先日オールアバウトでも書かせていただきましたが、シンガポールで行われているグルメイベント、100Gourmetの8月版が昨夜スタートしました!
毎月ミシュラン星つきシェフがシンガポールにやってきて、シンガポールのシェフとコラボレーション、この為だけの限定のメニューを提供するというイベントです。

今回の会場は、オーチャードのヒルトン1階にあるグリル&バー、Opus。オープンキッチンの開放的な空間は、席と席の間の距離感も程よく、リラックスした雰囲気。

今回はOpusのRene Knudsenシェフと、オーストラリアのLuke Burgessシェフとのコラボレーション。来星シェフのLukeシェフは、地元タスマニアのすばらしい食材を紹介しようとオープンしたレストラン、「ガレージスト」が、オーストラリアのミシュランといわれている「グッド・フード・ガイド」で、2つのシェフハット(ミシュランの星の代わりにハットで格付け。最大は3ハット)を獲得するなど、注目のシェフです。


迎えるReneシェフはデンマーク出身。

お話をお聞きすると「味わいとテクスチャーの変化を重視している」のだそう。「チューインガムを食べているとき、ある一定の時間がたつと、味を感じなくなるでしょう?あれは、脳が飽きて、その味を認識することをやめてしまうからなんだ。そんなことが起きないように、一口ごとに驚きと新鮮な感覚がある料理を目指しているよ」とのこと。デンマークでは指導者もしていたReneシェフ、説得力があります。また、MSC(海洋管理協議会)認定の、持続可能な漁業で獲られた魚介類のみを使うなどのこだわりが。


それぞれのシェフのオリジナル料理が2皿ずつ、コラボレーション料理が2皿の全6皿の構成ですが、

一皿目は、そんな Reneシェフのポリシーを感じる一皿。MSC Certified Toothfish


使われているアイナメの仲間のToothfishは、MSC認定のもの。脂がのってふっくらとしていて、皮目はこんがり香ばしく焼き上げられています。特に、横に添えられたホタテは、中が生、周りがカリカリ。そして、一口大の長ネギも、甘く調理された部分と、ネギの辛味が残っている部分に分かれていて、まさに「一口ごとに驚き」が感じられました。

二皿目はLukeシェフによるもの。「地元の食材を最大限に使う」というのが、Lukeシェフのポリシー。シンガポールで料理をするに当たり、シンガポールの食材をいろいろと調べたとか。

「Broth of Jinhua Ham」は高級中華で使われる金華ハムの出汁に、甘辛く煮込んだ雲南省でとれるキノコ「Black Tier's Paw」と、ゼリーのような牛のアキレス腱、スライスした冬瓜をあわせ、ローカルフードのロジャックに使われるロジャックフラワーとキャビアをあしらっています。ロジャックフラワーの、どこか生姜を思わせるシャープなキレ味と、中華の組み合わせが斬新で面白い料理でした。

三皿目は、同じくLukeシェフ。「Shaved Lily Bulb & Salted Green Radish」

シンガポールのブラックペッパークラブにインスピレーションを得て作ったのだとか。ユリネと緑大根を細切りにして、アラスカ産のスノークラブとあわせ、バターとゆずのソースをからめてあります。サラダのようでもあり、ヘルシーなパスタのようで、さっぱりといただけます。


四皿目は、Reneシェフの「36 Hours Slow Cooked Pork Belly」

シンガポールで親しまれている中華のメニューをオリジナルにアレンジ。中華の甘い香りのスパイスで36時間じっくりと煮込まれた豚肉は、ほろほろの食感。根セロリのピュレと清涼感のあるセージのサラダ、薄切りのりんごがフレッシュな印象。フィリピンなどでも見かける、豚の皮を揚げたものがクルトンのように添えられています。


ここからがコラボレーションメニュー。

Darling Downs Wagyu Rump Capは、Opus自慢のオーストラリア和牛を軽く熟成したものに、中国のおかゆによく添えられている、レタスを発酵させた塩漬けをあわせた一皿。熟成度合いの異なる素材を重ねる面白さがあり、しゃきしゃきしたレタスの食感と、しっとり焼き上げられた牛肉の食感の違いも楽しめました。


コラボレーションデザートの「Raspberry Panna Cotta」は、ミルキーなイチゴのアイスクリームと、パンナコッタ、ラズベリーのマカロン、様々なベリーをあわせていて、全体的に甘さ控えめですっきりといただけました。

LukeシェフはシドニーのTetsuya'sやコペンハーゲンのNOMAにもいたということで、その頃のお話も伺いました。


Tetsuya'sでは、料理の「引き算」の感覚を、NOMAでは実験的にチャレンジすることを学んだとか。先日日本で話題になったNOMAの「蟻」を使ったメニューについて聞いてみると、「あれは奇をてらったのではなく、本当に美味しいからなんだよ!」とのこと。シェフの出身地のオーストラリアやブラジルなどでは、一部に蟻を食べる地域があるのだとか。

そして、もうひとつ気になっていたことも。実は、Lukeシェフのレストラン、ガレージストは、惜しまれつつ去年クローズ。閉店の理由について聞いてみると、「5年レストランをやってみて、新しいチャレンジをしたくなった。それに、注目を集めすぎてあまりにも忙しくなり、ちょっと立ち止まって考えたくなったんだよ」ということでした。Lukeシェフは、今はレストランコンサルタントなどをしながら新しい道を模索中との事。
来年は日本料理と日本酒を知るために来日予定とか。見せてもらったお気に入りの包丁も日本製でした。以前も日本を訪れたことがあり、銀座の「てんぷら近藤」や、日本橋の「ゆかり」が好きだと話していました。
将来的には日本酒と料理のペアリングも考えているそうで、ますます注目です。


期間限定のコラボレーションの日程は、

■「Opus」 Rene Knudsen X Luke Burgess
ランチ: 8月22日  ディナー: 8月21日~25日

■「BoCHINche」Diego Jacquet X Luke Burgess
ランチ: 8月28日・29日  ディナー: 8月26日~29日

です。参加の方法ですが、下のウェブサイトでチケットを買う形式になっています!
ちなみに、シンガポール側のシェフ、Reneシェフの料理は、コラボレーションの後も食べられます♪

<DATA>
$100 Gourmet(ワンハンドレッドグルメ)

Opus Bar and Grill (8月21日~25日)
営業時間:18:30~22:30(無休、上記イベントのランチは12:00~)
住所:Lobby Level , Hilton Singapore, 581 Orchard Road, Singapore 238883
TEL:+65 6730 3390
アクセス:MRTオーチャード駅徒歩6分