少し時間が経ってしまいましたが、東京に戻り、日本の雑誌だけでなく、引き続きシンガポールの新聞・雑誌に書く仕事を続けています。

 

昨日は徳島県のとてもスタイリッシュなアンテナショップ、Turntableへ。

場所も裏渋谷というロケーション、中に入っても、県の方に言われるまでアンテナショップと気づかず、おしゃれなカフェ?と思っていたほど。

 

 

今回は、徳島の誇る鳴門金時のプロモーションイベント、ということで、パリの二ツ星「ティエリー・マルクス」の東京店のペストリー部門を統括する江藤英樹シェフ、そしてミクソロジストとして世界で活躍、現在6つのバーを展開する南雲主于三さん。

 

 

会場では南雲さんがカクテルを作っている最中。

一杯目のウェルカム・ドリンクは、鳴門金時のサングリア。

鳴門金時を使った芋焼酎がベースになっています。鳴門金時などのサツマイモに含まれるアントシアニンは、赤ワインと共通する香りがあることから、カリフォルニアのメルローの赤ワインと合わせてサングリアに。タンニンの少ない赤ワインが基本的にこのカクテルには合うそうです。オレンジジュース、そして芋焼酎に含まれる香り成分、リナロールやゲラニオールは、バラやラベンダーなどの花の香りとの相性がよいので、そういった香り成分、そしてアマレットを。

マドラーの代わりに切れ目を入れた、和三盆の元になる細いサトウキビ、竹糖を使って。「少し酸味があるので、そのまま少しかじってみてください」と言われて噛んでみると、乳酸菌飲料を思わせる優しい甘み。マスカットなど、緑色の果物や乳製品にも合いそうな味でした。

 

様々な芋焼酎。日本酒文化の徳島ですが、実は芋焼酎も作られています。

香ばしい香りを出すために、焼き芋を作ってから芋焼酎にするという製法を経たものもあり、二杯目のカクテルとして提供されました。

 

 

竹糖は創業元治元年の阿波和三盆製造元、服部製糖所から。

 

竹糖は使われているベリーとの相性もよかったです。

 

日本各地を訪れて焼酎などを使ったカクテルを提供している南雲さんですが、徳島を訪れるのは初めて。

「鳴門金時の育つ土地は海のそばの砂地なのがとても印象的だった」そう。もちろん、蔵や作り方によって異なったキャラクターがありますが、徳島の鳴門金時を使った焼酎は、全般にさっぱりとして飲み飽きない芋焼酎なのだとか。

 

 

2杯目は、エッグノッグをアレンジし、鳴門金時を使った香ばしい焼き芋焼酎に卵、服部製糖所の阿波和三盆のシロップ、自家製のバニラシロップなどを合わせたもの。

 

 

 

芋焼酎はブルーチーズやコーラにも合う。醸造の最初に出るいわゆる「ハナタレ」は、米麹由来のエステル、イソアミルなど、日本酒で言われるいわゆる「フルーティー」な香り要素もあるため、フルーツカクテルにもぴったりだったりと、成分から追ってみると、思ってもみなかった相性がある、と南雲さん。そんな未知なる要素も、トップバーテンダーである南雲さんを惹きつける理由の一つでもあるよう。

 

 

江藤英樹シェフは、鳴門金時を様々な形でアレンジ。

さっぱりとした阿波和三盆のアイスクリーム、「鳴門金時は焼き芋が美味しい」と、焼きたての焼き芋の皮をむいてそのままマッシュしたピュレ、それをそのままチュイル 状にしたもの、芋羊羹に阿波和三盆と白玉粉の衣をつけたきんつば、阿波晩茶のキャラメル、服部製糖所の糖蜜。

 

焼き芋にしてみると、ホクホクとした食感で、子供の頃から食べていた懐かしい味がする。油との相性もよく、使いやすいから、色々作りたいアレンジが思い浮かんで、絞り込むのが大変だったのだとか。

 

白砂糖をほとんど使わない優しい甘みのスイーツに仕上げました。

 

 

提供する皿も、徳島県を訪問した際に惚れ込んで買い込んだという大谷焼き。

一つ一つに個性があって、手作りの温かみがある所が気に入ったのだとか。

 

これからも、生産者を訪問するだけではなく、その人の考え方、歴史、何が育つ場所か、というような背景まで感じ取れるデザートを作っていきたいそうです。

 

 

食の世界のプロフェッショナルの二人の壇上でのインタビューもあり、とても充実した時間となりました!

 

 

 

<DATA>

■徳島県「なると金時」リブランディングイベント

日時:2月16日 14:00〜16:00

会場:渋谷Turntable 

住所:東京都渋谷区神泉町10-3