沼ノ原~五色岳 | 独り言ちの山暦

独り言ちの山暦

「風の又三郎、又三郎、早く此さ飛んで来!」「この頂で赤道から北極までの大循環の自慢話を聴かせてくれ。」

 

      2021.9.19。

      朝4時に自宅を出た。

      朝霧が立ち込める中、クチャンベツ登山口を目指した。

       層雲峡を過ぎる辺りから車が増えた。

       向かう先は同じらしい。この山を目指したのは間違いだったかな、と思いな

       がらも先へと進めた。銀仙台はシャトルバスの運行で自家用車は進入禁止

       である。

       大雪高原温泉の入り口が銀仙台へ向かう車の駐車場になっていた。

       ここで何台かは減った。

       そして何台かとは高根ヵ原に向かう分岐とでで別れる。

       それでも4台が続けてクチャンベツ登山口に向かう。

         5時30分ころに登山口に到着。すでに駐車場は満車状態だ。

         ようやく隙間を見つけて無理やり駐車できた。

        グループの登山者が多いようだ。

        ヒサゴ沼での一泊、みんな重いザックを背負っている。

        五色岳ピストンの日帰り装備は自分だけのように思えた。

        明日は月曜日だろう?

        月曜休みの人が多いのかな、と思った。だが慎重に考えると明日は

        祝日だった。

        それで合点した。

        何の祝日なのかは分からない。

        もう祝日が何時なにかも判然としない。ましてその日が一体、なぜ祝日

        なのかは勝手にしやがれである。

       この分なら「元旦」以外の祝日はもう知らない世界のことになるだろう。

        今日は晴れた。

        6時前にスタートしたが肌寒いくらいだ。

       でもこのくらいの気温が登山には最適だ。

       やはり9月の登山は最高だ、と順調に歩を進める。

       体が軽やかだ。休憩をとる必要もない。

       来年からは9月の仕事は止めようかなと考えた。

       9月、この月は登山のために空けておく必要があるかもしれない。

         まあ、来年のことは考えても仕方あるまい。

         だが未来は彼方にあるけど永遠にあるわけでもない。思案の

         しどころだ。

         登りは順調だった。日が降り注ぎアウターを脱いだ。

         紅葉が奇麗だと思った。

         冬を迎えるために草木はその生命を一瞬に輝かせる。

         紅葉を眺めながら、自分の人生を、もう一度輝かせることができる

         だろうか。

         自問した。

        だが輝かせる必要があるのかわからない。

        成長を目指し輝くことが仕合せではない。成長を止めてわかる

        仕合せもある。

        時間を垂直ではなく水平に使えたら良いのにな、と思う。

         晴れ渡っていた空も五色岳に着いた頃はガスに覆われていた。

         ヤマップを見ると5時50分にスタートして頂上は9時18分であった。

         風も強い。視界はない。

         次に登ってきた方は忠別岳まで行くという。

         テンクラはこれからは「A」。多分、忠別の頂上ではピカピカ

         ですよ。

        展望の利かない頂上は15分ほどで早々に撤退した。

          ゆったりと下った。

         下りのほうが景色が良い。

         五木寛之が本に書いていたことを思い出した。

         人生も下り、下山が味わいがあると。

         いま自分は人生の何合目を下っているのか、下っていることに

         間違いがないのだからこの人生を味わいたものだ。

         後悔はしないようにしよう。

         どんなに頑張って生きてみても完全な生き方などありやしない。

          登山だっておなじことだ。これで満足だと言う登山などはあり

          やしない。

          足跡を残す必要もない。

          出会ったこと経験したことが全てだ、と割り切りたいと思う。

         多くの方々とスライドした。

         この地球環境があと何年持つかわからないが、取返しのつかない

         ところまで来てしまたことは間違いない。

         そう思うと交わす笑顔が少し寂しい。

         五色ヵ原の中央部に敷かれた木道も傷んできた。

          この修理には多額の費用と労力が必要だろう。

          登山者の応益負担を考えるときだ。

        二ぺが悠々しい。今年も行くことが出来なかった。

        来年には、と思うが。 

         

          13時ジャストに登山口。

          走行距離20.5Km.所要時間7時間11分。

          帰宅後ビールで喉を潤した。

          この時間がいま一番の仕合せなのだ。

          今日は頂きもので愉しんだ。枝豆と落葉キノコである。

          MIYAさんからいただいた枝豆はプロ級の出来栄え。売り物にな

          るね、と家内は感心しきり。

          万感をもって感謝です。