モハメド・スルタン通りに移転した、はし田寿司と、ニュージーランドで活躍する日本人醸造家、フォリウムワインの岡田岳樹さんとのコラボレーションイベントが行われました。

 

 

サンフランシスコへの出店なども控えたハッチこと橋田建二郎さんは、ワインとのマリアージュの機会もこれから増えてきそう。数日前にシンガポール入りした岡田さんと打ち合わせ、岡田さんのワインのスタイルに合う前菜などを生み出しました。

 

 

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まずは、はし田オリジナルのスパークリングワインで。辛口で、日本の巨峰やマスカットを思わせるフルーティーでジューシーな味わいです。

 

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岡田さんのワイナリーは、45年前ワインづくりが始まったばかりながら、世界最大のソーヴィニョンブランの産地となったマルボロ地区にあり、葡萄畑は合計で6ヘクタール。

 

まずは、プロジェクターで葡萄畑の様子を紹介して、このイベントのスタートです。

 

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岡田さんのワイナリー、フォリウムワインは、ソービニョンブランの世界最大の産地マルボロで、2010年に創立。多くのワイナリーが立ち並ぶ地域だけに、小規模で、ユニークなワインを作ろうと、この地域にしては珍しく、灌水をしないで育てているそう。そのため、一般のニュージーランドのソービニョンブランと比べて味わいが穏やかなのが特徴とか。

 

そんな説明のあと、ディナーはその、ソーヴィニョンブラン、Folium 2017 Sauvignon Blancからスタート。

緑の香り、パッションフルーツ、乳酸系の香りがあります。

 

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もう一つのグラスには、Folium 2016 Reserve Sauvignon Blanc、同じソーヴィニョンブランの飲み比べ。

冷えているときはおとなしかったものの、少しずつ温まると、味わいの深みが出てきて、2017のものよりもしっかりとした味わいに。

 

前菜

 

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季節感たっぷりに盛り付けられた前菜。カリッとしたごく薄い小麦粉の生地に、焼いたアブラサワラ、その上に、マッシュポテトとトビコ、アイナメの皮を揚げたものが乗っています。

 

濃厚な湯葉のコクが感じられる、湯葉とイクラ。

 

里芋のサラダには、蕎麦の実とたたみいわしを乗せて、食感のアクセントに。

 

Color from the Sea  Codfish Soup

 

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続いては、霧を吹いたお椀に入ったスープ。シンプルな黒一色のお椀を開けると、趣味が絵を描くことで、シンガポールでアート展を行うこともある、橋田さんらしい華やかさ、様々な色彩が飛び込んできます。フランス料理を思わせるような盛り付けです。

 

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ブロッコリーのピュレに、カツオ節を控えめにしたカツオ昆布だしを合わせた優しい緑の味わいに、タラにクリームの入ったポテトピュレ。ホタテ、薄く伸ばしてロール状にした鱈のすり身、酒で煮た柔らかいタコ、茹でたえび、トマト、豆苗、フェンネル、キャビアなどの具とともにいただきます。

 

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優しい緑の味は、ソーヴィニョンブランとの相性も抜群。

岡田さんは、フレンチスタイルのソーヴィニョンブランを目指しているということで、「マルボロらしさは、緑の香り、メトキシピラジンとチオール濃度の濃さ。メトキシピラジンは光合成のたまもので、岡田さんのワイナリーでは、灌水を控えることで、葉の数が自然と少なくなり、緑の香りも穏やかになっているのだとか。

 

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刺身の盛り合わせは、はし田定番の付け合わせ、2種類のキューカンバー。きゅうりとナマコ(シーキューカンバー)を梅干しとともに和えたもの。

 

北海道産の脂の乗ったブリ、ゆでて煎り酒につけた自家製の大根の漬物。大根の辛味を抜くために、薄切りにしてから茹でてあり、穏やかな味わいです。味が尖っていないので、日本酒と比べると一般的に酸の強いワインともしっかりと合います。

 

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同じく北海道産の水ダコは、上はしっとりとした生、下は茹でてこりっとした食感の吸盤と、食感と味わいの違いが楽しめる仕立てに。海苔の佃煮と共に。

 

熊本・天草産の本マグロの中トロ。わさびは、すりおろす際に皮をむきますが、その皮も醤油につけこんでから叩いて混ぜ込むことで、無駄なく使っています。

 

ここで、Folium 2016 Chardonnay

 

