香港の三ツ星レストラン、Bo Innovation のAlvin Leungシェフが、初のホテルダイニングを手がけることになったのが、今日グランド・オープンの、Kempinski Hotel Singaporeのメインダイニング、15 Stamford。

元々は1908年創業の古い劇場で、シンガポール政府から歴史的建造物にも指定されているCapitol Theatre。シンガポール人にとって、ノスタルジーを感じる建物の雰囲気をなるべく生かし、開放的な高い天井、そしてアジアのニュアンスを加えたコロニアルな雰囲気のインテリアです。

 

「ここを堅苦しい場所にしたくなかった」と、スイス出身で、長年リッツカールトンシンガポールで働いたのち、新しくこのThe Capitol Kempinskiのマネージング・ダイレクターに就任した、Christian Gurtnerさん。

今の流行でもある、オープン・キッチンは、150万ドルをかけて作った「シェフにとっての最高の遊び場」。

 

メディアイベントとして、Alvinシェフのデモンストレーションが行われました。紹介されたのは、Alvinシェフが個人的に大好きだという、広東風肉骨茶。

 

ロティサリーと大きな網の炭焼きのスペースもあり、本物の味を提供するのには妥協しない、というホテル側のバックアップの手厚さも感じます。

 

Alvinシェフにとっては、ローストダックをメインに据えたミドルレンジのレストラン、Forbideen Duckに続いて2店目となりますが、味を大きく変えることはしない、みんなが好きで、自分も好きな味に、この場所の持つ魅力から受けたインスピレーションを加えるだけ、と語ります。

 

Alvinシェフにとって、「Bo Innovation」は、香港の魅力を集約した場所、そして「Bo Shanghai」は、中国の8つの地域の料理を紹介する、Bo Innovationを少しカジュアルにした場所、そしてこの「15 Stamford」は、アジア各地の料理を紹介する、Alvinシェフにとって初めてのコンセプトのレストランです。

 

背後にはバーエリアもあり、バーでの軽食も、Alvinシェフ考案のメニューが、同じ厨房から提供されます。

 

最初の一つは、特別にバーメニューから。

Bluefin Tuna Tartare in Gochujang Sauce served in Nori Taco ($18)

 

 

海苔を混ぜ込んだクエパイティのシェルの中に、韓国風にコチュジャンで味付けをした本鮪のタルタル。ビールに合いそうなバースナックです。

 

 

Hokkaido Scallop with Salted Plum and Shiso ($26) 

 

 

滑らかな食感の北海道産の帆立貝の刺身に、梅のソース、日本の紫蘇の葉とごま油で、甘酸っぱい味わいに。

 

Hamachi with Calamansi Ponzu and Roasted Sesame ($28)

 

 

 

 

ハマチの刺身に、東南アジアで愛されているカラマンシーを使ったポン酢、そしてガーリックチップを合わせて。

 

Hokkaido Scallop with Adobo Butter and Ginger ($12、一人前)

 

 

北海道産の帆立貝のグリルに、醤油と酢でフィリピンのアドボをイメージした、生姜と黒胡椒が効いたバターソースに、カリッと揚げた生姜を乗せて。

 

Three-style Corn, Heirloom Tomatoes and Cucumbers in Hong Kong “Pat Chun” Sweet Vinegar ($18)

 

 

3種類のコーンは、もともとここがシアターだった、ということから、シアターといえばポップコーン、と、ポップコーンにベビーコーン、スモーキーな香りのバターコーン、ミニトマトを甘目の酢で和えたもの。 どこか、ペルー料理を思わせる味付けでした。全体的に甘い味わいは、肉料理のサイドディッシュにも良さそう。

 

Whole Boston Lobster served with Mangosteen, Tomato and Spicy Thai Dressing ($58) 

 

スモーキーにグリルにしたボストンロブスターとマンゴスティン、トマトに、スパイシーなタイ風ドレッシング。こちらも、やや甘めの味わいで、世界から来るお客様が滞在するホテル内ということもあってか、辛さは控えめです。

 

Chargrilled “Bak Kut Teh” Pork Chop with Compressed Watermelon, Angelica, Barbecue Sauce $38 

 

そして、シグネチャーの肉骨茶。肉骨茶に使われる8種類のスパイスで12時間マリネしてから、炭で焼き上げたポークチョップに、シロップに漬けたスイカの表面を焼いたもの、肉骨茶に使われるアンジェリカなどのハーブをたっぷりと入れたバーベキューソース。バーベキューソースは、肉骨茶のスープを濃縮したような味わいで、ジューシーに焼き上げた豚肉と合わせて食べる再構築系。スイカの水分とソースが合わさると、まるで肉骨茶のスープのように感じられます。

 

 

Bone in Beef Short Rib Rendang served with Cabbage Salad ($68) 

 

骨つきのアメリカ産牛肉を、シンガポールの郷土料理、ビーフレンダンのソースと共に72時間煮込み、甘酸っぱいキャベツのサラダと合わせたもの。かなりしっかりとカルダモンが効いていたのが印象的でした。

 

Singapore Laksa with Jasmine Tea-smoked Onsen Quail Eggs, Housemade Dried Shrimp Oil, Shrimp Floss, Tiger Prawns Tempura ($32) 

 

 

シンガポールでは軽食として親しまれている麺、ラクサを、日本の天ぷらに仕立てた大きな海老、香港で親しまれているジャスミン茶の葉でスモークしたうずらの卵は、卵黄が液体の温泉卵仕立てに。自家製の干しエビの油を使っているというだけあって、しっかりと香ばしいエビの香りや味があります。

 

Mango Pomelo Sago with Coconut Snow ($16) 

 

 

シンガポールの中国料理店に行くとよく出てくるマンゴーポメロデザートに、液体窒素をつかって作ったココナッツスノーをかけて、シンガポールのかき氷、「アイス・カチャン」をイメージしています。

 

食後の飲み物には、Snow chrythanthemumと呼ばれる、菊花茶がオススメということでいただきました。色も濃く、しっかりとした香りがあったのが印象的でした。

 

 

オープン前日ということで、この日は間に合いませんでしたが、小粒ながら、調理しても中がアルデンテに仕上がるという事でAlvinシェフが選んだ、オーガニックで手で収穫している特別な米を使ったチキンライスも登場するとか。

 

 

 

このお米、なんと、初日に間に合わせるように自家用ジェットで運んで、「このあと自分で空港まで受け取りに行くんだ」とChristian さん。香りはジャスミンライスのようで、こちらもいつか試してみたいと思います。

 

この他にも、The Capitol Kempinski では、シンガポールに豆を輸入して作っているシンガポール製の少量生産のチョコレートなどを置き、「この場所ならでは」の滞在になるよう工夫を凝らしているとか。

 

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自分が好きなアジアの様々な味を捻り過ぎず、毎日食べられる味に仕上げた、というAlvin シェフ。

 

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三ツ星シェフが解釈したアジアの味わいを楽しんでみてくださいね。

 

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お土産に、店でも使われている、プラナカン模様をモチーフにした、オリジナルのコーヒーカップをいただきました。プラナカン模様の中に、Alvinシェフの別名、"Demon chef"にちなんだ悪魔が隠れています、見つけてみてくださいね!

 

【DATA】

◼️15 Stamford by Alvin Leung

営業時間 ランチ 12:00〜15:00、ディナー 18:00〜22:30、無休

住所 The Kempinski Hotel Singapore, 15 Stamford Road, Singapore 178906

電話 +65 6715 6871

アクセス MRTシティーホール駅直結