Don Perignon2008年ヴィンテージの「レガシー・エディション」の、シンガポールのお披露目会が、マリーナベイサンズの最上階にある絶景のバー、Ce La Vi(セラヴィ)で行われました。

 

Richard Geoffroy氏(左)、Vincent Chaperon氏(右)

 

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ちょうどイベントの2日前に、日本でも、醸造の責任者である現在のChef de Cave、Richard Geoffroy氏からVincent Chaperon氏への交代式が行われたばかり、このレガシー・エディションは、その新旧の醸造責任者の名前がダブルネームで入っているのです。

 

最新の、2009年ヴィンテージでまず乾杯を。

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この日は、5月に着任した、元Blackwattleの料理長、Joeri Timmermansシェフが、アジアの味わいを生かした軽食を提供しました。

 

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さらに、今回シンガポールを訪れているNicholas さんが、「最もDom Perignonらしいシャンパン」と表現する、P2の2000年のヴィンテージ、そして2005年ヴィンテージのロゼも登場しました。

 

ニュージーランド出身で、クラウディ・ベイから3年前にDon Perignonに移籍したという、ワインメーカーのNicholas Laneさんに新しい節目を迎えたDom Perignonについて、お話を伺いました。

 

とても印象的だったのは、旨味とプレニチュード(熟成における最高の瞬間)は同じ、と考えている、とおっしゃっていたこと。

 

そして、Richard Geoffroy氏と今回新しくChef de Caveに就任したVincent Chaperon氏違い。Geoffroy氏の哲学は、「禅」で、シャンパンづくりの手法もとてもシンプル。複数のイーストを混ぜて使う、というようなことはせず、昔から伝わるイーストをシンプルに使うだけです。もともと17のグランクリュ、全部の畑を持っているので、素材の良さを生かし、時には少ないことが豊かなこと、という考え方をすることもあるそう。時間を贅沢に使って生み出す自然な味は、Dom Perignonの持ち味でもあるのだとか。

 

 

 

そして、Chaperon氏は、哲学的なGeoffroy氏に比べて、テクニカルなことに強い傾向があるそう。ただ、ここ10年分のシャンパンはセラーにもうあるため、少なくとも次の10年は変わらないスタイルで、そこから徐々にChaperon氏の色が出てくることになります。

 

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とはいえ、Chaperon氏は15年間 Geoffroy氏と働いていて、哲学は共有しているため、Dom Perignonという枠の中で、ヴィンテージは毎年違うのと同じように、そのDNAを保ちつつ、進化して行くイメージ、ということでした。

 

Nickさんに夜と、目下の目標は、「シャンパンと言えば乾杯の時のお酒」というイメージを拭うこと。

 

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ということで、それぞれのDom Perignonのフードペアリングについて、Ce La Viのヘッドソムリエで、マスターソムリエの資格を持つMathias Camilleriさんに、ご自身が考える理想のフードペアリングについてお話しいただきました。

 

 

「2009年のヴィンテージには、ホテルブリストルのEpicureのÉric Fréchonシェフのシグネチャー、 "Stuffed Macaroni with artichokes Black truffle, Duck Foie Gras and Parmesan Cheese "を合わせたいですね。実は駆け出しの頃、1年間彼のレストランで働いたことがあって、そういう意味でも思い出の味なのです。2009年のヴィンテージは、豊かな味わいと酸のバランスが良く、鴨のフォワグラのクリーミーなテクスチャと合います。フォワグラのテクスチャは、トリュフとアーティーチョークのエレガントな大地の味わいとのコントラストがあり、その二つの豊かな味わいどちらとも響きあうと思います」

最初にしっかりとコクと旨味を感じるふくよかなシャンパンだと感じました。

 

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続いては、「レガシーラベル」の2008年。ラベルに、Richard Geoffroy氏とVincent Chaperon氏のダブルネームが。キリッとした酸、後味もすっきりとしたシャープな味わいです。

 

「2008年はまだ固い状態にあると思いますが、見事な純粋さと、塩や石灰岩、チョークを思わせるようなミネラル感があります。なので、シーフード全般との相性が良いと考えています。私の理想のペアリングは、同じく以前に働いた英国のレストラン、Medlarの、蟹のラビオリでしょう。ソースは蟹と、芹の仲間のサムファイア、そしてヨーロッパ産の小エビを使っていて、濃厚なビスクソースは、ラビオリとシャンパンを美しく繋いでくれそうです。」

 

そして、長期間おりと共に熟成し、クリームやバターを思わせる豊かな味わいを感じた2000年のP2。

 

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「このシャンパンには、私がシャンパンが大好きな理由である要素が全部詰まっています。トースト、ドライフルーツ、マッシュルームの味。デリケートでクリーミーなテクスチャーは、繊細な泡と相まって、味覚に心地よい刺激を与えます。フランスでは、シャンパンとチーズは最も複雑で、成功したペアリングと言えるでしょう。ですので、私がペアリングしたいと思ったのは、ロンドンで最も有名なレストランだと考える、Ledburyの、カリカリのトーストの上にサン=ネクテールのチーズと、黒トリュフのスライスをのせたものです。これは、爆発的なマッチングになると思います」

 

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程よい酸味の赤いベリーと、しっかりとしたミネラルのある、2005年ヴィンテージのロゼについて。

「見た目で判断してはいけない、というのは、東京のミシェル・トロワグロを訪れた時に学んだ教訓です。クラッシックである、サーモンとソレルのクリーム煮をサーヴされた時に、これが自分の中で最も味わい深く、洗練されたサーモンの料理になるとは考えずに食べました。しかし、とろける食感のサーモンと、ソレルのクリームは驚くほどのフレッシュさをもたらしました。ほのかな酸味のある野生のベリーと、強い石灰のミネラル感を感じるこのロゼは、この皿のキャラクターを際立たせると思います。」

 

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乾杯酒から食中酒へ、これからのDom Perignon の進化に、注目です。

 

<DATA>
■Unveiling the Dom Pérignon 2008 Legacy Edition with Winemaker Nick Lane
日時:2018年10月29日(終了)

会場:CÉ LA VI Singapore