シャルドネの畑は0.6ヘクタールと小さいことから、ぶどうの収穫は300キロ、ワインは200リットル樽で1樽、260本しか作っていないというシャルドネを合わせます。上品なクリームの印象のある、ブルゴーニュスタイルのシャルドネです。

 

Beignet  Eggplant, Fish & Prawn

 

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ほうじちゃ、いかすみ、トリュフの3種類の塩に合わせていただくのは、シーフードのベニエ。

ニュージーランドではフィッシュ&チップス、オートミールやコーンフレークをよく食べる、ということから、そんなニュージーランドのローカルな味を日本の食材などを使って解釈しました。

 

左は、ボタンエビに、自家製エビのパウダーとピーナッツ、シリアルをまとわせて揚げたもの。

 

 

真ん中は、アイナメを海苔で巻いて揚げ、上に蒸したウニが乗っています。アイナメの下には、白味噌で味をつけた茄子が入り、甘くコクのある味わい。

 

一番左はアナゴ。揚げたてのぶぶあられがサクサクしていて、ふんわりとした穴子の身と良い対比になっています。

 

 

On the Shell  Abalone, Oysters & Signature Ankimo

 

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低温調理でじっくりと火を入れた柔らかい鮑に、昆布のような味わいがしっかりとある肝ソース、そして赤味噌につけた牡蠣と、シャルドネの程よいボリューム感にマッチするように味を持ち上げてあります。そして、シグネチャーのあん肝。ブリュレのように表面をカリッと焼き上げ、内側はとろり。絶妙な塩梅の甘辛味で、地元の人たちにも「海のフォワグラ」と、とても人気のある一品です。

 

 

寿司

 

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柑橘が香り、さっぱりと食べられるとろける紋甲イカ。

はし田の酢飯は、やや甘めで、軽やか、すっきりした米酢を使ったタイプです。

 

昆布締めにした鯛。

 

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醤油の味のボリュームは控えめにして、昆布の旨みを生かしてあります。

 

中トロには、煮切り醤油を塗って。

 

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ここで、ワインは赤ワインに。

 

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Folium 2016 Pinot Noirは、11ヶ月の樽熟成で、ジューシーでフルーティーな味わい。

Folium 2016 Reserve Pinot Noir は16ヶ月と長めの樽熟成、ピノ・ノワール独特の深みのある味わいです。

 

新樽率は、28〜40%。

 

 

クリーミーな油が楽しめる、あぶった金目鯛

 

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鉄分と赤ワインの印象が重なる、程よく水分が抜けて味わいが凝縮した、ねっとりとした漬け、

 

 

 

ふわふわの食感の、あぶったかます。

 

 

はし田定番の、一口サイズのうにいくら丼と、味噌汁。

 

 

シグネチャーのカマトロは前の場所よりも客席数が多くなったので、今は9キロ以上の大きなものを使っているそうで、迫力満点です。

 

 

 

たっぷりと乗った脂を、赤ワインのタンニンでスッキリといただきます。

 

 

デザートは、バニラアイス、黒蜜、フルーツ

 

 

(サプライズで、誕生日祝いをしていただきました!橋田さんがバースデーソングを歌いながら、ケーキを持って登場された時には、てっきり他のテーブルの方のものだと思っていましたが、私のお祝いでした、幾つになっても嬉しいものですね、ありがとうございました!

また、はし田の箸袋は、開くと一人一人別の、寿司に関するトリビアや橋田さんからのメッセージなどが書かれているのですが、この日のメッセージは、とても温かい心配りを感じるものでした。そんなところも含めて、橋田さんの寿司の魅力を作っているのだな、と感じたひと時でした。)

 

これからのフェスティブシーズンを思い出に残るものにしてくれそうなはし田、ちなみに12月31日までは、お食事に来た方に提供する一部のワインのボトルが10%オフということです。ぜひ、思い出に残る食事を楽しみに来てくださいね。

 

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■Folium x はし田寿司

開催日時:2018年12月8日 19:00〜(終了)

 

■Hashida Sushi Singapore(はし田寿司シンガポール)

営業時間:ランチ 12:00~15:00 (火曜のみ12:30〜)、ディナー 19:00~22:30(月曜休み)

住所:25  Mohammed  Sultan  Road  Singapore  238969

電話:+65 8428 8787

アクセス:MRTフォートカニング駅徒歩8分