Asia’s 50 Best Restaurants で5位のOdette。
JAANで活躍したJulien Royerオーナーシェフが独立、現在ミシュラン二ツ星の人気店です。夏のメニューを新しくした、とのことでお邪魔してきました。
ライ麦のタルトといくらスモーククリームフレッシュ、すだち
レタス、サーモンタルタル、オリーブ、うずら卵
マテ貝のアイオリをラディッシュでサンドしたもの
シグネチャーのマッシュルームのスープ。
セップのサバイヨンに砕いたくるみとしめじを乗せたものに、乾燥したセップ茸を45分漬け込んだ出汁を注いで、セップバターを塗ったブリオッシュと共にいただきます。
サバイヨンもスープもしっかり濃厚で、最初にまずしっかりとクラッシックフレンチのベースを感じさせます。
パンは、ライ麦のサワードゥ、エスカルゴの黒トリュフ、ローズマリのフーガス。ラードと粉末パンチェッタ、自家製フレッシュバターとオリーブオイルを添えて。
すだちの香る、ウニとフィンガーライムを乗せた、サクサクのイカスミのトースト。
Hokkaido Uni
ロイヤル・シュリンキ・キャビアの下は、ムール貝のフォームの下に、北海道産のウニ、ボタンエビが隠れています。
ペアリングは日本酒。
フルーティでとても華やかな香り。後味はアルコールのボリューム、苦味で切るようなペアリングです。ちなみに、今日本酒は6種類ほど置いているそうです。
Kegani Crab
りんごと生姜、セロリのゼリーの下には、りんごとセロリのソルベ、vadouvanというインド系のスパイスと東南アジアのカフィライムのオイルでマリネした毛ガニ。コリアンダーの葉とvadouvanを使ったソースを散らして。このvadouvan、インド系のスパイスを使ったフランスのスパイスミックスです。エスニックなスパイスを使うにしても、フランス料理のアイデンティティを大切にしたい、というJulienシェフの思いを感じます。
Wild Caught Chinook Salmon
天然のキングサーモンは温かいそば粉のブリニの上に花のように乗せて、すだちを香らせて。
もう一つは、薄切りにしたきゅうりのピクルスに、そばつゆを思わせるような出汁醤油に漬け込んだいくらを包み、上に生姜をひとつまみ、そこに、鮭のフュメをベースにスモークガーリックを混ぜたフォームソースに、ディルのオイルをかけて。
Tomato ‘Les Cailloux’
バジルオイルを浮かべた冷たいトマトウォーター
優しく火を入れた様々なトマト、Pimiento del Piquilloと呼ばれるスモークペッパーのソルベ、オリーブ、フレッシュアーモンド、黒オリーブのクランブル。つい最近World's 50 Best Restaurants のイベントが行われた夏を思わせる味、スパイシーなソルベをひんやりとしたトマトウォーターで冷やすようなバランス。
意外だったのは、ペアリング。トマトの果実味とスモークペッパーのスパイスに合わせたのか、しっかりしたボディのグルナッシュの赤と合わせて。
そして、次のペアリングは再び、白ワインに。洋ナシやグァバ、しばらくすると、マンゴーのようなトロピカルフルーツの味が楽しめるプティマンサンを。
Limousin Veal Sweetbread
リムーザン牛の子牛のリードボーは、ムニエルに。ややしっかり目に火が通っていて、個人的にはもっとレアでも良いかな?と思いましたが、コクのある白身の肉として楽しむならこの位なのかも知れません。
オーストラリア・マンジャニップ産の黒トリュフ、ヘーゼルナッツ、甘さが際立つセヴェンスオニオンのピュレ、バルサミコとセヴェンスオニオンのソース、子牛のジュ。ローストした蕎麦の実を添えて。
Nagasaki Amadai
主役は皮がカリカリ、身がふわっと、絶妙な火入れで仕上げた長崎産の甘鯛。海苔のオイル、木の芽、ナスターチウム、花ほ、ズッキーニの花に、日本では天使海老と呼ばれる、オーストラリア産のobsiblueえびが入っています。すだちの香りをまとった生のイカに、スモークしたうなぎと鰹昆布の出汁を注いで、軽く火を入れます。
