フランス出身の Jeremy Gillon シェフが去年10月に新しくオープンしたレストラン、Jag。もともとMe@OUEのコンサルティングシェフとしてシンガポールにやってきましたが、自分の店をオープンするためにシンガポールに腰を落ち着けたJeremyシェフ。ノルマンディ出身ですが、エグゼクティブシェフを勤めていた、ミシュラン一つ星のLes Restaurants du Montanaがアルプスにあったために、フランスの珍しいハーブを使いこなしたメニューを提供しています。そんなJeremyシェフが、二人の友人、Bar A Thym のFrancois Mermilliodシェフとatoutの Patrick Heuberger シェフと共に、"Les Copains D’Abord"という、一夜限りのコラボレーションを行いました。

 

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まずamouse boucheは、ホストのJeremy シェフの担当。

 

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右が、ジャガイモのコロッケに乾燥したマッシュポテトのカリカリしたフレークをまぶしたもの。左は、Fremというフランスのハーブとカリフラワーのピュレを合わせたクラッカー。

 

シャンパンはChampagne Henri Giraud Hommage NV。

 

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ここで温かいブリオッシュがサーブされます。焼きたてのものをサーブしてくれるのは、個人的にとても好きなホスピタリティ。かっこいい盛り付けや、ストーリーも楽しいのだけれど、来たタイミングに合わせて、できたてのものを出してもらうのが、やはりレストランの贅沢。

 

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ノルマンディー産のバターは、プレーンと、サヴォワ地方でヴァニラの代わりに使われているという、asperole oderanteという野草を混ぜ込んだもの、オレンジの皮を混ぜ込んだものの3種類。

 

長くフレンチアルプスの麓のレストランで働いたJeremyシェフだけに、こういった野草の知識は豊富で、特別なルートで仕入れているのだとか。こちらがasperole oderante、どこか桜の葉のような、クマリン系の香りがあります。

 

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アミューズのノルウェーサーモンのテリーヌ。クリームと合わせたテリーヌを、下に敷いたほうれん草の葉で包み、一口でいただくようになっています。

 

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Didier Dagueneau, Jurancon Sec Les Jardins de Babylone 2014

ペアリングのロワールヴァレーの白は、ミネラルが豊富で、Petit Manseng と Gros Mansengのブレンド。ソーヴィニョンブランのような、草原の香りがあります。

 

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こちらのワインに合わせた最初の一皿は、私にとって今年初めてだった、白アスパラガス。

white asparagus, rice cream, old mimolette (Jeremy)

 

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甘い白アスパラガスに、下にはクリームで煮た米のお粥が。ピーナッツ、セージのオイルをひと垂らししてから、エイジングしたミモレットを削りかけてあります。

 

 

langoustine, yuzu, ikura (Francois)

 

 

ラングスティーヌのカルパッチョに、イクラを散らし、イカスミのクラッカーで食感のアクセントに。ラングスティーヌの滑らかな食感と甘みを、シンプルにいただきます。

 

Domaine des Roches Neuves, Saumur Les Pentes Du Clos De L'Ecotard 2015

 

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合わせた白ワインは、オーガニックのシュナン・ブラン、フレッシュなアプリコットのようなしっかりとした酸味がラングスティーヌの食感と甘みを引き立てます。

 

foie gras, lentille du puy, truffle (Patrick)

 

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レンズ豆、ベーコン、フォワグラ、トリュフ。王道の組み合わせを、レンズ豆のフォームで軽やかに仕上げます。焼いたフォワグラに、ベーコンとトリュフの千切りがかけてあります。

 

合わせたのは、樽の香りがしっかりとしたシャサーニュ・モンラッシェ。

Domaine Blain-Gagnard, Chassagne-Montrachet 1er Cru Caillerets 2016

 

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cod, jerusalem artichoke, seaweed (Francois)

 

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海老の香りがするノルウェー産のSkrei codは香ばしく焼き上げ、エルサレムアーティーチョークのピュレ、焦がしたベビーキャロット、バジルと組み合わせて。

 

こちらには、深い香りと軽やかな収斂性のピノ・ノワールを。タンニンが鱈の脂分を心地よく引き締めます。
Domaine Jean Tardy et Fils, Nuits-Saint-Georges Vieilles Vignes Bas De Combe 2013

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そして、肉はニュージーランド産のベビーラム。

lamb, shrimp, eggplant (Jeremy)

 

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しっかりとしたゼラチン質を感じるジュは、子羊の骨やトリミングした部分を焼いてから煮出し、2日間かけて煮詰めたもので、好みでした。子羊とは定番の組み合わせの、クミンを効かせた茄子。香ばしいクランブルと。

 

 

Francois Villard, Cornas, Jouvet 2016

甘いという訳ではなく、キャラメルのような濃い糖のボリューム、日差しをたっぷり吸収したぶどうの果実味を感じるシラーと。

 

pre dessert

 

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自家栽培のバタフライソレルのソルベ

 

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パイナップルとアニスのエスプーマ

 

cointreau soufflé, chocolate truffle, mandarin sorbet(Patrick)

 

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マンダリンオレンジの皮の苦味を生かしたあっさりとしたソルベに、コアントローとダークチョコレートの焼きたてのスフレ。

 

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30年以上前のクラッシックなレシピですが、「完璧なので変える必要がない」とそのまま使っているのだとか。ふんわりとした食感、真ん中に入ったチョコレートのビターな味わい、後味に香るコアントロー。確かにとても満足度の高い味のバランスでした。

 

lillet rosé

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アニスやヒソップのような香り、そしてグレープフルーツのような苦味のある、リレのロゼと。

 

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自分たちの知るフランス料理の良さを、フレンチワインと共に知ってもらいたい。そんな思いを感じるひととき。フュージョンではなく、オーセンティックなフランスを感じるコラボレーションが、逆に新鮮でした。

 

<DATA>
■Les Copains D’Abord

日時:2019年2月25日(終了)

■Jag
営業時間:ランチ 12:00~14:00(平日のみ)、ディナー 18:00~22:00、バー 18:00〜23:30 日曜・月曜休
住所:76 Duxton Rd, Singapore 089535
電話:+65 3138 8477
アクセス:MRTタンジョンパガー駅徒歩5分