいでしょう。そうでなければ、それ以外の重大な疾患を持つ

    患者さんを守れません。安心して通院し 治療が受けられる権利を確保することは大切です。役割分担

    をして、治療を優先させるべき疾患を分けていただく方が理にかなっています。

      2月1日の「新・情報7days」という番組で、武漢からのツアー客を乗せたバスの運転手とバスガイド

    さんがどのようにして感染したか、実証実験をやっていました。とてもわかりやすい実験で、あれを

    見た方は、感染の可能性がある局面では、あちこち触れた手で目をこすったり、鼻や口を触る前に

    手指のアルコール消毒が必要だと理解されたのではないでしょうか。

     また、インフルエンザ等の感染性疾患にうつったかなと思った本人は、人にうつさないよう、医療機関

    に入る時は 入り口で 手指のアルコール消毒をし、その後も 目や鼻や口を触る度(マスクの上から

    でも触る度)アルコール消毒しないと、ウイルスの拡散を防ぐことは出来ません。こういう基本的なことを

    学校で是非教えて欲しいですね。

 

 

    ◆ 感染を疑い受診して 感染してしまうリスク

 

     感染を疑った人が診断を求めて 医療機関を受診する弊害は まだあります。 実は、最近も、

    どう考えても ごった返す医療機関を受診して、インフルエンザをもらってきたとしか思えない患者さん

    がいました。そう、軽症で 医療機関を受診することによって、かえって感染してしまうのです。やはり、

    医療機関は、診断をつけてもらいに行くところではなく、治療が必要な人が行くところです。軽症者は

    自宅療養で治してください。そうすることによって、少ない医療資源(人的、時間的、金銭的)を本当に

    必要な人の治療に集中させることができます。

     医療機関への問い合わせにも注意が必要です。電話での医療相談をする前に、かかったかなと

    思ったら、早めの○○ではなく、喉を潤し休息です。 日常の診察時も、薬を飲んで見た目は解熱した

    まま働き続けている人の なんと多いことでしょう。そして 公的な機関、信頼できる筋からの情報収集等、

    自分で出来ることは自分でやりましょう。

     当院も電話での問い合わせには苦労しています。小さな診療所で一人のスタッフと電話回線が占領

    されます。今回のような事態では、指定医療機関にも電話が殺到し、本来の業務に支障をきたして

    います。

     致死的な感染症のパンデミックが起きれば、ほとんどの医療者は、感染のリスクにさらされます。

    自分が感染しているリスクを考えれば、しばらく 家に帰れなくなるでしょう。一般の方々は想像しにくい

    でしょうが、前線の医療関係者にとっては、命を賭けた戦いになります。

 

   ◆ 新型コロナより深刻なアメリカのインフルエンザ大流行

     現状では 新型コロナより インフルエンザの方が深刻です。今年流行しているインフルエンザA型は、

    2009年に 新型インフルエンザとしてパンデミックになった H1N1型です。再びパンデミック化しています。

    アメリカでは なんと 1900万人が罹患し、既に 1万人亡くなっているそうです。日本でも 例年 1万人程度

    の方がインフルエンザで亡くなっている と推計されています。インフルエンザで 日々亡くなる方が出て

    いるというのに、こちらの方は、新型インフルエンザとして 大騒ぎしたあの頃の騒ぎが嘘のように、

    すっかり対岸の火事です。

     今年のインフルエンザワクチンは、H1N1型をカバーするものです。新型コロナと違って、ワクチン

    である程度予防できるのです。有効率3、4割と言われていますが、重症化は防ぎますし、毎年接種

    することで、通年性のインフルエンザにも有効です。今からでも遅くはないので ワクチン接種をお薦め

    します。さらに インフルエンザは 抗ウイルス薬もあります。今流行中の麻疹・風疹に至っては、ワクチン

    を2回接種していれば、ほぼ防げる病気です。にも拘らず、ワクチン接種に関して 皆さん極めて鈍感

    です。自分を守るためだけでなく、病気のために ワクチン接種できないでいる人、1歳以下(定期

    接種前)の子供、妊婦さんといった人たちを守る(集団免疫)という考え方も是非知って下さい。

     

     新型コロナには 診断キットも ワクチンも 抗ウイルス薬もありません。ですが、感染しても ほとんどの

    人は自分の免疫力で治せます。ですから 一番大切なのは、通常の自分の健康管理です。疲れ過ぎ

    ないこと、よく寝て、水分をしっかり摂って、大勢の人が集まるような場所では、あちこちを触った手で、

    不用意に 目、鼻、口を触らないことです。 

     もう一つ、万が一 うつってしまったかもしれないと思った時は、自分が感染源とならないような細心

    の注意が必要ですが、いわゆる 「無症状病原体保有者」(症状がなく検査で陽性になった人)は 人に

   うつす可能性も低いので、自宅療養で十分なのです。

     医療資源には、限りがあります。国民全体で優先順位を考え、有効利用しなければ 感染症は抑え

    込めないし、他の疾患で 医療機関が必要な患者さんにしわ寄せがきます。

     まず、各自打てるワクチンは きちんと接種して下さい。喉がイガイガするのだけど、少し咳が出る
    のだけど、ちょっと頭がいたいのだけれど、感染が心配という方、他者への配慮ができていますか?
    それでも病院へ行きますか?    
  

           筆者: 坂根みち子(さかね・みちこ)
             坂根Mクリニック院長。 筑波大学医学専門学群 筑波大学大学院博士課程卒業。

          筑波大学附属病院、筑波記念病院、きぬ医師会病院、茨城西南医療センター病院、

          筑波学園病院、流山総合病院、総合守谷第一病院、おおたかの森病院などを経て現職。  

            日本体育協会公認スポーツドクター、認定内科医、循環器専門医