今年7月に一周年を迎えた、シンガポールに伝わる家庭の味を後世に伝えようというレストラン、folklore(フォークロア)。

 

 

今回、メニューの4割ほどを新しくしたということで、お邪魔してきました。家庭に伝わる、レシピのない料理を残していくのをミッションとして作られたレストラン。今回はDamianシェフの父の親友のインドネシア人の奥様で、Damianシェフ自身、子供の頃から彼女の料理を食べてきたという、レシピをアレンジした料理が登場しています。

 

地理的にも近く、シンガポールと関係性の深いインドネシア。

そんな新メニューの一つ、インドネシア風のチキンカレーが、Opor Ayam($24)です。

 

 

Damianシェフは、「東南アジアで広く見られるカレーチキンですが、2種類あって、マレーシアはターメリックを多く使うイエロー、こちらはインドネシアスタイルのホワイトです」と語ります。

生姜やニンニク、シャロットなどを使ったシンガポールのスパイスミックス、ウェットルンパに、クミンやコリアンダー、ココナッツミルクなどを加えたグレービー、そこに放し飼いで育てた旨味の濃い鶏肉を加えた、胡椒も唐辛子を使わない、辛くないカレーです。

 

 

続いては、プラナカン料理の定番、Prawn Sambal with Petai($26)ペタイ豆とエビのサンバル(唐辛子ソース)炒め。

 

 

シャロットや唐辛子、小海老のペースト、キャンドルナッツやライムジュースなどで作られたペーストにペタイ豆とエビを加えます。独特の旨味とサクサクした食感のあるペタイ豆に、海老の味が絡み、甘辛い味付けです。「マレーシアのものは、もう少し水気があります。シンガポールのプラナカン料理は、水気なしで仕上げてあるのが特徴です」とDamianシェフ。

 

Sotong Masak Sambal Belado(市価)

 

 

トマトと唐辛子を大量のピーナッツ油で煮出して作ったとても辛いソースに、イカを加えて加熱したもの。辛さはこの日いただいたものの中でもトップクラス、じっくりと油の中で調理することで、辛みだけでなく、甘みを引き出しています。

 

Ikan Assam Surani($30)

 

 

スレッドフィンと呼ばれる脂の乗った魚とタマリンドを使った甘酸っぱい煮込み。シャロットとニンニク、ターメリック、唐辛子とレモングラスを決まった大きさに切り、タマリンドを加えて煮込んだベースに魚を加えて似たもの。ブレンダーを使わず、素材を手切りにしなくてはならず、手間がかかるため、現代では失われつつある料理の一つなのだとか。

 

Ayam Goreng($24、ハーフサイズ)

 

 

生姜の仲間のcekurという野菜や、ガランガル、シャロット、コリアンダーなどでマリネしたフライドチキン。シンガポールらしい、ライムジュースの入ったスッキリしたチリソースと合わせて。

 

National Day Special($30 飲み物、デザート込み、2人前の価格)

 

 

 

8月31日までの平日限定のセットで、内容は週替わり。今週はDamianシェフの祖父のインド風レシピから。「昔はヤギ肉というのはとてもよくある肉で、私も少なくとも、月に2回はヤギ肉を食べていたものです。」15種類のスパイスをたっぷり使ったドライカレーに仕上げてあります。

 

 

セットには、ビリヤニ、dhalchaと呼ばれる、子羊の肋肉とジャガイモ、bottle gourdと呼ばれる夕顔の実を使った煮込み、

 

 

アチャーと呼ばれる酸味の効いた漬物と共に提供されます。

 

 

この日のデザートは、Cheng tng。

 

 

ロンガン、デーツ、熟したパパイヤ、白木耳、砂糖漬けの冬瓜などで作った、冷たくて甘いシンガポール伝統のスープ。スパイスの辛さをすっきりとさせる効果もあります。

 

Damianシェフは、時間のある時は料理が終わった後各テーブルを回り、料理にまつわる話を聞くこともできます。シンガポールの料理の歴史を昔話のように語り継ぐ、そんなコンセプトのレストランです。

 

 

 

<DATA>
■Folklore(フォークロア)
営業時間:ランチ 12:00~14:30、ディナー 18:00~21:30、無休
住所:Destination Singapore Beach Road, 700 Beach Road, Level 2, Singapore 199598

電話:+65 6679 2900
アクセス:MRTニコル・ハイウェイ駅徒歩10分