日本の食材と正統派のソースで楽しむミシュラン一つ星のフランス料理店、beni。

ドバイから友人のシェフがやって来ていたので、一緒にお邪魔しました。

土曜日ということで、ランチコースにスペシャルでいくつか追加でアレンジしていただきました。

 

オーシャントラウトのタルタル、レモンのコンフィ、ケイパー、下には日本の新玉ねぎで作った自然な、でもしっかりとした甘さのクリーム、上にはなんと花山椒を散らして。

 

 

ワインペアリングは、フランスワインを中心にしたセレクションで、こちらも王道の品揃え。

 

 

ホワイトアスパラガスと、サバイヨンソース、そこに日本の八朔でアクセントをつけ、イカのような食感の島根の白バイ貝、八朔の果肉を合わせて。

 

 

 

パンはベーカリー担当の前幸地シェフが焼き上げたもの。外側がカリッと、内側がしっとりとしたエスカルゴ、ロブションで働いていた前幸地シェフらしく、イカスミのミルクブレッドのイカスミをビーツに置き換えたピンク色のレイヤーの春らしいパン、そして枝豆のリュスティック。

 

 

 

白はしっかりとしたボディとバターやクリームを思わせるコクのあるシャサーニュ・モンラッシェ。

 

 

定番の、ひんやりとしたフラン。上にはトリュフが香るマッシュルームのヴルーテ。

 

 

北海道産の黒アワビ。ソースにこだわりを持つ山中シェフだけに、このアワビのソースのアイデアはサルミソース。

アワビを日本酒とミルポワと共に低温調理して、そのエキスと赤ワインのソースを合わせ、最後にアワビの肝を混ぜて仕上げます。

 

 

アワビつながりのアワビ茸、肝、そら豆を添えて。イカスミのテュイルに、肝のヨード感とのバランスをとる陸の緑の味、イタリアンパセリを添えて、根セロリのピュレと共に。

 

 

日本酒の香りをほんのりと残したむっちりとしたアワビそのものの旨味、海のエッセンスを凝縮したようなソース。

 

 

コート・ド・ニュイのエレガントな赤ワインと合わせたのは、鰆。

刺身でも食べられる鰆をミキュイに仕上げ、ロブスターの卵と黒オリーブを乗せて。横には優しい酸味の赤キャベツの蒸し煮にセルフィーユを添えて。サイドには主役のシヴェソース。

 

数ヶ月前にフランスで、とても美味しいシヴェのソースを食べた、という山中シェフが、その味を自分流に再現したもの。

 

10キロものロブスターの頭、赤ワイン6本、ベルモット1本、さらには鶏や牛のストックなどを加えてやっと3リットルのソースを作ったということですが、贅沢に材料を使い、えぐみを抽出せず、穏やかで複雑な旨味と香ばしい甲殻類の味わいを引き出しています。このあたりの考え方は、日本の一番出汁の考え方に似ているよう。

 

ミネラル感の少ない赤なので、魚臭くならず、添えられたシヴェのソースを引き立てます。

 

 

 

続いてのポムロールは、しっかりとしたミネラル、骨格のあるワイン。

 

 

そこに、イギリス・ウェールズの特産、Welsh lambのローストとナヴァラン。ローストには、春の苦味を感じるクレソンのピュレ、ナヴァランにはじゃがいものピュレを添えて。

 

 

ローストは、オーブンで優しく火を入れてあるので、中心に行けば行くほど、しっとりと仕上がっていて、ほのかな水分と食感を残したグラデーションが見事。

 

 

ナヴァランはしっかりと煮込まれているのにグズグズになっておらず、上品な味わい。

 

 

続いては、ミネラルもスパイス感もあるヌフ・デュ・パプ。

 

 

ロオジエの初代シェフでフランスMOFの、ジャック・ボリーさんの右腕として働いていた山中シェフ。

そのボリーさんのレシピを元に作ったのが、このピエ・ド・コション。

豚の足の骨を抜いて、そのゼラチン質の食感と味わいを楽しむ料理。

 

 

 

豚の足は3日間塩漬けにしてから1日塩抜きし、中にフォワグラやトリュフなどのファルスを詰め、さらに6時間かけて煮込んであります。

 

 

セージの葉や、季節のグリーンアスパラガスと共に。

 

 

しっとりとしたゼラチン質と旨味、先ほどのナヴァランもそうでしたが、山中シェフの煮込み料理は、素朴な温かみがありながらも、雑味のない味わい。

 

 

前幸地シェフの、しっとりとしたサワードゥと共に。

 

 

デザートの前に、穏やかで酸の少ない日本酒で、一旦口の中をリセットして。

 

 

友人のシェフがイタリア人ということで、荒見誠シェフが用意したのが、イタリア産のブラッドオレンジ。そのソルベとバジル入りのオリーブオイル。モッツァレラチーズのパウダー。フルーツトマトのカプレーゼのような印象。

 

もう一つのデザートは、日本のとちおとめを使ったデザート。

ピスタチオ、ピスタチオのクリーム、クリーム、ルバーブ、ラズベリー。

いちごとピスタチオ、いちごとルバーブという王道の組み合わせながら、ルバーブはシロップ煮のスライスを乾燥させたテュイルなど、食感などで遊びを持って。温かルバーブのクラフティは、ミルクのアイスクリームと好対比。

 

 

抹茶のマカロン、カヌレ、外がカリッと、中がしっとりとしたフィナンシェ、フルーティなアマゾンカカオを使ったガナッシュチョコレート。

 

 

 

 

楽しい時間を過ごしました!

 

 

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beni (ベニ)
営業時間:ランチ 12:00~15:00、ディナー 19:00~22:00 (日曜休)
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