以前はうなぎとフォワグラがフランス料理の定番ということで、この出汁をフォワグラと合わせていましたが、今回、すだちや海苔のオイルなどが加わったことで、より和、アジアを感じる仕上がりになっていました。
Miso Glazed Endive
ベジタリアンのメインディッシュ。
エンダイブは蒸し煮にしたものと生に、軽く炙った生のオレンジを添え、日本酒のリダクション、シャルドネビネガーで作った軽いブールブランのようなソースをかけて。アカシアの蜂蜜、キャラメリゼした白味噌は、みたらし団子のようなコクがあり、ブールブランとの相性もよかったです。ベジタリアンのジュのようなイメージで使っているような気がしました。
Roasted Quercy Lamb
プロファンス地方のQuercy地区からやってきた、生後6ヶ月の子羊の腰肉は、骨つきの塊ごと65度の低温のオーブンで40分焼いてから皮目をクリスピーに焼き上げ、最後に月桂樹やローズマリーなどのスモークで仕上げて。
腹身は蒸し煮にして、表面にはちみつを塗ってあります。
クミンのような、ほのかにスパイシーな香りは、クスクスなどに使う唐辛子のピュレ、ハリッサから。キヌアにオリーブオイルを混ぜた「クスクス風」を添えて。
フランス西部のナンシーで、MOFを持つ、長男のPhilippe を中心に、三兄弟でチーズの熟成を行なっているという、Les Freres MARCHANDのチーズ。
プレデザートは、青リンゴのグラニテにキュウリのソルベ、レモンバーベナのフォーム。
オレンジの花のような香りのコンドリューの遅摘みの甘口ワインを添えて。
Bessenay Cherry
チェリークラフティをイメージしたデザート。
エルダーフラワーとアーモンドのソルベ、バニラを効かせたクレームディプロマ、チェリー入りのアーモンドスポンジ。
シーズンが終わりだという、宮崎マンゴーを使ったタルト
マンゴーのトリミングのところで作った「マンゴーカード」、レモンのカリカリのメレンゲ、ココナッツのフォーム。マンゴーの緑の味と重なる、バジルを散らして。
小菓子は、ラズベリー、ざくろのソルベに、ホワイトチョコをかけ、ヒソップの花をあしらったもの、抹茶のクリームを詰めたシュー、内側のしっとりしたバナナカヌレ、一口サイズの塩キャラメル。
近年様々なレストランとのコラボレーションも行なっているJulienシェフ、そのスタイルは以前のクラッシックさから一歩足を踏み出して、もっと自由になった印象。日本酒や味噌、鰹昆布出汁など、アジアの味、そしてシンガポールで馴染みのあるスパイスを積極的に使うスタイルに、どんどん挑戦していっている気がします。ご本人にお聞きすると、アジアに10年暮らしていて、自然とそういったアジアの味を取り入れるようになったのが大きいのだとか。日本の食材は、フランス料理とよく合う、と話していました。魚や肉の火入れはまさにクラッシックフレンチで磨かれた安定感あるもの。フランスを中心とする食材は、フランスの生産者や専門店と独自のネットワークを構築して入手していて、リムーザン牛のリードボーやフランスの子羊など、シンガポールではなかなか手に入らないものも提供しているのが魅力です。
Julienシェフ、ご一緒させていただいたミシュラン一ツ星のフランス料理、山中賢二シェフと
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■ Odette(オデット)
営業時間:ランチ 12:00~13:30(LO 、火曜〜土曜)、ディナー 19:00~21:00(LO、月曜〜土曜)、日曜・祝日休
住所:1 St Andrew's Road, #01-04 Singapore 178957
電話: +65 6385 0498
アクセス:MRTシティホール駅から徒歩5分ほど