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今夜から29日まで、シンガポールのシャングリラホテルで行われるスペシャルダイニングイベントに行って来ました!

Virgilioシェフは今夜シンガポールに着いたばかりと言う事ですが、シェフとして右腕でもある奥様が4日前からやって来て準備をしていたのだとか。

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海からアンデスの山地へ、そしてアマゾンというコース構成。

カクテルはペルーのウイスキーとイタリアのラム酒を混ぜたもの。樽の香り、木と大地の香りのような力強さを感じるカクテルでした。

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まずは、海から。ごく低温で火入れをしたロブスター。刺身のような滑らかでプリプリした身と、粒々のキヌア。キヌアはキヌアの葉のジュースに漬け込んで緑色をつけたのだとか。全て色彩は天然のものにこだわっているのだとか。パセリのエマルジョン、キンセンカの花。キンセンカのどこか青い香りがアクセントに。パッションフルーツのフルーティさとのバランスが見事。チャイブが入ったタイガーミルクの風味。ペアリングはノンビンテージのヴーヴ・クリコ。素直で程よい酸が、パッションフルーツのエキゾティックさを引き立てます。

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続いて、レーザークラムの一皿、ベゴニアを添えて。ベゴニアの中心の蜂蜜のような甘さ、周りのほろ苦さとシャキシャキ感。紫玉ねぎを細かく刻んで、一皿前とは違うネギの印象。海藻のクラッカーはにがりまで入った海水のような味のバランス。上の黄色いドットはタイガーミルクと同じ黄色い唐辛子のエマルジョン、前の一皿はそのままのセビーチェ、そしてこの一皿は再構築のセビーチェと言えそう。(後ろのドライフラワーはSalvationという花で食べられません。)
ペアリングはおとなしく上品な印象のシャルドネだったのですが、驚くことにこのクラムと一緒になるとぶわっとバニラの香りが広がり、素晴らしいペアリングでした。

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続いて、浜辺で焼いたような香ばしい香りをまとったホタテ。表面だけ軽くあぶってあります。上はサツマイモのチュイル、マリーゴールドとレッドアマランサス。下には海藻エキスにひたしてあぶったレタスが。サイドのソースは、ホタテの卵と紐の部分でとった出汁、黄色の唐辛子などのやはり、タイガーミルク系。その他にも、海辺の岩についている貝のエキスも使っているようです。
焦がした印象の強い一皿、先ほどよりも濃厚なバニラやトーストの香りと、厚みのある味わいのシャルドネとぴったり。サツマイモのチュイルのキャラメル感とも合います。レタスの苦味、えぐみが、ワインと一緒だと消えるのも驚き。


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川魚のマリネ、赤い色はサボテンの実と一緒にマリネして移したそう。
キヌアは、すごくキュッキュッという歯触りで新しい印象。
ここまで、どの皿にもキヌアとタイガーミルクが使われていますが、キヌアの味も全部違い、寧ろ地域ごとの味わいの違いを見せ、凡庸な印象にならないだけでなく、あえてその差に気づかせるようにさせる構成が素晴らしいです。ボリジも、美しいだけでなく、味わいにまろやかさを加えていました。また、自然な甘さの紫芋のモチモチしたピュレが、このボリジのまろやかな味を強調していました。
こちらはペルーのラガービールとの組み合わせ。泡の刺激とこのキヌアのプチプチ感をうまく合わせています。また、モルトとポップの香ばしさ、軽やかな穀物感で、生の魚とソースという加熱したものが感じられない組み合わせに、どこか火を加えたかのような香ばしさをプラスしています。


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アボカドとアボカドソース。
上には海藻のチップと、やはりキヌアの仲間。野菜の一皿で、次の肉料理への流れを作り、かつ、淡白な魚中心のメニューから、アボカドの油分でスムーズに肉の一皿につなぐ役目も果たしているようでした。ペルーから持って来たカボチャを脱水してあぶったものも。パリパリした食感の後味に、カボチャの青っぽい香りが残ります。

こちらには、ぶどうの豊かなフルーティーさがありつつ、スムースなタンニンの赤ワインを合わせて。油分と赤ワインのタンニン感がバランス良く、アボカドやカボチャの丸みと、フルーティな香り、優しい飲み口がよく合います。

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牛肉は和牛のテンダーロイン。
鉄分の香りのあるさきいかのような味の、心臓のパウダーを添えて。ブルーの粒は、クレイ(粘土)ということだったのですが、ミントとレモンが香るメレンゲ風。甘さは天然のサトウキビの絞り汁をつかっているのだとか。色彩も味わいも、サプライヤーを使わず天然のものから出すのがVirgilioシェフ流。もちもちしたポテトのピュレは、千年以上昔のインカ時代から伝わる手法でフリーズドライにしたもの。ジャガイモを丸のまま高い山の上で5日間干し、カバーをして、1日休ませてから、1日川の水にさらして皮を取り除き、また干したものだとか。

ポテトピュレ自体にはごくごくほのかにローズマリーやタイムのようなハーブの香りが忍ばせてあります。

そのものもわがままを言って食べさせて頂きましたが、粘土やナチュラルチーズのような独特の香り、味は紙を食べているような、不思議な味。

和牛はミディアムレアでお願いしました。
ポテトのピュレと心臓のパウダーで旨味たっぷり。

ワインはスパイシーで青ピーマンの香りがしっかりある、カベルネ・ソーヴィニヨン。クレイのメレンゲで全体的に甘く濃厚な味のバランスの一皿を、引き締める役割。


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チョコレートは、カカオの名産地でもあるペルーから持って来たのだそう。中にはジャンドゥーヤがあり、その中には実は秘密のハーブの粉が。。
メニューには書かれていないのですが、
昔ペルーに行った際に食べた味とリンクしてVirgilioシェフにお聞きしたら、ビンゴでした!
みずみずしく青っぽい香りのあるドラゴンフルーツ、土っぽい香りのある豆苗と、カカオの中に含まれている味を抽出しての組み合わせも印象的。
ちなみに、少し抹茶のような印象だった周りの粉は、ペルーから持って来た、munaというハーブの粉で、甘いのはステビアの仲間の粉だそうです。

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印象的だったのは、食材を探す専門のスタッフが7人いて、森や海で独自の食材を取りに行っているのだとか。まるで、一流の和食のような世界。

そして、Virgilioシェフのメンターの1人は、今年4月に亡くなった、小西紀郎さん。
「魚の〆方、さばき方だけでなく、試食に来てもらって味のバランスのアドバイスをもらったり、また料理に集中するだけでなく、来てくださった方にどう接するかまで教わった」のだとか。

Shangri-laホテルでは、29日のディナーまで、期間限定です!
また、11/2にはRestaurant Andre で Andre Chiang  シェフとのコラボディナーも予定しているそう。

なかなか味わえないVirgilioシェフによる、ラテンアメリカNo.1の味、ぜひ試してみて下さいね!