今年5年目を迎えた人気のタパスバー、Esquina。

 

 

3代目ヘッドシェフは、バルセロナ出身、Carlos Montobbio シェフ。スペインのミシュラン三ツ星で、World’s 50 Best Restaurants で2015年に世界一になったCeller de Can Rocaや、ミシュラン二ツ星のZuberoa のHilario Arbelaitzシェフの元で働いてきたキャリアの持ち主です。 

 

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以前5周年のコラボレーションイベントでもCarlos シェフの料理をいただきましたが、スペイン出身のシェフらしく、よりタパスバーとしての、本質的なスペインのオリジナリティーを追求している印象があります。

 

 

Tsarskaya oyster, jalapeño ponzu, salmon roe, pickled ginger flower

 

 

フランスのブルターニュ地方産の牡蠣は、ハラペーニョに漬け込んだポン酢をかけて。シャルドネの酢と砂糖に4日間以上漬け込んだミョウガとチャイブを細かく刻んでかけてあります。牡蠣にポン酢という王道の味わいを洋風にアレンジ。さっぱりといただける一皿です。

 

 

 
Smoked Mackerel, Corn Tuile & Escalivada 


 

 

エスカリバダとは、カタルーニャ地方の野菜のグリルで、伝統的にはパプリカとナスを使っているもの。焦がしたナスのピュレを赤味噌とともにソースで添えて、自家製のオークのチップでスモークした太平洋産のアジを添えて、メキシコのMasecaという種類のコーンで作ったトルティーヤの上に乗せています。ケイパーとピクルスにしたオニオンを乗せて、甘酸っぱい味わいに。具材はちょうど3口で食べられるように、バランスよく乗せられています。

               

 


Grilled Sucrine Lettuce, Herb Yoghurt, Macadamia Nut & Cider Vinegar Glaze

 

 

スペイン産の、ロメインレタスの仲間は、甘さを際立たせるために表面を焦がす程度にグリルして、ローズマリーオイルをかけてあります。イタリアンパセリやタラゴン、バジル、チャービル、チャイブやニンニクを混ぜたハーブヨーグルトのソースをかけ、スペインの林檎の発泡酒、サイダーの名産地、Asturias産のサイダービネグレットのソースをかけています。マカデミアナッツはひまわり油であげて、海塩で味付けをしたマカデミアナッツ、ライムの皮を少しふりかけてフレッシュに。このサイダーのヴィネグレットが、ちょっと蜂蜜のような濃厚さのある甘酸っぱさで、レタスの甘みのボリュームを押し上げていました。ヨーグルトとマカデミアナッツのコクも相まって、ベジタリアンメニューではありますが、満足感の高い一品に仕上がっています。  

 

Potato and Truffle Gratin, Burnt Onion Sauce, Organic Egg Yolk & Iberico Ham

 

 

そして、とても印象的だったのがこのポテトグラタン。スペインのタパスバーで食べられている定番料理、フレンチフライと目玉焼き、揚げたイベリコハムの料理、"Huevos Estrellados"を昇華させた一品。水分が少なくでんぷん質が多いため、揚げるのに適したフランス産のAgriaというジャガイモ。薄くスライスして、バターやトリュフペースト、モンチェゴ・チーズなどを挟んで30層以上に重ね、フライパンで焼き上げています。スペイン産の玉ねぎをジョスパーオーブンで焼き上げた、焦がし玉ねぎのソースは、やや甘めの仕上がり。そこにオーガニック卵の卵黄を生のまま加え、イベリコハムを添え、黒トリュフ(今の時期はオータムトリュフ)を削りかけています。

卵黄のコクと黒トリュフの香り、イベリコの旨味に、細かくレイヤーを作って焼き上げられた香ばしいジャガイモの味が楽しめます。

 

 

Patagonian Toothfish Ceviche, Rhubarb Jus, Sweet Potato Chips & Corn Salt

 

 

チリ産のシーバス(スズキの仲間)のマリネ。 アンデスの黄色い唐辛子、アヒ・アマリージョ(aji Amarillo)にレモン汁やコリアンダー、ブラウンシュガーなどを加え、ルバーブ・ジュースやみりんなどでアレンジを加えたマリネ液に注文が入ってから漬け込んで。

ほんのりと甘いサツマイモのチップスにトウモロコシの粉を混ぜた塩で味付けをし、酸味のバランスを取るためにアボカドのピュレを加えています。

  

 

   
Dingley Dell Pork Jowl, Chipotle Mayo & Pickled Pear

 

 

イギリスで数十年前に交配で生み出されたDingley Dellという種類の豚肉。ラージホワイト種50%、ランドレース種25%、レッドデュロック25%の交配種だとか。

その豚の顎肉は蜂蜜やローズマリー、ニンニクと月桂樹の葉で24時間マリネしてから、オリーブオイルと共に72度で18時間低温調理してから、スライスしてフライパンで焼き上げています。メキシコのスモークしてある唐辛子、チポトーレマヨネーズ、口の中をさっぱりとさせる梨のピクルス、日本の七味唐辛子が添えられています。

 

Spanish Octopus, Grilled Corn Sauce, Chimichurri & Chorizo Oil

 

 

スペインといえば、タコも名産。ガリシア地方で獲れたタコを85度で2時間低温調理し、オーダーが入ってからグリルして焼き上げています。

アルゼンチンで、牛肉の炭火焼、アサードのソースとして食べられているチミチュリソース。新鮮なオレガノとブラウンシュガー、ネギ、スモークしたパプリカやシャロットで作り、シャルドネビネガーを加えています。もう1つはグリルしたコーンのソース。コーンをソテーにしてからジョスパーオーブンでスモークの香りをつけ、コーンのジュースともにブレンドしてあります。ペルー産の大粒のコーン、Canchitaを揚げたものをふりかけて、サクサクした食感を加えています。

