前任のMarcoシェフの独立を受けて、今年2月に、新しくEmanuele Faggiシェフが就任したZafferano(ザッフラーノ)。若干31歳のEmanueleシェフですが、モダンイタリアンの巨匠、Gualtiero Marchesiの下で研修するなど、既に15年以上のキャリアを積んでいます。

 

 

capesante – zafferano – agretti – cappero – avruga ($32)

 

 

生の北海道産の帆立に、乾燥させたケイパーの粉、アブルーガ・キャビア、クリームにサフランを加えて煮詰めた、澄ましバターのような香りのサフランソース、フダンソウをニンニクと唐辛子で炒めたものを添えて。

パウダーを多用するEmanueleシェフ、Marchesiでも、キッチンでのフードロスを無くし、無駄のない使い方をするように、と教わったそうで、野菜などの使わない部分は乾燥させてパウダーにして仕上げにふりかけるのはもちろん、ピュレに混ぜたり、色付けに使ったりして、使い切るようにしているのだとか。

 

 

salmone – barbabietola – limetta – salsa verde – quinoa($28)

 

 

鮭を塩や砂糖と共にビーツのジュースに3日間漬け込み、ピエモンテでよく使われる、バジルにゆで卵、ニンニク、アンチョビ、ケイパー、オリーブオイル、白ワインビネガーなどを加えて作った、サルサヴェルデと呼ばれる緑のソースとキヌアのチップを添えて。

 

gamberi – ricotta – origano – pomodoro – salsa cocktail($32)

 

 

シチリア・Mazara産の生の赤海老に、温かいリコッタチーズのソース、トマトのコンフィ、バジルオイル、ブランデーの効いた自家製のカクテルソースを添えて。

 

gnudo – ricotta – spinaci – calameretti($26)

 

 

gnudoとは、トスカーナの言葉で「裸の」という意味。パスタで包まない、フィリングだけを提供していることからこの名前がつきました。乾燥させたリコッタチーズとほうれん草、パルメザンチーズと卵白で作ったボールを茹でて、セージと共に炒めたベビースクイッド、イカスミのソースと共に。海の味わいがコクを加えます。

 

riso – oro – zafferano ‘tribute to Chef Gualtiero Marchesi’($32)

 

 

マルケージシェフの下で研修したこともあるEmanueleシェフにとって、思い入れの深い皿。「マルケージシェフの料理は、どれもシンプルに見えるけれども、その奥に様々なテクニックが隠されている」と語ります。それぞれに別々に下ごしらえをして、最適なタイミングで加える、というのがマルケージシェフのやり方なのだとか。こちらはロンバルディアの郷土料理、オッソブッコが原型。子牛のすね肉とグレービーを使う代わりに、ボーンマローを使って、コクを出しています。マルケージシェフのレシピは鶏のスープを使っていたそうですが、さらに軽い味わいにしたいと、ローストした玉ねぎ、人参、トマトにクローブと醤油をアクセントに加えた野菜のスープを使っています。上質なサフランが香る、軽やかな一皿でした。

ちなみに、リゾットを作る際に、米をまず、フライパンで乾煎りしてから油やスープを加えると、砕けないで美味しいリゾットになるのだとか。

 

manzo – capperi – liquirizia – porri – sedano rapa($58)

 

 

150日間穀物肥育をしたアメリカ産のブラック・アンガス牛のヒレ肉はオーブンで焼き上げ、リコリスの粉とケイパーを乗せて、グラタンのように仕上げて。下には、塩で包んでオーブンで丸ごとじっくりと焼き上げた、根セロリのピュレ、焦がした玉ねぎの皮の粉。

 

 

merluzzo – asparagi verdi – patate($58)

 

 

鱈はフライパンで焼いてから、オーブンで2分間加熱して仕上げ、アスパラガスは、湯がいてからバニラビーンズを加えたバターで炒めてあります。オーブンでじっくりとローストしたジャガイモのピュレを添えて。

脂の乗った鱈の甘い味わいと、甘いニュアンスのバニラの印象を重ねています。

 

piccione – frutti di bosco – rape bianche ($68)

 

 

ブレス産の鳩は、もも肉は柔らかくなるまで蒸し煮にしてからブルーベリーのソースと合わせ、胸肉はローストしたものを、ローズマリーの煙と共に閉じ込め、別々に調理して。トスカーナ州では、伝統的には鳩はしっかりと火を入れるそうですが、軽やかなロゼ色に仕上げた胸肉は、現代的な火入れになっています。

 

cremino – cioccolato – anguria ($16)

 

 

デザートは、ヴァローナのチョコレートを使ったクリームを加えない軽やかなチョコレートムース、ヨーグルトのスポンジ、スイカのソルベ、トニックウォーターに1分間だけ漬け込んだ生のスイカ、バニラサブレという、濃厚な味と軽やかさが共存する一皿。

 

mascarpone – zafferano – pan di spagna ($16)

 

 

春の花、ミモザを模ったデザート。イラン産のサフランから抽出した液に漬け込んだスポンジの中に、マスカルポーネチーズのクリームが入っています。

 

 

 

そして、イタリア流のスープストックの取り方を教えていただきました。(写真は子牛)

ローストした紫と白の玉ねぎ、端肉や骨を水に入れて、ある程度煮詰まったら上にぎっしりと氷を入れるのだそうです。そうすることで肉が冷えて縮み、もう一度沸かすことで、肉が緩み、新たにゼラチン質が出てくるのだとか。それを4度繰り返して作ったのがこちら。一番上の脂肪の層を取り除いたもので、上の白い部分が旨味、そして下がゼラチン質、それを温めて混ぜて使うとのことでした。「素材の旨味を出し切る」というのも、Emanueleシェフのポリシーとも、重なる気がしました。

 

 

Marcoシェフよりも、さらにモダンなアプローチを取っている印象、個人的には軽やかで香り高いサフランリゾットが気に入りました!

 

 

 

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■Zafferano(ザッフラーノ)

営業時間:ランチ 11:30~15:00(平日)、サタデーブランチ11:30~14:30、ディナー 17:30~23:45(月~水曜)、17:30~25:00(木~土曜、食事のラストオーダーは全日22:30)、日曜休
住所:Ocean Financial Centre, Level 43, 10 Collyer Quay, Singapore 049315
電話: +65 6509 1488
アクセス:MRTラッフルズプレイス駅から徒歩3分ほど