マカオにはWynn系列のホテルが2つあり、どちらにもあるのが、Mizumiという日本料理の店。コタイ地域にあるWynn Palaceでは、韓国人のMin Kim シェフが腕を振るっています。

 

 

韓国で生まれ、父がレストランのオーナーシェフだったというMinシェフ、幼い頃から料理が好きで、「料理の道以外に進んでほしい」という父の反対を押し切り、日本の著名なレストラン、NARISASWAや龍吟、和久田哲也シェフのレストラン、オーストラリア・シドニーのTetsuya’sなどで修業を積んだのち、このMizumiのエグセクティブシェフに就任します。

 

 

スタッフは日本人も多く、Minシェフは流暢な日本語を操って指示を出します。「日本料理店に行って、日本人以外のシェフが立っていると、ああ、ここは良くない店だ、と思われる。けれども、そんな先入観を変えて行きたい」と語ります。

 

確かに、Minシェフを見ていると、気配りや動きの無駄のなさなど、回転の速さをそこここに感じます。勉強熱心で、英語も流暢で、人を楽しませる会話も上手。フランスでも日本人のフランス料理の星付きシェフが次々と誕生しているように、「日本人だから無条件にいい」という時代ではなくなってきているのかもしれません。

 

Baby octopus and white asparagus

 

 

まずは、宝箱のような木製の箱の中から出てきた、香川産のホワイトアスパラガス。

 

 

小さなタコは醤油でマリネしてから、沸騰させないくらいの温度で24時間加熱してあります。クリーミーで優しい味わいの辛子味噌と共に。

 

 

Le Petit Haut Lafitte Blanc 2015

 

 

しっとりと仕上げられたあん肝。

 

Chawanmushi with seaweed and uni

日本の太陽卵を使った小柱入りの茶碗蒸し。

 

あおさの上には、かねますのバフンウニ。

 

 

 

Assorted sashimi

 

 

龍吟のスタイルを踏襲した刺身。中心は塩水うに、左からサヨリ、宮崎産の139キロのマグロ、カンパチ、すだちを絞ったボタンエビ、炙った金目鯛。

 

Isojiman Tojo-Akitsu Saido Junmai Daiginjo

綺麗な味わいの、東条・秋津産の極上の山田錦を使った純米大吟醸と共に。

 

 

Omakase sushi

お任せ寿司は、日本人の職人の方に握っていただきました。

 

Masuizumi Omachi Junmai Daiginjo

寿司は、今度は米の濃厚な旨味が感じられる雄町の酒と合わせて。ペアリングもよく考えられています。

 

 

目にも美しく仕上げられた、鯛の稚魚、春子(かすご)鯛

 

 

ホタテ

 

 

北海道の毛蟹

 

ウニ

 

 

表面を少しだけ炙った先ほどのマグロ。

 

 

 

口の中ではらりとほどけるふんわりとした握りで、魚の味がしっかりと感じられます。

 

ここで、出されたのは、酢飯に使っている赤酢と水と米。それぞれ一口づついただいてみましたが、驚いたのは、水の丸み。

 

 

Char-grilled kinki fish and smoked bamboo shoot

 

 

龍吟にいたシェフだけに、炭火焼きがとても上手。筍とキンキの炭火焼きにそら豆を添えて。上質な備長炭で焼き上げた炭の香りは、また一味違うものです。

 

Nechi-Otokoyama Nechi Junmai Ginjo 2015

新潟の酒蔵が、自家栽培米で作った根知男山純米吟醸。まるみのある味わいが、炭火焼きに穏やかに寄り添います。

 

 

ここで店内の鉄板焼きカウンターに移動します。

こちらも、日本人の鉄板焼きのマスターシェフ、山口博史さんが腕をふるいます。

 

Spring vegetales and mushroom soup

 

 

桜の枝を使った、里山を思わせるプレゼンテーション。春野菜をマッシュルームの出汁で煮たスープは、セロファンに入って。開くとふんわりとマッシュルームの大地の香りが広がります。

 

Hokkaido Langoustine cooked on teppan

 

 

北海道産のラングスティーヌとグリーンアスパラガスを鉄板焼きで。

 

 

活けで入ってくるそうです。繊細で柔らかな身を崩さないように、殻ごと焼き上げます。

 

 

Pouilly-Fuisse Jules Desjourneys

 

 

少し羊毛のような香りと、スモーキーなニュアンスも感じる、プイィ・フュイッセの白ワインと合わせて。

 

Teppanyaki A5 Yaeyama beef steak

 

 

日本の希少な八重山産の和牛が楽しめます。

 

 

 

 

好きな部位を選べるとのことで、私はフィレをいただきました。

 

 

 

部分的に脂身のあまり多くないところですが、脂があっさりとしていて、特定の穀物や草の香りを感じない、上品な味わい。

 

 

梅かつおのペースト、ガーリックソースなども出していただきましたが、個人的にはそのまま塩とわさびでいただくのが一番気に入りました。

 

同じく鉄板で焼き上げた、ピーマンと椎茸、甘いサツマイモ、62度で18分低温調理にかけ、皮をむいてドレッシングをかけたというトマト。

 

Delamotte Blanc de Blancs 2007

ブランドブランでありながら、時間を経て豊かな味わいとなったDelamotteのシャンパンと共に。

 

Milk ‘purin’ with Okinawa black sugar

 

沖縄黒糖のミルクプリン。シンガポールのパームシュガーも美味しけれど、やはり日本のしっかりミネラルを感じる黒糖の味が、私には馴染みがあります。優しいミルク味と溶け合って、穏やかでコクのある味わいに仕上がっていました。

 

極上の食材を使い、なんと食材原価は考えていない、というリッチさも、カジノで潤うマカオならでは。香港の友人たちが、「美味しい料理が格安で食べられるから」という理由でマカオに来る、というのも納得です。



 

知識豊富で英語も日本語も堪能なMin シェフのトークも楽しいですし、本格的な日本料理の良さを多国籍の友人たちと楽しめるお店です。

 

(たまたま食事にいらしていたWaku Ghinの和久田シェフ、井上ヘッドシェフと)

 

Wynn MacauのMizumiはミシュランで二つ星獲得、こちらはオープンまもないこともあってまだ無星ですが、近いうちに星獲得確実なのでは、と思っています。

 

 

<DATA>
Mizumi Wynn Palace(ミズミ・ウィン・パレス)
営業時間:ランチ 11:30~15:00(セットメニュー、土曜・日曜のみ)、ディナー 17:30~23:00、(水曜休)
住所:Wynn Palace, Av. da Nave Desportiva, Macau
電話: +853 8889 3663
https://www.wynnpalace.com/en/restaurants-n-bars/fine-dining/mizumi