今年ミシュラン一つ星、シンガポールの雑誌、タトラーのトップ20レストランにも入り、快進撃を続ける、鮨来村に行ってきました!

 

木村共男さんは、すべての生産者に直接会って、オーガニックなどを中心としたこだわりの食材で寿司を作っています。

 

まずは、季節のこの松葉ガニ!いつも初値が数百万という値段となって注目を集める、鳥取産のもの。

 
この日は1.2キロのもの。鳥取県の漁師さんから直送で送ってもらっているそうです。
 
日本酒は、三重県、「作(ざく)」の純米吟醸、Z。

 

 
華やかな香りと、ほのかに甘い飲み口です。
 
そして、季節の香箱蟹。

 

 

 

 

鰹出汁をしっかりと効かせたジュレ、そして脚の肉の下には、内子と外子、そして蟹味噌が。

 

 
ゆずがほんのりと香り、香箱ガニの美味しいところだけをぎゅっと詰め込んだ味わいでした。

 

 

 

 

「今日は甲殻類祭りですよ」と木村さんが冗談を飛ばしながら出してくれた茶碗蒸しは、シンプルに見えつつ、実は中に毛蟹と、神奈川県で、自ら神経〆する魚や、山奥に分入って採ってくる天然キノコを扱う、長谷川さんの椎茸とキクラゲが。椎茸ときくらげは、実はアワビと一緒に酒で煮てあるので、アワビの出汁も入った、海と山の幸の恵がたっぷりのもの。旨味がしっかりある分、塩は控えめの優しい味。

 

 

 

そのアワビはこちら。

 

 

 

 
キクラゲはアラゲキクラゲという品種で、シャッキリとした周り、真ん中が柔らかくなっています。

 

 

 

 

アワビは、部分ごとの味の違いを楽しめる形。左が、一番珍重される、コリコリとした貝柱、中心部分、そして端の部分。甘さが控えめで、少し酒の苦味を残した出汁でした。

 

「肝は、緑がメス、茶色がオス、今日はオスが多かったですね」と木村さん。確かに、茶色く、香りが穏やかでコクがあるように感じました。

 

 

 

箸休めの野菜は、アイスプラント、長谷川さんが採ってきた野生のクレソン、わかめ、とても自然な甘さのトマト、ナスの浅漬け。

 

 

 

刺身は、長谷川さんの、巨大な赤座海老、炙ったハガツオ、鯛。

鯛はとても滑らかなテクスチャで、旨味があり、炙ったハガツオは上品な脂が乗っています。炙った金目鯛は、バターやクリームのニュアンスがしっかり。そして、赤座海老は、とろける口当たりと、とても濃厚な味わい。

 

 

 

頭の部分は、炭火で焼いたものをいただきました。ちょっと焦げた卵のところが絶品でした。

 

 
大好きな魚、キンキ。細かく包丁目を入れて、炭火で焼いてあります。醤油とは違う、優しい旨味を感じると思ったら、塩麹。しっかりと脂の乗った魚の味わいを、穏やかに昇華させます。
 

 

 

 

 一番最初に見せていただいた松葉ガニは、浜ゆでしたものを炭火で焼いて、あん肝とウニ塩を添えて。水気が程よく抜けて旨味が詰まった大きな爪は、本当に食べ応え抜群、そこに、甲殻類の香りがとても強いあん肝が、あっさりとした蟹の身に、クリーミーな旨味を添えます。

 

そしてここからが寿司。

 

長谷川さんのメジナ

 

 
赤酢のコクと複雑味のある酢飯に、しっとりと寄り添う上品な味わい。
 
 
長谷川さんの神経〆のヒゲダラの昆布締め。サクサクとした食感に、ゆっくりと旨味が立ち上ってきます。
 
 
五島列島、出口さんのブリ。
 
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コリコリの食感に、上質の脂のクリーム感が楽しめます。
 
 
300キロのボストン産本マグロ。
 
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ニシンなどの魚の香りがあります。
 
同じマグロの、カマと大トロの間にある部分、カマトロを炙って。
 
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まさにとろけるテクスチャ。
個人的には、木村さんのお寿司で、酢飯と醤油、そして魚のバランスが一番好みなのがこのトロ。クリーミーでボリュームのある脂の魚と、奥行きのある酢と醤油の味がとてもよく合います。
 
 
コハダ
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しっかり塩を使っているのに、塩辛くないのは、〆てから2日目で、角が取れてきているからだとか。酢の具合も程よく、コハダそのものの良さが楽しめます。
 
「東京湾で獲れる魚は、アナゴもアジも、腹が黄色いんです。餌のせいでしょうね」と、木村さんが出してくれたのが、相模湾の黄金アジ。今ではなかなか見られない魚だとか。魚臭くなくて、上品な味わい。緑の部分でなく、長ネギの白い部分をほんの少し乗せています。
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九州の赤貝。コリコリ、サクッとした心地よい歯ごたえがあります。
 
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品評会で一等を取った、「塩屋一番」の海苔。芽の柔らかい部分だけで作った海苔で、生産者を訪れて、特別に入れてもらっているそうです。
 
直前に炭火で軽く炙り、新鮮な緑の香りがよく、口に入れて溶ける時に、キメの細かさを感じる繊細な食感。同じく炭火で焼いた大きな貝柱と共に、熱々をいただきます。
 
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長谷川さんの、神経〆のカミナリイカ。
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身が詰まっていて、まるで白子を食べているような、とても凝縮した旨味とコク。
同じく、長谷川さんのクロムツ。
最初さっぱりしているのに、噛んでいるうちに、上質な脂がたっぷりと出てきます。
 
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温泉卵、ウニ、ネギトロ、イクラの定番のミニ丼を、一口だけ。
 
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ちなみに、ウニのオレンジ色のものはメスで、黄色いものはオスなんだとか。
 
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そして、経木と笹の葉を敷いた上で、蓋をして炭で焼き上げた、アナゴ。「やっと気に入ったアナゴが入ったんで、始めたんです」と木村さん。
 
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ツメを塗らずに、ふわっとかけるだけ。
そして、これを持った時の印象が格別でした。大ぶりのふんわりと温かいアナゴは、まるで赤ちゃんのほっぺのよう。そして、食べるとアナゴそのもののほわりとした味が感じられます。
 
卵黄だけで作った濃厚な卵焼きは、少しサツマイモが入っているのだそう。
 
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熊本産の柿、静岡産のマスクメロン、和三盆の白ごま葛餅と小豆餡をもなかに挟んだもの。
 
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そして、自家製のカラスミも。シンガポールでは天日干しとは行かず、ワインセラーで湿度と温度を管理して作っているのだとか。
 
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有田で窯元訪問をして買ってきたという器に乗せて。しっとりとした美味しさでした。
 
 
私も取材でお会いしたことのある、こだわりの魚屋、長谷川さんの魚をはじめ、選び抜いた食材を、存分に楽しめるお店です!
 
<DATA>
鮨来村(すしきむら)   
営業時間:ランチ 12:00~13:30(最終入店)、ディナー 19:00~20:30(最終入店)、月曜休
住所:390 Orchard Road, #01-07 Palais Renaissance Singapore 238871
電話: +65 67343520
アクセス:MRTオーチャード駅徒歩5分