以前から、出身地であるドイツの冬を体感できる料理を作りたい、と言っていたResort World Sentosaのレストラン、CurateのBenjamin Halatシェフから、冬のメニューが完成したということで、お招きを受けて行って来ました!

 

 

まず案内されたのは、ワインセラーを改装して作った、ひんやりとした「冬を体感する」スペース。スツールに白いふわふわの敷物を敷いて、まるで山小屋を思わせるようなしつらい。

 

 

外は常夏のシンガポールだけれども、中は室温14度、あっという間に汗が引いて、出されたオレンジやクローブ、シナモンが香る、ちょっと甘めのスパイス入りのホットワイン、グリューワインで味覚からも冬を体感します。

 

 

コースは、4皿98ドル〜8皿188ドル。

 

ここでいただくのが、宝箱のような中から出て来る、一口サイズのアミューズ。

 

 

Swiss fondue praline

ジャガイモの上にチーズのエスプーマ下にはチャイブのエマルジョン。

 

上の段は、チャイブで色付けしたボーンマローのクランブル、玉ねぎのスープの下にはみじん切りにした生の牛のタルタル。

 

Austrian potato salad

 

オーストリア風のポテトサラダ。

角切りにしたジャガイモにスライスラディッシュ、きゅうりのピクルスときゅうりと青リンゴのジュースのエスプーマ。

 

 

Onion and beetroot leaves on a tree

そして、寒天をベースした、枯葉を模したビートルートと玉ねぎのパリパリとしたスナック。

 

 

Krabben broetchen

 

 

パンの間に甲殻類を挟んだ北ドイツのローカルフードKrabben broetchenを、タルトで表現。小さなタルト生地の上に、卵黄たっぷりのエビペースト入りマヨネーズ、生の桜エビが乗っています。

 

 

Wiesn hendl

 

 

オクトーバフェストの時に食べるローストチキンにインスパイアされた、鶏の皮のカリカリのチップと、小さなグラスに入った、すっきりとしたピルスナービール。

 

 

 “Kraut sei dank”

 

 

赤キャベツのソルベを、同じく赤キャベツのチュイルの中に入れて。寒い冬にしっかりとビタミンを摂って風邪を引かないようにと、子どもの頃、よく祖母が作ってくれた赤キャベツの煮物の思い出から。

 

 

どれも、ドイツの料理の味をエッセンスを表現した重すぎないアミューズです。

パンは、自家製のサワードゥとプレッツエル。バターと、ベーコン入りのバターを添えて。

 

 

 

Poached Foie Gras Terrine Gluhwein

 

 

フォワグラのムースはグリューワインのゼリーで包んで、くるみ入りのブリオッシュと共に。滑らかなクリームたっぷりのフォワグラに、シナモンやクローブなどの効いたグリューワインは相性抜群。濃厚なベリー感を後押しするブルーベリーのソース、表面を香ばしく焼いたミルクスキンを添えて。

 

 

Benjaminシェフが料理を始めた頃に、毎日大量に作っていたという思い出の味、ロシアンエッグをアレンジしたという、メレンゲの一皿。

 

 

上にはとびことベルーガキャビアが。メレンゲの中から、とろりと卵黄が溶け出してきます。

 

Pig’s Trotter

 

 

 

典型的なバイエルン人であるBenjaminシェフにとって、この料理は、料理を始めた16歳の時に、ビアガーデンのキッチンで働いていた時の思い出から。豚の足首の部分をローストしたポークナックルは重いので、それを軽くアレンジ。

 

 

自家製のザワークラウトは4ヶ月間発酵させ、煮込んでから汁を絞り、自家製のハムに48時間漬け込んだ汁を卵白で清澄してから、蜂蜜を加えてゼリーに仕立てています。野菜と肉の旨みが溶け込んだ、ポトフのようなゼリー。焦がしバターのような香りの黒ビールのエマルジョンとパセリのピュレを飾ってあります。豚足は塩漬けにし、黒ビールで煮込み、テリーヌのようにしてから、豚の皮を砕いたものをつけてボール状にしてから揚げてあります。外見も、小さなポークナックルのような見た目で、表面のカリッとした食感、中がトロッとしているのも、まさにそのもの、と言った感じ。

 

樽の香りの後味に、動物性の香りが残る白ワインとの相性も良かったです。

 

Lobster

Chestnut, Mandarin, Chicory

 

 

