Benjamin Halatシェフによるモダンドイツ料理を提供しているResort World Sentosa内のCurate。今月、故郷ドイツで生産者巡りをしてきたというBenjaminシェフの冬のメニューを味わいに、お邪魔してきました!
まずは、常夏のシンガポールで冬を感じてもらいたいと、ひんやりとしたワインセラーへ。
BROTZEIT
提供されるのは、シナモンやオレンジにサイフォンでインフューズした、甘いホットワイン。
BLUTWURST
スナックは、削ったミモレットチーズを乗せた、ドイツ伝統のブラッドソーセージの小さなキッシュ。鉄分の味が程よく、甘くフルーティなワインと良く合います。
Leberwurst Brot
豚のパテときゅうりのピクルスをパンに乗せた伝統料理を、モルトの入ったもっちりとしたマカロンの上に、フォワグラのテリーヌ、きゅうりのジュレと小さなきゅうりのピクルスでアレンジ。
Sauerkraut
3種類のザワークラウト。
コンソメは、ザワークラウトを蒸し煮にして、全てをミキサーにかけて布の袋に入れ、一晩吊るしてできたスープを、卵白と豚肉で清澄したあと、一個丸ごと6時間かけて焼いたキャベツを漬け込んであります。
酸味と甘みが強めのコンソメスープに、同じくザワークラウトで作ったフィリングと、シャキシャキのザワークラウトそのものの皮のラビオリ。ほんのりクミンと、パセリオイルが効いていて、キャベツの旨味を感じるスープになっています。
刻んだイタリアンパセリと、黒ビールで作った、やや甘みを感じる粒と合わせて。
Brot & Butter
パンは、サワードゥと、発酵キャベツのスターターで作ったプレッツェルのような生地のもの。
子供の頃から、狩猟に行っていたというBenjaminシェフ、その狩猟仲間が作っているというサラミと、自家製の白豚のハム、ブラック・フォレストハムは、1週間塩漬けにしてから、米麹の粉を周りに塗って、2週間乾燥させてからスモークしたもの。
合わせるバターは3種類。
自家製のバターは、バイエルン産のクリームで作ったバターにチーズのような味を加えるため、素焼きの器に入れて10度で2週間エイジングして作ったホイップバター。
発酵バターほどには酸味がなく、チーズのような濃厚な旨味があります。
ドイツ語でSchmalzと呼ばれる豚のラードは、イベリコ豚とハモンセラーノの脂をりんごや玉ねぎと混ぜたもの、そしてベジタリアンにも対応の自家製バター、ひまわりの種をミキサーにかけて作ったスプレッドに花粉をまぶしたものは、ビーガン対応にもなっています。
HUMMER
バターの中でロブスターの殻をローストして作った、ロブスターバターでコンフィにしたロブスターは、とても柔らかく、シナモンやスターアニスなどで香り付けしたかぼちゃの泡のスープと合わせてあります。ほんのりオレンジの花のような香りがするのは、今回のドイツ帰国でシェフが発見したという、かぼちゃの花のオイル。
そして、ほのかに生姜の効いたそばの実のサラダは、ロブスタームース、マンダリンのゼリー、カモミールとデイジーの花のムースの層と合わせて。このマンダリンのゼリーと、かぼちゃの花のオイルの味がとても良くあっていて、ロブスターの味を引き立てていたと思います。
FRANKFURTER GRüNE SOSSE
シグネチャーメニューとして、Benjeminシェフがずっと作っている、泡だてた卵白の中にとろっと流れる黄身を閉じ込めたロシアンエッグ。ドイツではゆで卵に合わせるのが定番の、ラビッジやサラダバーネットなどのハーブを使ったグリューネソースを合わせて。上にはオシェトラキャビアを乗せています。
KNöDEL & SCHWAMMERLN
ドイツのレストランで、5〜6歳くらいまでの子供に、サービスで提供されることが多いというブレッドダンプリング。それを、トリュフを使った高級バージョンで提供しています。
