経済学者 vs 妊娠出産神話 | きょもの楽しい嬉しい

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きょも珍道中。ホテル、飛行機、美味しいものが好きです。

以前、アメリカでは、日本と比較して、医師が情報とリスクの軽重を患者に呈示し、患者に意思決定が委ねられている…と書いたのですが…

最近、両親学級の受講を通じて感じたのは、アメリカでもまだまだ「神話」が蔓延していて、曖昧なことが沢山あり、意思決定が脅かされがちなのではないか…ということでして。まるで、どの宗教に属するかの決断を迫られてるような…。

それぞれの個人、家族が置かれた状況を鑑みて、何を取って、何を捨てるか、きちんと判断していきたいけれど、そもそも、その前提となる情報が「曖昧」だなぁって思うことがあるんですよね。学術研究がまだまだ発展途上で、個々の助産師などの経験知に頼りがちな領域なのかもしれませんが…。信じる信じないの世界だな…って。


例えば、母乳に関して、赤ちゃんの免疫にとって重要です…とさらっと言われるわけですが、母乳によって得られる「免疫」が一体何歳まで、どの程度まで子どもを保護するものなのかは一般に解説されず、また、WHOやユニセフ関連の指針が持ち出されることもあるけれど、それらは衛生面で不安のある国々の妊産婦も対象にしている点を鑑みて評価すべきなのではないかと思ったり…。私はできるだけ母乳育児で…とは思っているのですが、でも、母乳のメリットだけ強調されて、母乳教への入信を勧められるけれど、その一方で、万が一、母乳が出なかった場合に、撤退するための指針は呈示されないんですよね。どの程度のメリットなのかが正確にわからないことには、例えば全く母乳が出なくて赤ちゃんに脱水というリスクが生じたときに、天秤に乗せて取捨選択することも難しいわけですよね。細かいバランスがとれなくなる。そして、盲信するのは簡単だけど、その信仰が果たされなかった場合、ただ精神的に追い詰められるだけなのではないか…。それこそ、産後うつのリスクを上げるだけなではないか…。


そんなことを考えていたときに、知人に教えてもらった本がこちら。Emily Oster "Expecting Better" (2016) ※改訂版。日本語版は、エミリー・オスター『お医者さんは教えてくれない妊娠・出産の常識ウソ・ホント』(2014)。

シカゴ大学ブース(MBA)で教鞭をとる経済学者が、妊娠を機に「曖昧なアドバイス」や「全面的な禁止」にストレスを感じて、経済学的な意思決定のプロセスを、妊娠出産にも応用することにしたんだそう。「優れた意思決定をするには、情報とデータを手に入れ、それを自分なりのプラスとマイナスの評価と組み合わせることが大切だ」「妊婦になると、子供に逆戻りする気がする。いつも誰かに『それをやってはいけません!』と言われているようなものだ。…『コーヒーは1日2杯まで』。なんで?と私は思う…リスクの高さについて、どんな数字が出ているの?そんなことはどこにも書いていない」とのことで、ご自身で医学論文をあたり、文献を検証したのだそう。数字やら統計やらの読み方の訓練ができてるわけだから、そりゃ応用ききますよね。


ということで、明日図書館で借りてこようかなーと思っていて、まだ、読んでないのですが、なんていうか、医療の現場全般に言えることなんじゃないかって思いまして。試し読みではしがきを読んだだけなのですが、全ての医療関係者に読んで欲しいなと思ったのでした。産まれるまでに読み終わる気がしないので忘れないうちに紹介


追記
まさかの一瞬で読み終わりました笑!かなりわかりやすい!飛ばし読みもしやすかったです。1日で読了。ぱっと見の感想ですが、若干不完全燃焼な部分もありますし、著者の主観に引き摺られてるところもある感じでしたが、悪くないです。日本からお取り寄せした宋美玄先生著の『産婦人科医ママの妊娠・出産パーフェクトBOOK』とこの本で十分だなー思いました。二冊とも、変な信仰とさよならさせてくれるよい本だと思います。スッキリします。


なんか今日乗ったLyftのドライバーが挙動不審で落ち着きなさすぎて怖かったんですけど(多分、精神的に若干問題を抱えてるだけでクスリとかじゃないんだろうけど、乗ってる方としてはかなり怖かった)、まだまだ恐怖が拭えず夜中にこんな記事書いて気を紛らわせてます。ということで、色々おかしい点とかあると思いますが、どうかご容赦ください…。なんかもう、今日の恐怖体験、まだ消化できない…。そちらもブログにして下書きにしたんですけど、なんか、まだ怖いのでとりあえず放置します。