シンガポールでも使っているレストランが多い人気のキャビアブランド、フランスのキャビアリの工場に行って来ました!

 

場所は、パリ中心部から車で40分ほどの郊外。

 

 

世界には数多くのキャビアブランドがありますが、キャビアリは売上額の95%がシェフを対象にしているというだけあって、それぞれのシェフの好みに合わせた味を作っているというのが特徴。

 

自社の養殖場を持つのではなく、世界中に契約養殖場を持っています。

 

例えば、中国に養殖場を持ち、自社ブランドも展開しているカルーガキャビアも、契約先の一つ。「そこから、品質の高いものを選んでいるのが私たちの強み」と、国際マーケティング担当のDavidさん。

 

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缶のまま、ブリニなどと一緒に食べる、伝統的なスタイルで楽しむのに向いているタイプから、料理に使うのに向いているタイプまで、様々なバリエーションがあるのだとか。

 

 

 


定期的に裏返して、容器の中の湿気などのバランスを整えます。

 

 

 

 

料理の場合は、粒が大きく、見た目が良いことも大切。チョウザメは、個体差で黒からゴールドにかけて、様々な色合いの卵を産みますが、シェフによっては、「ゴールデン」と呼ばれる、色が淡く、黄色がかった色合いのものを好む人も少なくないのだとか。

 

オシェトラの場合は10〜20%がゴールド、クリスタルの場合は、逆に80〜90%がゴールドと、割合が逆転するのだとか。

 

「シェフでも好みが違います。例えば、アラン・デュカスシェフはゴールドの色合いのクリスタルを好みますし、ジョエル・ロブションシェフは黒の”バエリ(Baeri)”という品種を好みます。シェフによっては、個体差の違いを『自然なもの』と受け止める人もいれば、『必ず毎回同じ味でなくてはいけない』と考えるシェフもいます」と、品質を管理する責任者、キャビア・マスターのBruno Higosさん。

 

 

 

 

同じチョウザメの個体から取れたキャビアでも、不思議なことに、それぞれに味が違い、熟成具合が早いものも遅いものもあるのだそう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ピュアな味わいを好むシェフは、若い状態を好み、濃厚で複雑な味わいを好むシェフは、しっかりとエイジングしたものを楽しむのだとか。

 

 

 

 

 

 

 

 

熟成の少ないものは若い味わい、長いものは複雑みと香りが増します。例えば、クリスタルは上手に熟成させると、ロックフォールチーズのような味わいになるそうです。

 

それぞれのデータは、文章の形で保存されているほか、Bruno さんの頭の中にもしっかりと入っているようです。

 

 

養殖場から、塩漬けにされて、1.8キロ入りのプラスチックのケースに入って届いたものは、−3度〜0度に管理された冷蔵庫の中で熟成、時々裏返して、容器の中の湿度を均一に保ち、7日〜10日に一回開けて、熟成具合を確かめます。

 

香りを確認し、見た目を確認。熟成が進むにつれて水分が抜けて、表面の艶がなくなり、油分が缶の下に溜まってきます。それと同時に、容器を押すことで、その固さを確認します。

 

イランで技術を学んだオーナーから手法を受け継ぎ、31年のキャリアを持つBruno さんは今52歳、その仕事は、25歳の息子のValentinさんに伝えられつつあります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「熟成の具合や味を知るには、とにかく食べること」とBruno さん。一日に少なくとも50グラムはキャビアを食べるため、自身の食事は一日1回、塩分を減らした夕食のみ。

「そうすると、朝味覚が鋭敏になるから」とその理由を語ります。

味の印象についての感覚、まだ状態が若いかどうかについてなどは、常にValentinさんと話し合います。意見が対立する場合、例えば、若いシェフに提供するキャビアの場合は、感覚の若いValentinさんの意見を取り入れることもあるのだとか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

熟成が頃合いになると、小さな缶に移し替えて納品します。

(小林ケイさんのレストランにおろすキャビアが準備されていました)

 

 

 

 

 

 

 

この日は、シャンパンとともに、3ヶ月のバエリと、オシェトラ。クリスタルの3種類を試食させてもらいました。

 

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若いウォッシュチーズのようなニュアンスのあるバエリ↑

 

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どこか果物のような、緑のマンゴーのようなフレッシュさも感じる、バランスの良いオシェトラ↑

 

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濃厚な青魚のような魚の香りがあって、日本の鰹昆布出汁にも合いそうなクリスタル。

 

 

現在工場は一般公開していませんが、2016年まで工場があった場所が、今ショップとレストランになっているということで、食事をいただきました。前日までの事前予約をすれば、12名まで、ここでキャビアをメニューに入れた食事が楽しめるそうです。

 

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入り口には著名な愛用シェフの写真がずらり。

 

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焼きたてのパンケーキ、タラモディップ、イクラ、オレンジの皮で香りをつけた鱒の卵、かぼちゃの種などのナッツが入ったクラッカーなど。

 

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クリスタルでも、3ヶ月熟成と4ヶ月熟成の組み合わせ。

確かに、4ヶ月のものの方が、よりまろやかでナッティさや複雑みが強い感じがします。

 

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キャビアについての展示もあり、その品種や歴史について、知識を深めることもできます。

 

 

キャビアについて、とても深く知ることができた機会。とても勉強になりました!

 

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■ Kaviari(キャビアリ)
営業時間:9:00〜18:00(ブティック)、土曜、日曜休

住所:La Manufacture, 13 rue de l Arsenal, 75004 Paris
電話: +33 1 44 78 90 52(ブティック)

https://www.kaviari.fr/en/