4月5日に発表になった、世界のベストレストラン。その表彰式の取材のため、オーストラリア・メルボルンに行ってきました。

もともとイギリス・ロンドンで開催されていたイベントですが、去年から世界を舞台に開催されるように。去年はニューヨーク、そして今年はメルボルン。

 

シンガポールとは地理的に近いことから、シンガポールにはオーストラリア料理の店や、オーストラリア出身のシェフが多いのですが、ヨーロッパの料理をベースに、中東やアジアの要素をミックスした料理、そして広大な自然に育まれた独自の食材も注目を集めています。

 

今回は、そんなレストランの一つ、Idesに、World's 50 Best のシンガポールの審査委員長のEvelyn Chenさん、Asia's 50 Best で初登場ながら37位に輝いた、Chef Tonnこと、Thitid Tassanakajohnさん、そのビジネスパートナーのTaoさんと一緒にお邪魔してきました。

シェフは、元Atticaのスーシェフを経て独立した、ニュージーランド人のPeter Gunnさん。地元で穫れる珍しい食材、フィンガーライムや野生のタイムの花の蜜などを使い、独創性あふれる料理を作っています。

 

 

フィンガーライム。熟したもの(左)はオレンジのような香り、未熟なグリーンの方は、フレッシュライムの香り。どちらも、独特の苦味が特徴です。

 

 

最初に出てきたのは、Cos Lettuce。氷の上で提供されるのは、シュガーコーティングされたロメインレタス。みずみずしさと鰹出汁を効かせた酢の酸味、そしてほのかなピンクペッパーの辛味。

 

 

続いては、ゴマがたっぷり乗った、自家製のサワードゥ。同じく自家製のピーナッツバターと一緒にいただきます。ナッツがたっぷり使われているのが、大地の味が感じられるオーストラリアらしい。塩をしっかり効かせたホイップピーナッツバターと。先ほど出てきた甘めのレタスと合わせると、甘辛具合がちょうど良かったです。

 

 

Cucumber オリーブやミント、ローズマリーと一緒にマリネしたキュウリの下には、サワークリームとポピーシードをあしらって。その上にはフェネグリークとフィンガーライム。フィンガーライムの自然なえぐみを、キュウリのみずみずしさとサワークリームのコクで中和するバランス。日本にも山菜があったりするけれど、オーストラリアの大自然をそのまま感じるような、野性味あふれる一皿。中にはアンチョビが入っていて、塩気と旨味をプラスしています。

 

Moreton Bay Bug Meat

Moreton Bay Bug Meatとは、海老の一種。それを、生姜のオイルの中で加熱し、 セロリのスライスとネギをのせ、まろやかな甘みのかぼちゃのクリアスープで仕上げるというもの。

 

 

今度は、くるみのローフに、自家製バターに野生のタイムの蜂蜜をかけたもの。

 

 

バターにはミツロウも入っているのか、少しコクのある香りがあって、甘さと塩のバランスがよく、とても気に入りました。

 

続いては、Barramundi。

スズキの仲間のバラマンディにスイートコーンで作ったピュレに黒にんにくのコクを加えたものを上に乗せて、仕上げに赤ワインと子羊のソースを塗って焼き上げたもの。

 

 

Pepper Steakは、様々な味で楽しめる工夫が。

右から、ナスのピュレ、ゼリーで寄せた人参、ダッカと呼ばれる中東風のスパイスミックスには、松の実、クミン、蕎麦の実が入っています。そして、左端にはホースラディッシュでアクセントをつけたブロッコリーのスープ。

肉をソースではなく、クリアなスープと一緒に、ナッツなどでコクや香ばしさを加えて食べる、というのがとても新鮮でした。

 

 

Lamb wrapped in parsley

子羊の首の肉を、オーストラリアならではのワックスフラワーのオイル、ローズマリー、オリーブオイルに漬け込んでからコンフィして、別でローストしたパセリの葉に包んで、マスタードシードと、干し草のスモークの香りをつけたドレッシング、グリーンピースをかけて。

別々に調理したものを再構築して、一つの味に。柔らかく煮込まれた子羊と、ローストしてキャラメリゼされた甘さが引き出されたパセリ、マスタードシードのプチプチした食感と辛味、フレッシュな青い香りとコクを添えるグリーンピース。

緑の印象で全体的にまとめながら、しっかりと食べ応えのある濃厚な味わいで、とても気に入りました。

 

デザートは、Malt Custard。

タルト生地の上には、トマトの仲間、タマリロのジャム、モルトのカスタード。ワンタンの皮をローストしたような、ごく薄いパリパリの生地で隔てられた上に、リコリスとシャルトリューズのグラニテ。アクセントにマリーゴールドの葉。大草原の中でトマトをかじって食べたような、みずみずしさの印象と濃厚な印象のデザートで、とても気に入りました。

 

 

もう一つのデザートは、Berries。

ラズベリーのソルベを飴の器の中に入れ、ゴマをふりかけたものや、ホワイトチョコレートをラズベリーのパウダーで包んだものなど、甘みと酸味を堪能するコンビネーションに、やはりナッツが登場するのが、オーストラリアっぽかったです。

 

ちょうど一周年を迎えるというIdes、洗練されたオーストラリア料理を楽しみたいという時にピッタリです!

 

■Ides
https://www.idesmelbourne.com.au/