 


 
Sea Urchin and Lobster Paella, Saffron Aioli & Snow Peas

 

 

ロブスターの出汁とシャロット、ニンニク、赤ピーマンの一種、ピキーリョ(piquillo)などを使ったパエリアベースを加えて調理したスペインのヴァレンシア地方の米「Bomba」を使っています。アミロースが多く、パラっとした食感になるため、パエリアに向いているのだとか。ガスで10分加熱してから、ジョスパーオーブンに10分間入れて仕上げています。通常は非常に高温になるジョスパーオーブン、焦げてしまわないか心配になったのですが、炭の量を減らして片側に置き、約250度に設定、たっぷりの出汁を加えているそうです。

   サイドには、サフランのアイオリと、ガーリックオイルで調理した絹さや、アボカドのマヨネーズを添えて、さらに上から北海道産のウニを散らしてあります。

ウニの滑らかな食感がアイオリソースやアボカドマヨネーズの濃厚さと、同質でありながらも異なったニュアンスを加えることで、奥行きを与えています。

 

Spanish Suckling Pig, Rhubarb and Apple Chutney & Mulled Wine Jus 

 

この中で一番気に入ったのは子豚の丸焼き。スペイン産の子豚を10%の塩水に2時間漬け込み、一度洗ってから、低温調理器でローズマリーやオリーブオイルと共に63度で24時間加熱し、骨を抜いて、皮を拭いてから、表面をオリーブオイルを敷いたフライパンにぎゅっと押し付けて焼き上げています。とてもカリカリの皮の秘訣は、低温調理した後、しっかりと表面の水分を拭くこと、そして、子豚のサイズ。小さすぎると皮が薄すぎ、大きすぎると厚すぎて固くなってしますのだとか。

 

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(どんな風に作っているのか、教えていただきました!)

適切な皮の厚みになるのは、4〜4.4kgの大きさの子豚だそうで、このサイズにこだわって入れているそうです。上からは香りの良い薔薇胡椒をかけています。

  

チャツネはルバーブ、りんご、ざくろのジュース、シードルのビネガーと砂糖でできています。

最後に、赤ワインとシナモン、スターアニス、バニラにブラウンシュガーを混ぜて作ったホットワイン(グリューワイン)をイメージしたソースをかけて。

豚肉と甘い香りのシナモンや、フルーツは相性の良いもの。そんな秋の恵みをぎゅっと詰め込んだ味で、とても満足感が高かったです。

 

Chocolate, Extra Virgin Olive Oil, Bread & Sea Salt

 

 

バルセロナで子供達のおやつとして親しまれている、バゲットを半分に割って、エキストラバージンオリーブオイルと塩で味付けをしてからチョコレートバーを挟むという軽食から着想を得たという品。デザートの前に、ゲスト全員に無料で提供するプレデザートです。

バゲットはスライスして、オーブンでトーストし、エキストラバージンオリーブオイルと塩をかけた後、チョコレートとオリーブオイルのガナッシュ、エキストラバージンオリーブオイルで作った球体、イギリスの海塩、Maldon(マルドン)の塩で仕上げてあります。チョコレートはヴァローナのグアナラでした。

 

デザートは、

 

BBC: Textures of Banana, Beer Ice Cream & Caramel Sauce

 

 

チョコレートやコーヒーを思わせるスタウトビールのアイスクリーム、そのどちらとも相性の良いバナナケーキとバナナのフォーム。バナナを少し大人のデザートに仕上げてあります。

        

ペルーやアルゼンチンなど、スペインにルーツを持つ料理をうまくアジアや西洋のアレンジを加えて提供しているのが印象的。

大航海時代の旗手だったスペインは、世界各地にその料理の影響が残り、現地の料理と相まって新しい料理として確立されてきました。そんなスペインの影響を受けた地域の料理、今年はシンガポールでもペルー、メキシコ、アルゼンチン、フィリピンのシェフたち料理をいただきましたが、そういった味をうまく取り入れつつ、シンガポールという土地柄も生かして、スペインの風土が生み出した上質な食材と合わせるだけでなく、日本のみりんや味噌のようなアジアの食材も取り入れながら、新しいスペイン料理を生み出している印象です。

 

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そして、もう1つ特筆すべきは、ワインのペアリング。とても情熱を持った若い女性ソムリエ兼マネージャーのMyra Buccatさんが選んでくれるワイン、ぜひ好みの味について相談してみてくださいね!

 

 

 

 

また、Esquinaでは、11月8日・9日の2日間、スペイン・マジョルカ島のミシュラン二ツ星レストラン、ZarandaのFernando Arellanoシェフが訪れて特別なメニューを提供する予定。Fernandoシェフは、ラム肉の曼荼羅仕立てアラビア風スパイス添えなど、シグネチャーメニューを披露するのだそう。詳しくは公式フェイスブックページをご覧ください!

 

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■Esquina
営業時間:ランチ 12:00~14:30 (平日のみ)、ディナー 18:00~22:30 (日曜休)
住所:16 Jiak Chuan Rd, Singapore 089267
TEL:+65 6222 1616
URL: http://esquina.com.sg/
アクセス:MRTアウトラムパーク駅から徒歩9分程