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以前いた系列店のMoose Headから、Maggie Joan's に新しく就任したSeumas Smith シェフ。スコットランド出身ということで、スコットランドの食材を取り入れた料理を提供しています。そんなコンセプトを共有する、同じイギリスのロンドンで一ツ星を獲得した地産地消レストラン、Portlandとのコラボレーションが行われました。

 

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まずはシャンパンで乾杯。

 

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こちらはスコットランド産のジン。お酒にもスコットランドらしさを取り入れたいというSeumasシェフの考え。

 

Shiso tempura, whipped mentaiko, nori & lime(S)

Foie gras ganache, pistachio, apple & verjus(S)

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こちらがSeumasシェフのスナック。手前が大葉のフリッターに、明太子マヨネーズを乗せたもの、そして奥が、フォワグラのムースを挟んだビスケットに、りんごのすりおろしとヴェルジュをかけたもの。

 

Zachシェフのアミューズ、私が特に気に入ったのが、

Carrot financier, hazelnut praline & Cornish Gouda(Z)

 

 

ヘーゼルナッツのフィナンシェに甘みを引き出した人参のピュレ、そしてコーニッシュゴーダチーズを削りかけたもの。フィナンシェのテクスチャがとてもよく、お聞きしてみたら、実はZachシェフ、元パティシエなのだとか。

 

もう一つは、鶏の皮をカリッと焼き上げたものに、鶏レバーのパルフェを乗せたもの。

Chicken skin, liver parfait & candied walnuts(Z)

 

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Beef tartar, miso, tomato, potato(S)

 

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スコットランド産の牛肉のテンダーロインはとても柔らか。マスタード、タラゴン、ケイパー、そして自家製マヨネーズに、ほんの少し白味噌を混ぜ込んでいるのがポイント。薄くクリスピーなポテトのクラッカーで挟んで。この牛肉も、Mey Selectionという、チャールズ皇太子がサポートしている農業プロジェクトから購入しているのだとか。

 

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Fermented buckwheat, cave-grown mushrooms & Parmesan cheese(Z)

 

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マッシュルームと発酵蕎麦の実、ローストした蕎麦の実。発酵蕎麦の実はシンプルに茹でたような食感、ローストした蕎麦の実が香ばしさをプラス。マッシュルームの大地の香りが、蕎麦と意外な相性のよさ。ヴィネグレットのような味のバランスで、しっかりと酸が強いですが、ローストした蕎麦、そして削りかけた36ヶ月熟成のパルメザンチーズで、食べやすく仕上がっています。マッシュルームは洞窟で栽培されたもので、味わいが凝縮している上、身がしっかりとしているので薄く削れるのだとか。

 

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マスカットのようなフルーティーさとミネラル感のあるロゼと合わせて。

Neal’s yard goat’s curd, peas, morels, & wild garlic (S)

 

 

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春らしい豆にモリーユ茸を合わせた一皿。トマトの出汁に、ワイルドガーリックのオイル、甘辛く煮たモリーユに、グリーンピースや豆苗。チーズの入った小さなラビオリ。

 

Isle of Mull scallops, roasted salsify & pickled rhubarb(S)

 

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スコットランドが誇る産物の一つが、帆立貝。半生に火入れをして、帆立の紐などの部分で作った出汁をクリームと合わせて作ったフォーム、ルバーブのピクルス、高温の出るインカオーブンで焼いたサルシファイ、サルシファイのピュレという組み合わせ。

 

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Cornish pollock, squid ink, white sprouting broccoli & sea lettuce(Z)

 

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ここで登場したのが、Pollock(スケソウダラ)。つい近年まで、絶滅の危険性があるとして保護されて来ましたが、保護政策が功を奏し、再びサステイナブルな食材になっているのだとか。Pollockのゼラチンが豊富な骨や端の部分で出汁をとり、イカスミと合わせてグレーズのように仕上げてあります。季節のブロッコリーのローストと、ブロッコリのピュレと共に。

 

Duck breast, raddicchio, apricot, date & olive oil puree(S)

 

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そして、「低温調理は、根菜以外には使わない」というポリシーのSeumasシェフ、フライパンで焼いてから、低温のオーブンでじっくりと焼き上げて寝かせた鴨。

生姜を入れた赤ワインヴィネガーのソース、人参にはゴマをまぶし、少しアジアな仕上がりに。デーツの甘みが生きた、デーツとオリーブオイルのピュレが良い甘みのアクセントに。

 

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お店で使っている蜂蜜も、スコットランドのヘザーの花から採ったもの。

 

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Dark chocolate, morello cherry & pink peppercorn ice cream(Z)

 

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デザートは、ピンクペッパーとチェリーのアイスクリーム、下にはダークチョコレートのガナッシュ。

 

Wild strawberries, rhubarb, white chocolate and sorrel(S)

 

もう一品は、ワイルドストロベリー、ちょうど旬のフランスの苺、Garigetteとクリームを合わせた定番の味わい。

 

 

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(Corner Houseの Jasonシェフ、 Labyrinth LG Hanシェフも食べにきていました)

 

Seumasシェフと同じく、季節の食材を大切にしたいという Zachシェフ。「イギリスの料理は、世界の美食ブームを受けて、ここ10年ほどで大きく変わってきた。それと同時に、上質なものを作って、レストランに直接売れば、きちんと評価してもらえるという認識が高まり、小規模で質の良い食材が生産されるようになってきた」そう。

特に、イギリスの優れた食材といえば、9月から1月頃の狩猟シーズンの鳥類。「狩猟はイギリスの文化の一つだし、他の国では見られない鳥が色々いる。例えば、気に入って使っているのが、grey leg partridgeという、雷鳥と鴨の間のような鳥。低温調理して、エンダイブやマスタードシード、ラードと合わせると絶品だよ。コッツウォールに契約している猟師がいて、羽をむしって車でレストランまで持ってきてくれる。イギリスにはこういった素晴らしい食材があることを知らない人も多いんじゃないかな」と語ります。

 

イギリス料理といえば、フィッシュ&チップスではない流れが、シンガポールでも徐々に始まっているところ。Seumasシェフや Zachシェフのような、まだ20代のシェフたちが、これからの新しいイギリス料理を生み出していくことになるのでしょう。

 

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<DATA>

■Maggie Joan's x Portland

日時:2019年5月8日・9日(終了)


■Maggie Joan's 
営業時間:ランチ 12:00~14:30(平日)、
     ディナー 18:00〜23:00、日曜休
住所:110 Amoy Street, #01-01,Singapore 068579(入り口は Gemmill Laneに面していますので、ご注意ください)
電話: +65 6221 5564
アクセス:MRTテロック・アヤ駅から徒歩3分