クラッシックなポルトガル料理の味をモダンなプレゼンテーションで提供するレストラン、Guincho a Galeraにお邪魔してきました。
ポルトガルにあるミシュラン1ツ星Fortaleza do Guinchoの海外支店で、レストラン自体は、現在グランド・リスボアホテルにあるJoel Robuchon au domeがあった場所をそのまま使っています。クラッシックな落ち着いたインテリアの中で、ゆっくりとしたひと時を楽しめます。
厨房を率いるのは、香港出身で、Fortaleza do Guinchoで研修をしたSimon Liシェフ。
「オリーブオイル、トマト、パプリカ、ニンニク、月桂樹の葉などを多用したマイルドな味わいがポルトガル料理の特徴」と語ります。
なかなか普段馴染みのないポルトガル料理ですが、パンはバナナを練りこんだほのかに甘くふんわりとしたブリオッシュのようなバナナブレッドと、ポルトガルビール、ソーセージを使ったビアブレッドでスタートです。添えてあるのは、ほんのり甘い自家製バナナバター。
Portal do Fidalgo, Alvarinho, Portugal 2016
ポルトガル名産のヴィーニョ・ヴェルデ、緑ワインという名前通り、完熟前のぶどうから作られるワインは、スタートにぴったりの、すっきりとした味わい。
Deep-fried Bacalhau paste
伝統的なポルトガル料理、バカリャウ、揚げ物なので、酸味でバランスをとるためにピクルスを添えてあります。
Clams in "Alvarinho" sauce
Seared scallop with Portuguese ham
こちらはSimonシェフのオリジナルのメニュー、海に囲まれたポルトガルではシーフードはよく使われるもの。さらに、シーフードと肉のコンビネーションが使われるため、それをオリジナルにアレンジ。中国料理でもよく使われる、干し貝柱のピュレを敷き、フィロペストリー、その上にフライパンで焼き上げた帆立の貝柱とポルトガルのハムが乗せてあります。オリーブオイルとレモン、コリアンダーのピュレですっきりと仕上げてありました。
Caldo Verde soup with chorizos
続いては、マカオ料理をベースにした二種類のジャガイモを使った料理。
鶏ののスープをベースに、クリームスープにジャガイモピュレとほうれん草、チョリソが入っています。
伝統的なポルトガル料理で、さっぱりとした、家庭料理のような温かみのある味わいです。広く親しまれているレシピだけに店によっては、もっと肉がたっぷり入っているものも、もっと水分の多いスープもあるのだとか。
フランス料理は丸鶏を使うけれども、ポルトガル料理では、胸肉やモモ肉、内臓などをとった後の骨や端肉を中心に作るのが違い。フランス風は、軽い味で香りが強いけれど、ポルトガルのスープは味が強いのが違いだとか。
Pan-fried black cod with fava bean and tomato confit
オーブンで焼き上げた鱈に、そら豆、ベイクドトマト、トマトのソースでさっぱりと。ポルトガルの伝統料理ですが、ボッタルガをまぶしてトマトのチュイルを添えたのがオリジナル。
松の実とバジルで作ったジェノベーゼのようなソースを添えて、地中海風の仕上がりです。
Chardonnay Cova da Ursa, Bacalhoa, Portugal 2014
こちらには、マンゴーや黄桃のような、リッチなフルーツ感のあるシャルドネを合わせました。Grand Lisboa ホテルには、まるで辞書のように分厚いワインリストがあるので、ワイン好きの方にはたまらない場所かもしれません。もちろん、ポルトガルワインのラインナップも充実です。
African chicken with polenta and vegetables
マカオ料理でありながら、「アフリカ」というネーミングが面白い料理。基本的にアラカルトでの提供で、3〜4人でシェアしても良さそうなサイズ。鶏肉をスパイスでマリネして焼き上げたもので、大航海時代の船乗りたちが食べていた料理が原型と言われています。パプリカ、ガーリック、月桂樹の葉、唐辛子タイムなどでマリネした鶏肉は、ほんの少しピリ辛な味わい。
ポルトガル料理はパプリカを多く使うので、見た目ほどには辛くありません。
Charcoal grilled black pork "Alentejo" with morcela and apple mille-feuille
もう一つの肉料理は、ポルトガル産の黒豚の炭火焼。同じようにパプリカなどでマリネしてから、地元の炭で焼き上げてあります。スモークの香ばしい香り、シンプルながら、素材の良さをそのまま味わえる料理でした。
ポルトガルでは肉や魚の付け合わせとして欠かせないポレンタや、グリルしたアーティーチョーク、トマト、アスパラガスやジャガイモ、りんごとブラッドソーセージのミルフィーユを添えて。
Adega de Pegoes, Colheita Seleccionada Tinto, Portugal 2014
甘いスパイスの香りのあるしっかりとしたボディの赤ワインと共に。
メニューは2ヶ月ごとに変わるので、違った季節に訪れても楽しめそう。
Creme caramel and orange roll with mandarin orange sorbet
デザートは、様々なオレンジのデザート。クレームブリュレ、ソルベ、タルト。そして軽いテクスチャが印象的だったオレンジのロールは、卵とコーンスターチ、オレンジジュース、オレンジコンフィのピュレを混ぜて、コンベクションオーブンでゆっくりと70度の低温で調理したもの。
小菓子のエッグタルトは、パリッとしたクラストとトロリとしたフィリングの対比がしっかりとあり、小さいながらもレストランクオリティの味わい。
上質なポルトガルワインと共に楽しむ、洗練されたポルトガル料理のお店です。
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■Guincho a Galera
営業時間:ランチ 12:00~14:30、ディナー 18:30〜22:30、無休
住所:3/F Lisboa Tower, Hotel Lisboa, 2 - 4 Avenida de Lisboa, Macau
電話:+853 8803 7676
https://www.grandlisboahotels.com/en/hotelisboa/dining/guincho-a-galera