世界に日本の最高品質の魚を紹介していきたい、そんな思いで作られた、日本の漁業組合の全国組織、全漁連によるアンテナショップ、わだつみ。シンガポールで美味しい魚が食べられる店として知られています。

元々働いていたシンガポールのテレビ局、Hello! Japanが少しだけ関わったこともあり、個人的にも思い入れがあってお邪魔したことがあるお店です。

 

 

料理長は、寿司店など和食で10年以上のキャリアを持つ原さん。お話しながらカウンターでみるみるうちに魚をさばいていきます。

扱っているのは日本の魚のみ。毎月別の都道府県にフォーカスしているそう。12月は山形フェアということで、この日は山形の名産の魚も登場しました。

ランチの丼などはS$26〜ありますが、お聞きすると、その時その時の旬の魚が楽しめる、お任せコースが一番のオススメとか。

 

この日はお任せの8品のランチコース(S$120)をいただきました。

内容は、前菜2品、サラダ、刺身、季節のおすすめ料理、メインディッシュ、お食事、味噌汁またはお吸い物にデザートという内容。

 

 

ちなみに、日本酒や焼酎などの品揃えも多く、アラカルトもあるので、軽く飲みたい時などにも使えます。セットディナーはS$50〜で、ビール、2種類の前菜、刺身、季節の料理、お茶漬けかうどん、巻き寿司の3種類からのチョイス、味噌汁という内容でした。

 

さて、お任せランチの前菜一皿目は、

 

愛媛産の鯛に、ハスイモを湯がいたもの、キュウリ、ミョウガとゴマを添えて、ゆずポン酢でさっぱりと。最初の一皿に、酸味のあるものが出てくるのは、暑いシンガポールでは嬉しい気配り。キュウリとハスイモの食感の対比も楽しめます。

 

丸茄子を素揚げして、ウニ味噌で和えたもの。ウニのコクと味噌の旨味が混じり合い、香ばしく揚がった甘みのあるナスに絡みます。日本酒が飲みたくなる味です。器も揚げた丸茄子でできていて、細かい心配りを感じます。

 

 

サラダの代わりに、この日は茶碗蒸し。ランチでお任せを食べた方が夜ディナーで来ても、違ったお任せコースを提供することができる、バラエティーの豊かさも自慢です。茶碗蒸しの上には、海の香りたっぷりのアオサが、中には高知産の立派なホタテの貝柱が入っています。

 

噛み締めると甘みがが溢れ出るホタテは、魅力たっぷりです。

 

お刺身は、三重のマグロ、青森のヒラメ、長崎のアジ。どこ産の魚なのか、もきちんと説明してくれます。

 

 

マグロのキメの細かいこと!ヒラメも程よい熟成感のある味わい、アジはしっかりと脂が乗っています。お店では3種類の醤油をベースに、様々なオリジナル醤油を作っているのだとか。お刺身に添えられている醤油は、昆布と鰹節を漬けて3〜4日置いて、みりんや日本酒と共に割ったものだそう。繊細な魚の味をそのまま楽しめる工夫がされています。

 

季節のおすすめ料理は、山形産のハタハタの煮付け。これから山形から秋田に北上するというハタハタは、今が旬。これまで、干物か塩焼きでしかいただいたことがありませんでしたが、醤油とみりん、酒で甘辛く煮付けられたハタハタは、ほろりと崩れる甘くて脂の乗った身、そして卵のプチプチした食感で、噛むと魚卵ならではのコクが広がります。「山形や秋田の人は、卵を楽しみにハタハタを食べている、なんて言われているくらいなんです」と原さん。

 

 

そして、メインディッシュは鹿児島の和牛。表面だけカリッと焼き上げてあり、中はロゼ色に焼きあがっています。日本の和牛ならではの甘みのある肉質は、噛み締めるほどに旨味が出てきて、肉質も滑らか。高知のナスやパプリカ、シメジやズッキーニなどのグリルと共にいただきます。

 

 

最後はお寿司。酢飯の酢は甘みと酸味がまろやかに溶け合う味わい、米の香りと粘りは比較的しっかりとあり、米の甘みを感じる酢飯でした。

 

 

愛媛の鯛は、上に揚げた米を入れた味噌を添えたトッピング。白身に味噌?と思いましたが、脂の乗りが良い鯛なので、味噌の味に負けていませんでした。静岡のニジマスは鮭よりもややさっぱりとした味わい。三重のマグロの中トロは、本当に絶品。長崎のシメサバは酸味がやや控えめな印象でした。そして、北海道産のウニも特筆すべき品質。苦味のかけらもなく、本当にクリーミー。同じく北海道産のホタテとのコンビネーションも見事でした。

 

 

高知産のポメロとメロン。ポメロの実がとてもジューシーで、果肉の一粒一粒が細かく、その粒を包む皮の部分もとってもしっとりしていて美味しいです。メロンは、甘みはありつつも、さっぱりと爽やかな感じのメロンでした。

 

「活け〆や神経〆など、日本の漁師さんがきちんと『手当て(下処理)』した魚は本当に美味しい」と原さん。これからも、冷凍品は使わず、日本の生の魚100%にこだわった料理を出し続けるということです。

 

全漁連直営というだけあって、全国から珍しい魚やごく限られた時期しか楽しめない魚が入ってくることもあり、旬の味が楽しめます。日本食が恋しくなった時に、是非行ってみてくださいね!

 

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■ Wadatsumi
営業時間:ランチ 12:00~15:00、ディナー 18:00~23:00、日曜・祝日休
住所:50 Tras Street Singapore 078989
電話:+65 6221 6264
アクセス:MRTタンジョン・パガー駅徒歩3分