伝統に則って、焼きたてのベーコン入り自家製ブリオッシュを使っています。
軽く炒めたセップ茸、細かくシュレッドした黒トリュフ、マデラ酒に漬け込んだトリュフのスライス、マッシュルームの泡のソースを合わせて。ストライプの黒色の部分はトリュフを加えた薄焼き卵。
今回のドイツ訪問で持ち帰ってきたものの一つ、スイスの牛乳のチーズ。中にガーリックがはいっていて、周りには黒胡椒がまぶしてあるハードチーズです。これに合わせたのが、
SENFSOSSE
トーストにマスタードと缶詰の魚を合わせたもので、料理を始めたばかりの頃に食べていた料理を昇華させたもの。鱈は8分間塩でマリネして水分を抜いてから、真空低温調理をして、マスタードとドライトマト、オリーブなどを混ぜ合わせたソースを作って。プチプチのマスタードシード、西洋ごぼう、サルシファイのピクルスと、焦がしバターでじっくりと火を入れたもの、パン粉のチップと、マスタードの芽を飾って。
ROTE BEETE
ビーツは、やや甘めのソルベ仕立てと、塩釜で焼いて甘みを引き出し、キューブに仕立てたビーツにオリーブオイルと塩を加えたもの、乾燥させたチップ、ビーツの粉を使って土に見立てたパウダーと共に。
BADEN BADEN
狩猟で有名な地域の名前から。2週間ドライエイジングした鹿のモモ肉は55度で45分真空低温調理した後、サボイキャベツで巻いて、赤ワインと、血のパウダー、トリュフで作ったルアネーズソースと合わせて。くるみのピュレを添えてあります。
芽キャベツのピュレとリンゴンベリーを乗せた洋梨のシロップ煮、赤キャベツのザワークラウトを赤ワインとバターで煮たものを合わせて。
ナイフは、Benjaminシェフの家族が4世代にわたって使っている狩猟用ナイフのメーカーに作ってもらったもの。鹿の角でできています。
VACHERIN MONT D’OR
冬の時期にしかない、モン・ドールを使ったポテトクリームに、ポテトのパフ、玉ねぎのピクルスで酸味を加えたものに、上からたっぷりとアルバ産の白トリュフを削りかけて。
ここからがデザート
冬のアルプスに欠かせない果物、リンゴを使っています。
BRATAPFEL
すっきりした発酵アップルとアップルリキュールにアルブミンを混ぜて作ったフォームにアイシングシュガーをかけて表面を焦がしたものの中には、ローストしたリンゴのソルベ、リンゴのコンポート、ブラウンシュガーと生姜が香るアーモンドのクランブルを合わせて。
GERMKNöDEL
生姜とシナモンの効いた「ジンジャーブレッド味」の焼きたてのスフレ、黒ビールのサバイヨン、フィリピンのドンパパというラム酒を使ったラム酒漬けのフルーツをブレンダーで混ぜ込んだアイスクリーム、その下にはラム酒漬けのフルーツ。温かいものと冷たいものの温度の対比も楽しいデザート。
最後は、祖母のレシピだというクッキー、チョコレートのロシェ、ラズベリーのパートドゥフリュイ、そしてドイツ風のドーナッツにエッグノッグのクリームを乗せたもの。
「自分の郷土の味を表現する」とBenjaminシェフがスタートしてから1年、それぞれのメニューの作り込み具合も、味の安定感も増してきたように思います。
ユニークなモダンドイツ料理、体験してみてくださいね。
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■Curate(キュレート)
営業時間:ランチ 12:00~、ディナー 18:30~、無休
住所:The Forum, Level1, Resort World Sentosa, 8 Sentosa Gateway, Sentosa Island Singapore 098269
電話:+65 6577 7288
アクセス:Sentosa Express Imbiah駅徒歩5分