先日、シンガポールの雑誌、Cuisine & Wine Asiaの取材でお邪魔した、マンダリンオリエンタルホテル東京の38階にあるピザバー「ピッツァバーon 38th」。ホテルの総料理長でもあるDaniele Carson(ダニエレ・カーソン)シェフが、イタリア人としてのピザへのこだわりを体現したピザが食べられます。

 

 

今年、ガンベロロッソの「世界のトップ・イタリアンレストラン」で最高評価の3スライスを獲得し、益々注目が集まるこのピッツァバーで、実はここ数年知る人ぞ知るイベントとして行われているのが「ダニエレの食紀行」。シンプルなピザもとても美味しいのですが、今イタリアで人気の「グルメピザ」を織り込んだ5皿仕立てのコースを、一夜限定でシーズンごとに提供。季節を感じる内容になっているのです。

 

 

 

 

 

 

 

ローマ出身のダニエレシェフは、パン作りの経験も長く、その知識も応用したピザは、加水率の高いふわふわの生地が特徴。



 

そして、この2月からは、著名なオーガニックイタリア小麦粉「マリノ」などを使って、トッピングに合わせた2種類のピザ生地を使い分けることになりました。

 

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ライ麦の粉の配分が少ないのが軽やかな「レジェーロ」でトマトベースのものに、多いのが「サポリート」で、チーズベースのものに合わせます。

 

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(左がレジェーロ、右がサポリート)

 

 

今回のテーマは、山菜と日本の春野菜と黒トリュフ。

フランス・ペリゴールから、世界の有名レストラン御用達のPlantinのトリュフが用意されています。

 

 

 

 

 

まずは山菜のテリーヌ、黒トリュフとブッラータ。

「ベジタリアン仕様にした」ということで、ゼリーもゼラチンではなく植物由来のものを使用。はっきりとした酸味のバルサミコのゼリー、トマトウォーターのゼリー、そしてコゴミなどの山菜を閉じ込め、ブッラータチーズと、オリーブオイルの球体を散らして。上には桜の花の形に切り取ったトリュフ。サラダの再構築のような仕立てです。

 

続いては、シグネチャーピザのピッツィーノ。

 

 

 

 

 

 

モルタデッラとフォンティーナチーズを使ったクラッシックな組み合わせに。レモンをたっぷり絞ったルッコラ、トリュフをたっぷり挟んで。こちらは旨味がはっきりとしたサポリートの生地。

 

続いては、アンティーカボロネーゼのピッツァ、タレッジョチーズのクリーム。

 

 

 

牛のテール、ほほ肉、ボーンマロー、イタリアのソーセージを煮込んだ濃厚なボロネーゼとタレッジョチーズ。こちらの生地は、レジェーロ。たっぷりの具材が乗っていて、耳のところまで香ばしく、表面がパリッと、内側の水分は保たれてもっちりとしたピザが楽しめます。

 

 

 

そして、鴨の丸焼き。ほうれん草とフォアグラ、アクエレッロ社のリゾット米を使った菜の花のリゾットと共に。

 

 

鴨は丸焼きにした後、マダガスカルペッパーとマージョラムをかけて。鴨のお腹の中には、鴨のひき肉とピザ生地、ほうれん草、うずら卵で作ったスコッチエッグのようなものが入っています。胸肉をしっとりと仕上げるために丸焼きにしますが、あとで火の通りづらいモモ肉は外して、ピザ窯で焼き上げます。

 

 

 

 

しっとりとした胸肉も美味しかったですが、モモ肉のカリッとした皮と皮の下のジューシーな脂が楽しめて、個人的には特にモモ肉が好みでした。

 

 

 

 

 

 

デザートは、ダニエレシェフが目の前で仕上げる、スグロッピーノ。



 

レモンソルベとミルクジェラートに、自家製リモンチェッロと、フランチャコルタを入れるのが特徴。液体窒素を少しずつ加えて滑らかに仕上げたら、白イチゴとイチゴを入れて、出来上がり。ふんわりと軽やか、そしてほのかにお酒が香る大人のデザート。

 

 

そして、ミニャルディーズ代わり?に出されるのが、マリトッゾ。パンをシロップに漬け、クリームを挟んだ、ババを思わせるようなお菓子。
 
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小型のパンはピザ窯で表面を焼き上げ、シロップに漬けます。このシロップには、グラッパを使っていて、その香りも印象的。ドモーリのチョコレートを入れたクリームを挟んで、この上にもトリュフを1スライス。

 

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さすがだと思ったのは、シロップの漬け方。パンの表面のこんがりと焦げたところにはシロップをつけず、カリッとした食感と香りが楽しめるようになっていました。

 

この食紀行は数ヶ月ごとに1晩限定で行われ、次回以降は5月22日(2色のアスパラガスとフレッシュモリーユ茸)、7月17日(函館から新鮮な海の幸)、9月25日(秋を感じる食材たち)、11月27日(冬の訪れと茸)、12月11日(厳冬の山の幸と白トリュフ)となっています。価格は回によって異なり、1万5000円(税サ別)〜。

 

詳細は、ぜひこちらをチェックしてみてくださいね!

 

 

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■ピッツァバー on 38th

営業時間:ランチ 11:30~14:30(L.O)、ディナー 17:30~22:00(L.O.)、無休

住所:東京都中央区日本橋室町2-1-1

電話: 03 3270 8800

URL : https://www.mandarinoriental.co.jp/tokyo/nihonbashi/fine-dining/restaurants/italian-cuisine/the-pizza-bar-on-38th