軍艦山(東大雪) | 独り言ちの山暦

独り言ちの山暦

「風の又三郎、又三郎、早く此さ飛んで来!」「この頂で赤道から北極までの大循環の自慢話を聴かせてくれ。」

 
   19.4.21。
   東大雪に位置する軍艦山。いかにも勇ましい山名であるが、国土
   地理院には標記されていない。誰がどの思いで名付け引き継がれ
   てきたかは知る由もない。その山が今回のターゲットである。
   十勝生まれの自分としては何時も感動し、かの地生まれしを誇らし
   く思うのが三國峠展望台からの光景である。
 
    いまもニペソツ山とウペペサンケ山がこれほどまでに歓迎してくれる。
    深い樹林とその先に広がる平原に果て無き夢を結んだ我が祖先。
    この地に立ち思うのだ。その開拓の鍬、鎌、何よりも不屈の根性が自分
    たちに継承されているだろうか、と。
 
     その思いを飲み込むと遠い過日が、今日のように迫ってくる。
     現実に目を凝らすとウペペサンケ山の前に台地にように横たわる
     が今日の軍艦山である。
 
     いま一番に登りたい山。それはニペソツ山であること、Syun1
              さんとも意が一致する。
     だが彼は今年厳冬期に登頂してしまった。
     何度目かになるニペソツ山を今年は是非登りたいものだ。
 
     そのニペソツ山の登山口である幌加温泉手前から今日はスタート
     である。
     7時15分。3台の車があったが昨日からのようである。多分、二ペ
     狙いであろう。ツボ足で大丈夫と判断しスタート。
     間もなくゲートである。ニペソツ山まで12.5kmとある。日帰り登山
     も何とかなりそうだ。
 
    暫くは林道を2km程歩く。雪も固まっており順調と言えるペース
    である。
    2Km程で2俣に林道が分かれるが左側を300m程進みco840で林道
    から尾根に取り付く。そこは雪もなく藪を這い上がるが僅かな距離
    である。 
 
 
    co900からは直登を避けるように左側へと登る。それでもかなりの
    急登である。
    加えてやっかいなのだ。雪渓を辿るが突然、落とし穴に嵌ったように
    ズッボっと股まで踏み抜く。これは予想しないことに出遭うアクシデ
    ントで心と身体にダメージを大いに与えるのだ。
 
     でも何故か楽しいのだ。
     トドマツの中、倒木を跨ぎ笹をかき分け仰角48度に覗く蒼空を目
     指す。
     そこは何十歩かで彼方に消えるが、また仰角48度の向こうに覗く
     蒼空に焦点をあて進む。
     あそこだね狙い目は、と問ふ。kakuさんに確認する。そうだ、と背
     に答えが返る。
     いつの間にか急登の150mを登っただろうか。
 
     日差しと青空は間違いなく我々の味方である。
     山は天気次第!誰も感じることではあるが、これだけは間違いが
     ないと思う。多数決主義には普段疑義がないわけではないが。
    9時47分。co1,160に着いた。
    急登は終わりである。南に視線を移すとウペペサンケ山が綺麗だ。
    ニペソツ山はトドマツに遮られ残念である。小休止。
    あとは20mを登るだけである。
 
      10時04分。頂上である。
      ここまで4.284m。所用時間約2時間50分。
      頂上は平たい台地の上。どこがその頂きなのはわからないだろう、
      と思う。GPSで登録していた地点とピンクテープが括られていた
      地点と大よそ合致した。
 
      眺望は残念である。木々に囲まれた丘の上の漂いが似合うかも。
 
      kakuさんが動き出した?
      なしたのさ?(これは方言、どうしたの、の意)
      古くから括られているロープに我がピンテープを結んでいる。
      それを鼓舞するmuroyさんだが?
 
    頂上は眺望がないので一旦10m程下る。
    そこは真正面にウペペサンケ山が聳えるビューポイントである。
    そこに頂上カフェを設える。
    日差しが暖かい。風は優しく戦ぐ。早春のひと時がここにある。
 
   何時も思うのだが、人は感動に出会った時、どんな表情、動作を
   するのだろうか?
   両手を上げる、大声を出す、首を思いっきり前に出す、ひっくり返る、
   笑いこげる、考える人のポーズをとる、好きな人を思い浮かべる、等々。
 
    どのような姿態で表現しようとも忘れてならないのは、感動を貴方の大
    切な人に伝えることなのだろう。
    例えば家で待つ、家族にこの感動を伝えたのか?
    感動を伝えなくコミニュケーションはなく、コミニュケーションは
    感動の派生である、といえよう。翻って怒りの言葉をコミニュケー
    ションと履き違えてはいけないのだ。
 
     色んなことを考え今日の「軍艦山」に感動と素晴らしさを与えて
     貰った。
     風がやさしく心地よく吹く季節の到来とともに、私にはとても、と
     ても似合わないかもしれないがやさしくなれたら素敵だ。
 
      ご一緒いただいた方々に感謝いたします。
      今回のルートは「Shihoさん」のYAMAPを参考にさせていただき
      ました。ありがとうございました。
      下記がアドレスです。