Shangri-la ホテルの日本料理店、波心(なみ)。元々はテナントとしてなだ万が入っていましたが、自分たちの日本料理のブランドを作りたいと、新しく生み出した店です。シンガポールは、Shangri-laの最初のホテルが生まれた場所、そして世界のホテルで、中国料理は香宮と名前が統一されていますが、日本料理でそれと同じようなことができれば、と生み出された場所です。

 

 

去年6月に、料理長として招かれたのが、なだ万などを経て、料理の鉄人、中村孝明氏の右腕としても活躍した秋葉重雄料理長。

 

 

そんな秋葉料理長となだ万時代に一緒に働いていた、目黒の寿司つきうだの、月生田光彦さんを招いて行ったのが、2日間限りの4 Handsディナー。

波心のマネージャー、安藤さんも実はこの時以来の付き合いで、全員で揃うのは16年ぶりとか。

 

 

 

 

Tokyo Sushi Set(150ドル)をいただきました。

 

先付け

 

 

こちらは2人のコラボレーションの盛り合わせ。

シャコとタコが月生田さん。

柔らかく、甘い出汁醤油がジュワッと染み出すシャコは、ちょうど甘い卵焼きやでんぶのような味のバランス。

 

タコは柔らかく、周りのゼラチン質、そして心地よい歯ごたえも残っています。

 

 

一方の秋葉さんは、わさび菜のお浸しに、辛さを和らげるために、上に乾燥したヤリイカを裂いてから揚げたカリカリとしたアクセントをつけて。

 

 

つぶ貝は、雑味のない肝の味わいまで楽しめるもの。

 

 

茶碗蒸し

 

 

船上冷凍のズワイガニの茶碗蒸しは、白玉が具。上にはズワイガニ、そしてカニの殻を焼いてから出汁を注いで作った、生姜の効いたカニの出汁のあん。「具をシンプルにしているだけに、しっかりとあんに味をつけています」と秋葉さん。

 

天ぷら(かき揚げ)

 

 

桜エビのかき揚げは、カリカリに仕上げてあります。「シンガポールの人は揚げ物が好きなので、やや大きめにしました」と秋葉さん。

 

 

焼き魚

 

 

銀鱈の西京漬、マスカットのような甘い香りのある西京味噌と、しっかりと脂ののった鱈。

 

ここからは、月生田さんのお寿司。なだ万、ミシュラン一つ星の真魚、銀座鮨いわを経て、2016年9月に、自身の鮨店、寿司つきうだを東京・目黒にオープンしました。

 

 

お米は、波心で寿司用で入れている、山形のつや姫、普段目黒のお店では、福井県三原町のコシヒカリを使っているそうです。

 

ぶり。

 

 

脂のあっさりしたスッキリした鰤でした。

酢飯の米は水分が少なめ、粒をしっかりとしていて、やや握り方は固め。酢飯は100%赤酢だそうですが、酢も塩も穏やか、砂糖も使っていないそう。

 

 

鯛も上品な仕上がり。

 

 

「今、赤酢を使って酸をしっかり立てるのが日本ではやっているけれど、自分は砂糖や酢で味を付けすぎず、ご飯の甘みを際立たせる」、という考えなのだとか。

 

脂というよりも、引き算の酢飯を含め、繊細な魚の味わいを楽しむ感じのスタートです。

 

シマアジ。

 

 

脂が乗ったシマアジは少し遊び心を入れて。紫蘇を敷き、上には青ネギをすり鉢ですったものを乗せて。旨味がしっかりとしているものには、こうして遊び心を生かして作っている気がしました。

 

カワハギは、肝をジュレのようにし、半冷凍したものを乗せて。

 

 

ちょうど溶けかけたジュレのひんやりとした温度が心地よく、寿司この温度帯のものを食べることが少ないので新鮮でした。

 

 

ヒラメは、少しコリコリした食感を残して。

 

 

もっとも自信があるという車海老は、今よく見かける、尻尾を垂れ下がるように置くスタイル。

 

 

茹でるのも、2本づつにして、ちょうどいい温度を保つようにと考えられています。

 

頭の味噌の部分が一番最初に口に当たるようになっています。柔らかさ、甘さ、ほんのりとした温かさ。それが全て合まった一品。

 

醤油で65度で10分低温調理したという帆立は、ゆずを香らせ、穴子のツメを塗っています。ハマグリの時期には、ハマグリに変わるそうです。

 

 

 

大間のマグロの赤身の漬けは、みりんと醤油でシンプルに漬け込んで。

 

 

きめ細かく脂ののった中トロは、イカやイワシなどの印象を感じる味。

 

 

ねっとりとしたスミイカは、以下の自然な塩味と、キャビアの塩味のみで楽しむスタイル。

 

 

手渡しでいただいた、のりとすき身、ウニの手巻き。

 

 

 

鉄板の組み合わせです。

 

 

大間のマグロの大トロの巻物、そしてなめこの味噌汁でしめ。

 

 

デザートは、あまおうと甘いマスクメロン、そして胡麻餅。

 

 

和食のコラボはあまり耳にしないシンガポールで、とっても新鮮だったこの4Hands、成功の理由は、お互いに元々よく知っている元同僚ならでは。最後の写真撮影でも、こんな息のあった?ポージング。

 

 

波心では、定期的にイベントを行っていくのだとか。これからもますます楽しみです!

 

 

<DATA>
■ 波心(なみ)
営業時間:ランチ 12:00~14:30(レストラン・テラス席とも)、ディナー 18:00~22:30(レストラン)〜24:00(テラス席)、無休
住所: 22 Orange Grove Rd, Singapore 258350 (24階)
電話: +65 6213 4398
アクセス:MRTオーチャード駅から徒歩15分ほど