くつろいだ雰囲気の中で、洗練された地中海料理が楽しめる店、Maggie Joan's。
世界各地からシェフを招いてその料理を披露する、Kitchen Takeover の第二弾が行われました。
 
今回やって来たのは、トルコ・イスタンブールの有名レストラン、Neolokalのオーナーシェフ、Maksut Askar。トルコで失われつつある伝統食材にスポットを当て、伝統的な調理法を大切にしながらも、新しいスタイルの料理に生まれ変わらせることに定評があり、今注目のシェフ。
 
バンコクで行われた、アジアのベストレストランを選ぶ Asia 50 Best Restaurantでお会いしたのがきっかけで、お招きをいただいてお邪魔して来ました!
 
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すごく真面目な方かと思ったら、こんなひょうきんな一面も。
 

 

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Maggie Joan'sのOliver Hydeヘッドシェフとの呼吸もバッチリです。

 

 

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Ayranasi
世界3大料理のトルコ料理。13年前にトルコに行って、色々な料理を食べ歩いた記憶があるのですが、当時はこんなお料理はありませんでした。「トルコ料理」のイメージになかった、美しいプレゼンテーションに嬉しい驚きを感じます。
 
スタートにふさわしい、すっきりとした冷たいスープ。Maksutシェフがトルコから持って来た、山羊のヨーグルトをベースに緑のひよこ豆や小麦、ハーブなどを加えて作っています。

 

山羊のチーズならではの濃厚なコクがありますが、スープ仕立てなのであっさりといただけます。香ばしい小麦、カリカリとした緑のひよこ豆は、グリーンピースとはまた違った穏やかな緑の香りがあります。

 

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Kisir & Tartare
 
トルコ南東部の郷土料理に、肉のタルタルをボール状にして食べるCig kofte(チーキョフテ)という料理あり、それを現代風にアレンジした一皿。Bulgur(ブルガー)と呼ばれるひき割り小麦と、生の牛肉を混ぜたミートボールですが、Maksutシェフは、山羊のヨーグルトにマスタードを混ぜたソースに合わせてアレンジ。大根のスライス、山羊のヨーグルトの酸味、そしてマスタードが清涼感を与えています。カリフラワーが、どこか大地の力を感じる香りです。
 

 

 

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続いては、シーフードの一皿。
トルコの街角で売られているムール貝のフリット、Midye Tava。
軽やかに揚げたフリットは、さっくりとした衣の中に、旨味たっぷりのムール貝が隠れています。ピクルスにした玉ねぎと、くるみの入ったtarator(タラトール、ヨーグルトとハーブのソース)を添えて、味も見た目もワンランク上の仕上がりに。

 

 

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Melon & Kargi
真空調理したメロンに、トルコ東部の都市、Erzurum(エルズルム)県などで作られている羊と山羊のチーズ、Tulum(トゥルム)チーズ、アーモンドとくるみを使ったサラダ。トルコのキリムを思わせるような並べ方にも、Maksutシェフの、郷土の文化を知って欲しいと言う思いが感じられる気がします。
質感が凝縮したすっきりとした甘味のメロンと、カリカリにローストしておらず、甘味を感じるアーモンドとくるみの繊細な甘味のコンビネーションが個人的にはとても好きでした。

 

 

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続いては、トルコ風ミートボールと言うべき伝統料理、コフテをアレンジした料理。
Rahibe kofte。Rahibeとは、修道女、と言う意味だそうで、もともとトルコ南東部の郷土料理なのだそう。ひき割り小麦、Bulgurと、肉を練り合わせ、茹で上げてほうれん草と一緒に提供するものが伝統的な形。
茹でた後に表面を香ばしく揚げて、カリッと仕上げ、ひき割り小麦を混ぜ込んだもちもちした食感が心地よいコフテに、バターのような乳製品の香りのある穏やかな味わいのヨーグルトのクリーム、ミントのヨーグルトクリーム、そこにしっかりと苦味のあるほうれん草が全体を引き締めています。

 

 

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そして、Ahtapot Gambilyaは、タコと豆の料理。

