以前シンガポールで、Nouriとのコラボレーションも行ったクアラルンプールのレストラン、DewakanのDarren Teohシェフが、再びシンガポールにやってきました!
今度は、ミシュラン一ツ星のSun Kimシェフによるモダンアジア料理、Metaとのコラボレーションです。
 

 

こちらがメニュー。クアラルンプールに行かないと食べられないDarrenシェフの料理だけでなく、Sunシェフも、今回全て、このために特別に作ったメニューで臨みます。

 

 
食事をしたのは、7年前にオーストラリアでのコラボレーションで和久田哲也シェフのアシスタントをしていたSunシェフと、Andreシェフのアシスタントとして出会って以来の親友という、Restaurant Andre の元エグセクティブシェフ、Zor Tanシェフと。閉店した2月以来、久しぶりの再会。マレーシア・ジョホールバル出身のZorシェフはもちろんマレーシア食材への造詣も深く、アレンジしてくれたSunシェフに感謝です。
 
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アミューズは共作で。
 
Prawn Cracker (M、写真右下)
タピオカのクラッカーに、干しエビのソース、大麦のクランブル、ワイルドペッパーリーフを合わせたもの。
 
Tart of Grilled Market Veg(M、写真左上)
フィロ生地の上に、季節の野菜を炒めたもの、レストランの裏にある菜園で育てたエディブルフラワーを添えて。
西洋料理なら、季節のグリーンピース、となるところを、季節の青菜炒め、と、アジアらしい所在で今の旬を表現します。キャラメリゼした味噌、根セロリのピュレを下に敷いて。
 
Grilled Baby Corn(D、写真右上)

ベビーコーンに、コーンのジュースをまとわせてからコーンの粉に、ほのかに五香粉が香るガラムマサラの衣をつけたグリル。

サクサクとした軽い食感、コーンの様々な味わいを楽しみます。

 

 

 

 

 

 

Mango Curry(D)

 

 
凍らせたマンゴーピュレのディスクの下には、温かいカレーのエスプーマ。子どもの頃、祖母の家に遊びに行った時に作ってもらった、お気に入りのメニューだとか。上に添えられたのは、コスモスの仲間のウラム・ジャヤという花。葉は Nasi Uramという、伝統料理に使うそうです。見た目が美しいだけでなく、ほのかな苦味と、どこか、青いマンゴーのような香りがあり、このマンゴーの味わいに合っていました。

 

 

Banana Hearts, Kerdas, Grilled Garlic Chive and Pickled Rose (D)

 

 

 

バナナの花は、100度で45分、オイルなどと共に加熱してから、バーナーで表面を焦がして。中国醤油のもろみから作った味噌のようなペースト、kerdasという、ソラマメのような実を乾燥させたチップ、スモークした大根と、グリルしたガーリックチャイブと呼ばれるネギの仲間を乗せて。どこか懐かしい味わいを、香ばしく仕上げています。

 

Squid, Sambal, Ink, Kangkong (M)

 

 

シンガポールで「サンバルソトン」と呼ばれる、イカのスパイス炒めを、モダンに表現しています。

柔らかく上質なイカは、細かく包丁を入れて、食べやすくしてからグリル、カレーリーフオイルや大きめの干しエビを使ったプラナカンスタイルのサンバルソース、イカスミとエルサレムアーティチョークのピュレ。フレッシュなカンコンと呼ばれる青菜が、みずみずしさを加えています。

 

 

Roasted Eggplant, Keluak paste, Aerated mushroom and Candlenut Sauce(D)

 

 

 

ローストした茄子は、上に味噌のような香りのブアクルアのペーストを乗せて、まるで味噌田楽のような仕上がりに。黒にんにくのような香りと甘みのジャングルのニンニク、そして、マッシュルームと、シンガポールではカレーなどに使われるキャンドルナッツのフォーム、最後にキャンドルナッツを削りかけて。

 

Goat Chops, Shitake, Kailan (M)

 

 

 