ロブスターは、黒糖入りのクールブイヨンにつけて、旨味を持ち上げてから、75度で8〜10分間かけて低温調理してあります。栗のポタージュ、フリーズドライにしたマンダリンオレンジ、表面を焦がしたチコリの根と共に。

 

エビの頭をバターでじっくり炒めて取ったオイルを添えて。

 

鴨やアヒルを焼いてブレッド・ダンプリングと一緒に食べるのは、ドイツの伝統的なクリスマス料理。バイエルン州出身のBenjaminシェフにとっても思い出深い味。

 

 

エイジングをかけたマレーシア産のバルバリー種の鴨は中国料理の手法で、油をかけて表面をカリッとさせてから、110度のオーブンで30分間焼き上げて。最後にローズマリーと松の葉のスモークを纏わせます。

 

 

伝統的には、このような鴨と、パンやジャガイモで作った団子と食べるそうですが、代わりにブリオッシュで作ったフレンチトーストのようなサイドディッシュを。

 

蒸し煮にした紫キャベツ、リンゴンベリーのピュレと共に。

 

 

保存庫には、鰹節の鴨版、鴨節を作っている最中。3ヶ月かけてスモークしていくそうです。

 

 

フォワグラのポワレの赤ワインソース、下にはキャラメリゼした玉ねぎ、上から黒トリュフを削りかけて。

 

 

 

スイスでは、マーシュの葉とチーズを溶かしたものを、パンと一緒に食べる風習があるのだとか。

 

 

そこで、薄く焼き上げたパンのチュイルの下に、マーシュの葉と別名「クリスマスチーズ」と呼ばれる、スイスの山間の地方で冬の時期だけのチーズ、Vacherin montのフォームを重ねて。

 

 

 

PEAR HELENE

チョコレートと洋梨のデザート

かの有名なエスコフィエが、当時の有名なオペレッタ、"La Belle Helene"にインスパイアされたというデザートがモチーフになっています。

 

 

本来は、シロップで煮た洋梨にチョコレートソースをかけ、バニラアイスクリームを添えたデザートですが、Benjaminシェフは、洋梨をライムと共にコンポートにし、洋梨のソルベ、ビスキュイとグアナラチョコレートのムースを重ねたもの、べっこう飴のようなキャンディのチュイルで表現。

 

 

 

‘Kaiserschmarn Rumtopf Almonds, Raisins

 

 

ドイツ・バイエルン州のデザートで、パンケーキのような生地を細かく裂いて、フルーツなどのコンポートとともに提供するもの。パンケーキの代わりに、パンケーキの味わいを構成する5つの要素、焦がしバター、シナモン、アーモンド、焦がした砂糖、ラム酒のアイスクリームを作って混ぜたものにレーズンとアーモンドを乗せ、そしてコンポートの代わりに、Rumtopf(ラムポット)と呼ばれるドイツでは伝統的に、クリスマスの時に食べるラム酒漬けのフルーツを添えて。

 

 

ラムポットは、Benjaminシェフの祖母の家にいつもあったもの。そんな思い出の味を表現しました。

 

Petit Fours

スキーに行った時に食べた焼き林檎の思い出を形にしたりんごの形のプティフール、中には焼き林檎のプラリネが入っています。伝統的には、りんごの芯をくり抜いて、アーモンドペーストとレーズン、アマレットを入れて焼き上げる焼き林檎、その再構築です。

 

 

ビースティングケーキ

ドイツの伝統的な蜂蜜を使ったケーキ、bee sting cakeをベースにしたものは、ふわふわでつめたいアーモンドクリームをキャンディチュイルで巻いてあります。

 

 

サクサクの三日月型のクリスマスクッキーは、おばあちゃんのレシピから。

チョコレートのロシェ

日本でも有名なヘーゼルナッツを詰め込んだチョコレート、Ferrero Rocherをイメージしたスナックで、カリカリのチョコレートクッキーの中にヘーゼルナッツたっぷりのチョコレートクリームが入っています。

 

この特別なコースは3月中旬まで提供される予定です。

 

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■Art at Curate(アート・アット・キュレート)

営業時間:ランチ 12:00~、ディナー 18:30~、無休

住所:The Forum, Level1, Resort World Sentosa, 8 Sentosa Gateway, Sentosa Island Singapore 098269

電話:+65 6577 7288

アクセス:Sentosa Express Imbiah駅徒歩5分