Gambilyaとは、東トルコ原産の黄色い豆で、レンズ豆のような味わいがあります。

柔らかく煮てから表面をこんがりと焼き上げたタコ、パプリカ、ディルなどを使った野菜のサラダ仕立てにしてすっきりと。

 

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Uveyik Wheat
 
無肥料、無農薬などの自然農法の提唱者、福岡正信さんの農法に従って古代小麦を作っている、Huseyin Amca さんが育てた古代品種の小麦。玉ねぎ、ネギと合わせて7時間調理しても、外側はしっかり、内側はもちもちとした、リゾットのような仕上がりになっています。どこか野生的で濃厚な旨味のある牛肉のパストラミ、キャラメリゼした甘さのあるパリパリの乾燥したリークと合わせ、ビーツのソースを霧状に吹きかけています。
 

 

 

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Grilled Cod

本来は、ブラックバスを使うメニューだそうですが、シンガポールでは鱈で提供しています。身が細かいフレーク状にほぐれ、旨味の凝縮した鱈は表面をカリッと焼き上げ、その下には黄色のレンズ豆、上にはターメリックのフォームソースとフェンネルのオイル、ズッキーニとじゃがいもが添えられています。

魚、豆、野菜のコクを寄り添わせたような、穏やかな味わいの一皿でした。

 

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そして、私が一番気に入った肉料理は、伝統的な牛肉の煮込みをサクサクした生地で挟んだKatmer & Tirit
Katmer(カトメル)とは、トルコで伝統的に食べられている甘い軽食で、ピスタチオを練りこんだ硬めのパイ生地のようなもの。本来は砂糖などをかけて食べますが、こちらはそれに、牛肉を鴨のジュースで煮込んだものを添えて、Tiritと呼ばれる、パンと肉の煮込みを合わせた料理風に仕上げています。
ほのかにクミンの香りを効かせたやや甘い旨味たっぷりの煮込みに、ビーツなどでカラフルに彩ったヨーグルトソース、tarhanaソースを添えて。

 

 

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デザートは、どれも中東の味わいを昇華させて作られたもの。
 
Crispy Pumpkinは、中東のゴマペースト、tahini、ゴマと砂糖を一緒に煮詰めて作ったクロカント、そして甘さ控えめのかぼちゃのキューブ。かぼちゃのキューブが、内側はしっとり、外側はカリカリに仕上がっていて、とても好きな食感でした。Maksutシェフの故郷で作られている郷土菓子なのだそうです。
 

 

 

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そして、中東に行った時に大好きだったbaklava(バクラヴァ)!が、洗練された形で食べられたのは嬉しかったです。本来はフィロ生地にピスタチオなどを巻いて、甘〜いシロップをかけていただくものですが、こちらはその代わりに、甘さ控えめのピスタチオクリームを巻き込み、糖蜜とtahiniのアイスクリームの上に飾っています。更に、独特のコクが懐かしい、中東のヌガーのようなhalvaをクランブル状に仕立てたものが。halvaの材料の糖蜜は、トルコ西部で3世代に渡ってブドウから糖蜜を作っている生産者から届いたものだとか。
 

 

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そして、トルコのわたあめ、と言いたくなるような家庭的なお菓子、Pishmaniye。日本のわたあめと違い、小麦粉のような甘い香りがあり、どこかミルキーな印象があります。そして、その下には、ローズウォーターを使った、とっても柔らかいターキッシュデライトが。

 

 

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今回は、トルコからなんと80キロもの食材を持ってきたというMaksutシェフ、この日はシンガポール在住のトルコ人グループのファンが詰めかけていました。
なかなか簡単に行くことができないトルコの本場の味が楽しめるイベント、今夜まで開催です、興味のある方はお早めに!
 
 
<DATA>
■Kitchen takeover by Chef Maksut Askar
2017年2月24日、25日(ディナーのみ)
■Maggie Joan's Dining & Bar 
営業時間:ランチ 12:00~14:30(平日)、
     ディナー 18:00〜23:00、日曜休
住所:110 Amoy Street, #01-01,Singapore 068579(入り口は Gemmill Laneに面していますので、ご注意ください)
電話: +65 6221 5564
アクセス:MRTテロック・アヤ駅から徒歩3分