Metaらしい味の構成でもあり、個人的にも気に入ったのがこちら。地元の市場、テッカマーケットで買ってきたという山羊の肉をテンジャンに漬けて、60度で40分真空低温調理をしてから、炭火で仕上げています。酸味を効かせた椎茸、椎茸と出汁とバターのピュレ。ジュは山羊の骨や端肉にミルポワを加えて作ったもの。

 

 

 

 

そしてコラボレーションで作られたのが、こちらのカレー、ちょうどマレーシアの伝統的なレストランで食べる時のように、バナナの葉に少しずつおかずが盛り付けてあります。

Steamed Purple Rice dish with Delicacies:

中央の紫の米は、マレーシアの独自品種。

 

Grouper in Durian (D)

シンガポールでもマレーシアでも愛されているドリアンは、通常レストランではデザートとして楽しまれることが多いもの。それを、フルーティーな味わいを生かしつつ、甘くない料理に使っているのがとてもユニーク。ハタの一種、グルッパは米粉をつけてから揚げ、そこに、グルッパの骨からとった出汁とタラゴンを加えたブールブランソースを作り、バターの代わりに油分の多いドリアンで仕上げたソースを絡めます。

 

Pomelo Karabu (D)

ポメロに、柑橘系の香りがある、マレーシアのジャングルで採れた野生の胡椒の実を使ったペーストを混ぜて。この胡椒は、台湾の馬告と呼ばれる胡椒の仲間と同じ種類のものだとか。細かく刻んだカフィライムの葉、塩漬け卵黄のパウダーをかけて。

 

Kimchi with Pork Belly (M)

Sunシェフの奥様が作ったと言う、キムチを使った、豚バラ肉とキムチの煮込み。

 

酸味のアクセントに、獅子唐芥子のピクルスが添えられています。

 

Fish head curry (M)

グルッパの骨からとった出汁に、インドのカレー粉よりもより辛いと言う、韓国のカレー粉、人参、ジャガイモなどを加えたカレー。

 

 

 

Restaurant Andre, RAWを離れ、現在自身のレストランの準備中というZorシェフ。新しいレストランは、ビストロノミースタイルで、少しシンガポールやアジアのエッセンスを加えたものになるそう。「こういったオープンカウンタースタイルが理想。Sun シェフのところはチームワークもいいね」と、自身のレストランの構想をふくらませていました。
 
デザートは、
Sayur Manis Sorbet, Buah Nam Nam, Crispy Milk (D)

 

 

シロップで煮た、Nam Namと呼ばれるフルーツは、梨のような味わい。カンコンと呼ばれる青菜のソルベに、空気を含ませたミルクのクラッカーでコクをプラス、少し酸味のあるロゼラのパウダーをかけて。
 
 
Pengat Pisang Banana, Coconut, Tapioca (M)
 
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キャラメルと一緒に6時間かけて低温調理したと言うバナナの茎、バナナのソルベ、パンダンのオイル、ココナッツミルクとタピオカ、ココナッツメレンゲ。焦がしたココナッツのパウダーと共に。

 

これがバナナの茎。中心の部分だけを使います。

 

 

 

マレーとインドの血を引くDarrenシェフ、韓国人で、奥様がインド人というSunシェフ共に、様々に混じりあうアジアの味の共通項を抜き出して、個性ある地元の食材とともに表現して行っている印象。新しいアジアの味がこういったコラボレーションから、生まれて来るのかもしれません。Restaurant Andreの最終日に、Andreシェフが言っていた、「アジア料理というカテゴリーが、もっと確立していくといい」という言葉が、こうして、次の世代に受け継がれて行っているような気がしました。

 

 
三人三様のシェフたち、お互いに刺激し合って、新しいムーブメントを生み出すのでは。これからの活動に、注目です!
 
<DATA>
■Meta x Dewakan
日時:2018年6月26日、27日(終了)
■Meta(メタ)
営業時間:ランチ 12:00~14:30(平日)、ディナー 18:00~22:00(月曜~木曜)~23:00(金曜・土曜)、日曜休
住所:9 Keong Saik Road, Singapore 089117
電話:+65 6513 0898
アクセス:MRTアウトラム・パーク駅徒歩7分